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川上 英佑が本音で語る、エギの「ボディカラー」の考え方

寄稿:川上 英佑
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色とりどりのエギの色。

自然界に存在しないようなド派手な色から、普段アオリイカが食しているようなベイトを模したパターン、自然色に近いカラーまで…そのパターンは多岐に渡ります。

一言でピンクと言っても、そのトーンは使っている塗料や“ボディカラー”によって見た目の明るさも大きく変わり、同じ色でもメーカーによってその色合いは大きく異なります。

川上 英佑(KAWAKAMI EISUKE) プロフィール

ショアをメインにオフショアからのエギングにも精通するYAMASHITAエギングマイスター。 エギング歴は20年に及ぶ。エギングが認知されてまだ間もない頃からYAMASHITAのプロスタッフとして活動、その活動範囲は国内外問わず幅広く、東南アジアからオセアニア、ヨーロッパ、南アメリカと世界中に及ぶ。また世界各国でエギングを行い、またエギングセミナーを開催。ロジカルなセミナーは海外でも人気が高い。

一番多い質問は「カラー」について

エギのカラー選びで最も悩ませるのがボディカラー。背中の色とボディカラーの組み合わせは数十通りにもなり、エギのカラー選びはより複雑化します。

色々な国でエギングのセミナーを開催させていただいておりますが、世界各国で開催したセミナーで一番多く受ける質問が、このエギのカラーについて。釣りは感覚的な要素が多いことから、実に色々なエピソードが飛び交います。同じシーンや、同じ釣り場でもアングラーによって推しのカラーが全く異なるのも世界共通。

長年エギングマイスターとしての活動の中で、シンプルにわかりやすくカラー選びを説明できないものか…と頭を痛めていました。そこでイベントや講習会でご紹介していた色選びの考え方を2017年に動画としてリリースさせていただき、現在では各国の言語に翻訳されてYoutube動画としてリリースされています。

出典:YouTubeチャンネル「YAMASHITA Maria」

カラーの本音

このカラー選びに関して私の本音をお話しますと…正解・不正解で言えば、どのカラーも正解

正直、大きな群れが入って来たり、アオリイカの活性が高い場合、色に関係なくどのカラーを投げても釣果に結び付きます。

解説しておいて元も子もないことを言いますが、何を投げても当たる状況というものがあります。自然界においてアオリイカも食べられるものを食べてどんどん大きくなる必要があるため、1日でこの色しか関心を示さないということはあまりにも非現実的です。

色で選ばれている状況が存在するということも事実

では、何故カラー選びを提案するのか。

悪天候や悪条件での釣りや船からのエギングを楽しむ方は経験したことがあるかもしれません。渋い状況でなかなか手を使ってくれない時、エギのカラーの差が釣果に顕著に現れること。

何人もいる堤防の潮先ではないポイントで1人だけ気味が悪いくらい釣っている人が居たり、船でもミヨシやトモではなく胴の間で、周囲が沈黙している中連発している人…もちろん毎回そのような状況に遭遇するわけではありませんが、明らかに色で選ばれている状況があるというのも事実です。

重要視すべきはボディカラー

背中の色も大事ですが、私がより重要視しているのはエギの「ボディカラー」。

下地テープでも何色もあり、その他自発光する夜光。紫外線を受けて発光するケイムラ、ネオンブライトと多くの下地が存在します。

私がエギングを始めた頃は、赤テープと虹テープくらいしか下地ボディはありませんでしたが、硬質発泡からABS樹脂に素材が切り替わることによって、エギの下地ボディの歴史もガラリと変わりました。

必要に応じて増えていったという背景

ただ作ることが可能だから、これだけのボディカラーが増えた…のではなく、タックルや釣り方の進化に伴い、エギングの環境もシャローエギングやティップランなどそのフィールドも多様化しています。進化し続けるエギングで想定される、あらゆるシチュエーションに対応できるようにと、ボディカラーが増えていった背景があります。

ルアーはもちろん、漁師の方々が使用する漁具にもカラーの理論は存在し、長い経験と後世への伝達によりその状況状況で効果を発揮するカラーが存在します。

国内でYAMASHITAの営業マンをしていた当時、漁具店の担当を多く持っていた私は、漁師や漁具店の社長からエギやトローリングの疑似餌のカラーについて学ぶ機会に恵まれていました。YAMASHITA自体が漁具のルーツを持つメーカーであることから、そのノウハウがYAMASHITAのエギのボディカラーの素材、カラーの選び方にはふんだんに盛り込まれています。

「目立つ」ということ

私が長く携わっているエギ王シリーズのカラー選びの動画や店頭のイベントで、ずっと自分の中で変わらないテーマがあります。

「その色でなくては絶対にダメ!それ以外は釣れない!」ではなく、そのボディカラー・素材が一番目立つ、アピール力が高まるシチュエーションを “シンプルに”ご提案させていただくということ。

平均1年という短い寿命のライフサイクルで、時に4キロを超える大型にもなるアオリイカは大食漢であり、数日エサを摂らなければ生命維持が困難な生き物です。そのため、常に餌を見つけることがマストな彼らに対して、エギの存在を知らせる=エギが目立つ(アピール力)が非常に大切だと感じています。

だからこそ、今自分が立っている状況で一番アオリイカに見える、見つけてもらえるカラーにアドバンテージがあると考えており、“見える”は“目立つ”が私の中でのカラー選びの根底にあります。

この、各カラーがどの状況で目立つかということを知っていると“目立つ”から、敢えて“隠す”のローテーションが生まれてきます。アピールでダメなら存在を薄くしてみるといった引き出しが増えるんですね。

エギングはもっと楽しくなる

もちろん大好きなカラーがあって、季節を問わず1日中そのカラーを投げるのも良いと思います。

新しい素材が出れば試してみたい、カラーを選んでいる時間も楽しみという方もいらっしゃいます。エギングは色々な楽しみ方がありますし、正解はひとつではありません。ですが、もしアオリイカが色を選ぶような渋い状況に遭遇したり、エギングを始めたい!と思った方が、エギのカラー選びで悩まれた際のお手伝いができればと思い、今回新たなカラー選びの動画を作成しました。

強制ではなく、あくまで状況に対するカラーのご提案。ですが、その素材が一番活きる、そして目立つシチュエーションには自信をもって説明させていただいてます。エギのカラーの組み合わせ、その強みを知ると、エギングはもっと楽しくなります。カラーで迷われた方は是非ご覧ください。

出典:YouTubeチャンネル「YAMASHITA Maria」

ヤマシタ

「ヤマシタ(YAMASHITA)」は、神奈川県横浜市の老舗釣具漁具メーカー「ヤマリア」のエギング、イカ釣り、タイラバ、タコ釣りなど、海釣り用品に特化したブランド。特にエギングへの造形は深く、エギのスタンダートである「エギ王」シリーズや、「ケイムラ」カラー、「490グロー」カラーなどを送り出し、最新のテクノロジーでエギングの世界を変え続けている。