今江克隆のルアーニュースクラブR「衝撃の世界初公開!『AbuGarcia ZENON CX』」 第1296回
トンデモな決断をしたスピニングリール
さて、ここまで衝撃的なスペックが続くと強度・剛性的に大丈夫なのか?ちゃっちい内部構造なんとちゃうんか?とか軽さにこだわって犠牲になっている部分がトンデモナイのでは?と誰もが思うかもしれない。
そう、紛れもなくCXはトンデモな決断をしたスピニングリールだったのである。
自分がCXを初めて触ったとき、あらゆるメリットの衝撃とともに、「それはないで!!」と声を出してしまったほど逆の意味で衝撃的だったのが、「オートベイル機構の排除」だった。そう、CXのベイルはハンドルを回してもベイルが元にオートでは戻らないのである。自分にとっては50年近く慣れ親しんだオートベイル機能がないことは到底素直に受け入れがたい事実だった。「これはアカンで!!!」と声を荒げた自分だったが、その後のピュアフィッシング開発陣からのていねいな説明を聞かされ、とりあえずは一度使ってみることにした。と同時に、イマカツの若手スタッフ4人、TOP50プロ2人に口外禁止で「オートベイルなしってどう思う?」とその夜に速攻、電話で聞いてみたのだ。
その答えは驚いたことに全員が同じだった。「オートベイルってまず使いませんよ。手で返しますから。」である。あまりにもアッサリと若者たちに言われ、しばし言葉に詰まってしまったほどだ。オートベイルが必要不可欠(付いていなければならないもの)と思い込んでいたのは年寄りの自分一人というあまりにも意外すぎるこれまた衝撃の回答だった。
だが、その後実釣でCXを使ってみたところ、自分も無意識にキャスト直後にベイルは毎回パーミングを兼ねて当たり前に手で返している事実に気づかされる。付いていることが当たり前と思い込んでいたオートベイルは、実はルアーを付けてロッドに収めるときくらいしかほぼ使っていなかったということに今さら気づかされてしまった。それでも昭和な自分にはオートベイルなしは納得できない部分はあったが…。

最初に知ったときは驚きと戸惑いを隠せなかった、まさかのオートベイル機構の排除。マグネット式のためベイルを手で返すときの違和感はなく通常と同じ感覚だ。使ってみると意外に慣れるのは早かった。
オートベイル機構の排除のメリット
オートベイル機構の排除は実釣レベルでは最初は気持ち悪かったが、大きな影響はさほどないことに納得したくないような、納得するような、なんとも微妙な気持ちだった。だがそれ以上にメリット面が大きいことは間違いない事実だった。劇的な軽量化に貢献するのはもちろんだが、実は超軽量化にも匹敵する大きなメリットがあった。それが「スプールの低慣性化に対する明確な効果」だ。
オートベイル機構の排除によって、CXのフォージドコンプレスドカーボン素材のローターやアーム部分は極めてコンパクトに軽量・均等バランス化され、左右のアームの重量差が明確に小さくなる。この左右重量差軽減によって高速回転したときのアーム部のブレが極めて少なく、低慣性化されることで巻き心地のスムーズさが明確に向上しているのだ。これはシャッドやバゼルなどの巻き物を巻いたときに顕著にあらわれ、高速で巻いてもものすごくスムーズで、ラインと一直線に構えたロッドの揺れも起きず、ベイトリールのような快適さで巻き物を巻くことができる。
これは今までのスピニングリールとは明らかに違う巻き心地だと思えるものだ。

オートベイル機構の排除によって得た明確なもう一つのメリットは回転部の低慣性化だ。ベイルアームの均等軽量化によって高速巻きでもヘッドがブレる感覚が激減している。
この明確な高速回転部の低慣性化によって、ヘッドやハンドルのブレが激減。今までの海外製スピニングリールに多かったギアのゴリ感もなく、国産ハイエンドに匹敵する滑らかな巻き心地の良さも実現できるようになった。
特にスプール径が48mmと大きく回転慣性の影響が最も出やすい3000番のハイスピード・CX3000SHへの恩恵は極めて大きい。
オートベイル機構を排除することで得られるメリットが、オートベイルのメリットをはるかに上回るゆえの実にドライな選択、快適主義の日本人が苦手そうな、実にアメリカ人が考えそうな合理主義である。
衝撃的な軽さ、感度、操作性

ドラグ機構に関しては現在チューニングをリクエスト中で、オプションでクイック操作可能なドラグが搭載になるかもしれない。ノーマル仕様でも先代ZENONより明らかに向上している。
最後に価格は7万円台半ば、AbuGarciaは国産リールに比べ店頭値引き率が比較的大きいほうなので、店頭実売価格は「エアリティ」や「ヴァンキッシュ」と同等程度~ちょい高になることも予想される。決して安くはないが、118gの威力はフィネスなロッドに付けたときには衝撃的な軽さ、感度、操作性となって明確に実感できるだろう。
このレンジでのわずか20g弱の軽量化は車でいうなら最高速300kmから310km超えへの挑戦、バスボートでいうなら120kmからの125km超えに相当する。たかが20km、たかが5kmの違いだが、ここから先は並のレンジとは別世界の極めてシビアな技術的最難関の世界、それだけに受ける恩恵も明確に感じられる世界だ。
今やSWEDENのAbuGarciaは、世界のAbuGarciaへと革命的進化を果たし始めている。ようやく自分も軽量スピニング難民、超高額スピニング貧乏から脱出できそうである。

超軽量リールはスピニングロッドのパフォーマンスを100%発揮するために不可欠な存在だ。残念ながらスピニングでは軽さは正義なのだ。118gのリールを組んだ瞬間、タックルがまるで別次元になる。






















































