今江克隆のルアーニュースクラブR「プロップボール!?一番ショックを受けたのは自分だった…TOP50弥栄湖戦レポート」 第1290回
TOP50第2戦弥栄湖が閉幕した。
結果は29位、予選を想定以下の20位で通過したことで表彰台を狙って決勝で思い切った勝負に出たが、勝算なき勝負はただの無謀でしかなかった。
結果的にプリプラから試合2日目前半まで生きていた、今の若手に勝てる唯一の勝ち筋と思えたルアーパワーに頼りすぎ、修正する時間を消費しきってしまったというのが、主観的敗因である。
TOPS OF TOP50プロのすごみ
今回の試合も振り返れば青木大介プロを筆頭とするわずかな違いで結果を劇的に変えてしまうバスの反応に対する人並外れた嗅覚、優れたルアーパワーを状況変化に応じて柔軟にレンジチェンジ、アクションチェンジできる若手プロの情報収集・情報処理能力の高さ、さらに「見えるリアルサイト」と「見えないものを見るライブサイト」をともに超高次元で身につけている現在の「TOPS OF TOP50プロ」の恐るべきレベルの高さを痛感させられる結果になった。
正直、もはや神がかり的なルアー、誰も知らないテクニックでも生み出さないかぎり、もしくは全員が初めてのフィールドでの開催でもないかぎり、若き日の自分ならまだしも正面突破で今の自分に勝ち筋はもはやないのではないかとすら思わされるレベルの高さが今の「TOPS OF TOP50プロ」のすごさである。

青木大介プロの圧巻の3尾5,500gで幕を開けた弥栄ダム戦。ギル系ルアーを抑えて優勝の鍵となったシークレットルアーは、自分も耳を疑ったまさかのアレだった。
勝負ルアー
今試合の自分の勝負ルアーは、紛れもなくプリプラ時に爆発的なビッグフィッシュ獲得力を発揮し、弥栄湖戦直前に完成した「ビーストボーン」だった。
2年ぶりに自分一人でソフトルアーの開発とテストに没頭してしまうほど、このワームのルアーパワーは目を見張るものがあった。その証拠にプロトをどうしても使わせてほしいと申し出たプロスタッフ以外に渡すことはなかった。久々に独占したいと思わせるパワーがあったからだ。だが、その嗅覚を持っていたのか、すぐに申し出てきた藤川温大プロと亀滝拓夢プロには渋々3個だけ渡していた。藤川プロは自分が隠し持っていた「クジャラハード」も見つけるや否や使わせてほしいと申し出てきており、そのルアーパワーに対する嗅覚は並外れたものを持っている気がする。

大潮を迎えネスト大会かと思われた今回。まさかのネストはほぼ皆無、なぜか見えバスも激減。かわりにギルネストが明らかに増えていた。ギル系ルアーの選択は必然に思えた。

プリプラ時点から明らかにギル食いバスがデカかった弥栄湖。自分とわずかなプロトを渡していた藤川プロの主戦略は「ビーストボーン」をメインに据えたビッグフィッシュパターンだった。

「ビーストボーン」をひたすら投げていた藤川プロ。一見、ロングワーム?と見間違うほど、投げる瞬間にこんなにもエラストマーワームは伸びるものなのかと驚かされた写真。
そしてもう一つ、プリプラ後半に驚くべきルアーパワーを発揮したワームがあった。それがたまたま自宅の押し入れの奥底から発見した20年ほど前のイマカツワーム「ニードルシャッド3インチ」だった。
実はこの3インチ、今も定番生産されている「フラッシュニードル3.5インチ」、「同4インチ」とは違い、当時まったく売れずに廃盤化された幻の3インチサイズである。しかも何の運命か出てきた9本の3インチが自分も河野正彦プロも神カラーと認定している非売品の「今江リアルワカサギ」だった。そしてダートヘッドを装着しプールで泳がせた瞬間、このサイズ感と動きが今の時代には最も価値があることにすぐに気がついた。ショートダウンショットリグでも、ジャバロン系やシャドテ系とは異なるエスケープダートアクションの秀逸さは、ライブ全盛時代の今、間違いなく釣れる武器になると確信を持たせるものだった。
そしてその9本のうち1本を弥栄湖で泳がせたとき、その姿、テールの震え、ダートのキレが弥栄の見えているベイトに瓜二つであることにすぐに気づいた。特に20年前の「今江リアルワカサギ」の背中の色がベイトの色にあまりにも似ていたことで、絶対釣れると確信してショートダウンショットのサイトで使ってみた。その結果は、このルアーは今の時代を待っていたのだと確信できるものだった。

プリプラの後半、ギル系に代わって明らかに反応が良くなったのが大昔からのイマカツの定番「ニードルシャッド」。その中でも20年以上前に少量生産された不遇の名作「幻の3インチ」が完璧に弥栄湖のマッチザベイトになった。
湖上からの電話で、海外の工場に金型を探させたうえで9本のうち1本を送りカラーを再現させ、同時にエラストマー素材での成型も試合までに間に合わすよう緊急指示を入れた。さらに20年前、2インチも試作していたことを思い出し、急きょ「ジャバロンONE」相当の1.5インチ、「通称:ニードルONE」もわずか2週間で試作させたほどだった。
この「ビーストボーン」のボトストでの半サイトのギルネスト周辺に回遊するギル食い狙い、そしてアフターもしくはプリの見えバスを探して「ニードルシャッド3インチ」、奥の手で「ニードルONE」の3本立てで公式プラに臨んだ。
公式プラクティス
公式プラの初日は小瀬川筋のギルネスト周辺の2mレンジで立て続けに「ビーストボーン」で2尾のメスのビッグバスを狙い通りに手にし、もうそれ以降は手持ちの少ない「ビーストボーン」を投げることはしなかった。

公式プラ初日、開始早々にポンポンと2尾のビッグフィッシュが「ビーストボーン」のボトストで釣れた。メイン戦略はプリプラから変わらずだったが、食う水深が予想以上に深くなっていたことに気がつけなかったのが敗因だった。
バックアップの「ニードルシャッド」ショートダウンショットのサイトでもバスが見えたらほぼ4割は食わせることができ、10本見つければ3尾リミットは楽勝だと思えた。ちなみにネストは大潮直前なのに不思議なくらいほとんどないに等しいほど少なかった。これはかなり誤算ではあったが、「ニードルONE」のライブでは中層を回遊する30cm前後のキーパーはいとも簡単に釣ることができ、今試合は表彰台が十分に狙える試合になると思っていた。

バスが食っているベイトのサイズ、泳ぐ姿、クイックに逃げる動きがそっくりだった幻の「ニードルシャッド3インチ」。リアクションショートダウンショットでのサイトではまさに無双状態でプリプラ最終日を終えることができたが…。
予選初日
そして第2戦初日、朝一は最もギルネストが多い小瀬川筋最上流に向かった。だが最上流手前はまさに大銀座状態、急激なプレッシャーで簡単に釣れていたキーパーすら沈黙する状況になり、その中で最初のビッグフィッシュをスッポヌケでミスってしまう。
明らかにオーバープレッシャーであることから、思い切って広くてプレッシャーの低い下流域に移動。すぐにカバーで「パワーアームホッグ」で700gをキャッチ。対岸に移動し、岩盤のレイダウンで待望の2kgフィッシュを「ビーストボーン」で仕留めることに成功した。

初日、大混雑の最上流をあきらめ下流にシフトし「ビーストボーン」で昼過ぎに仕留めたビッグフィッシュ。ハルトの2,300gには及ばなかったが狙い通りの2kgキッカーだった。
2,700gに達したことで、キーパーを「ニードルONE」で数尾釣り入れ替え3kgを超えたところでタイムアップ。3kg超えれば10位前後、あわよくばシングルかなと思っていたのだが、ここが近年のライブソナー技術に長けたTOP50の恐ろしいところだった。青木大介プロの5,500gは別格として、4kg台が数人、3kg台が17人もいるという自分の予想上位ウエイトを1kg以上上回ってしまった。
ライブサイト登場以前は自分のウェイト読みが外れることはまずなかったのだが、このまさかのハイウエイト続出がライブが有効な湖ではたびたび起こるのが最近の恐るべき傾向なのである。
3kg超えで16位、この誤算が自分の歯車を狂わせてしまった。

初日3,045gでシングル、悪くても10位前後と思ったが、TOP50の先鋭若手プロの実力は自分の予想をはるかに超えてきた。まさかの3kgでだんごの16位発進で予選通過すら余裕なく、2日目からの戦略が大きく狂ってしまった。
今回はルアーパワーを信じてのノンライブでの戦いを貫徹するつもりだったが、本番になって赤潮の大量発生が影響したのか、はたまた強烈な殺気を伴うプレッシャーなのか、見えバスが初日昼から急激に減ってしまったことで、ライブで見つけなければ…という迷いが生まれた。藤川プロが「ビーストボーン」の徹底したライブで大会ビッグフィッシュ賞を含む4,500gをウェイインしたことで、さらにライブへの迷いが出てしまった。

藤川プロが弥栄戦初日、今大会のビッグフィッシュ賞となった「ビーストボーン」で仕留めた2,300gオーバーのビッグバス。JB指定のアクションカメラが搭載されていたので、後日釣り方も動画で公開されるそうです。
予選2日目
予選2日目、見えバスを探しながら、岸から離れてライブを当てる中途半端な展開、ものすごくリズムが悪くなった。
最初のキロ弱の1尾を「ニードルONE」のサイトで釣ったことで、さらに「ビーストボーン」の使い方が中途半端になった。そして2度のスッポ抜け。このとき、かなりボートに近いところで実は食っていたことに気づくのが遅れ、アワセのタイミングがバスが離す寸前のスッポ抜けだった気がする。
ここまでギル食いバスを見つけては行動を観察し、その周辺のフィーディングスポットになるであろうスポットを狙って「ビーストボーン」をボトストで通す方法で狙っていたが、少ない見えバスを探そうとするあまり常に岸をキョロキョロ見続けていたため集中力が乱れ、ボートの間近で食っているのに気づかない体たらくだった。中山川ロケではそれでも離さなかったが、プレッシャーマックスの試合のデカバスはベツモノだったのだ。

初日はほぼ半分の時間を「ビーストボーン」に費やしたがなぜか3度もアワセでスッポ抜け。深いところで曖昧な感じで咥えてさらに深みに走るためか、アタリが微妙でラインスラックが出すぎてアワセるタイミングが遅かった。
自分は3m付近でピックアップしてしまっていたが、結果的に「ギーラカンス」を使って3位に入った藤田夏輝プロはライブで見ながら10m付近までボトストで追わせて食わせたと語っており、同じく「ギーラカンス」で2位の小林知寛プロは3.5mより深いところまで落としたところからピックアップ時に角度が変わると食ってきたとインタビューで話していたが、自分はそこまで追わせながら、バスが食う寸前で早々にピックアップし次のキャストをしていたようだった。
ライブを使うのはキーパー狙いの「ニードルONE」のみと決めており、「ビーストボーン」はルアーパワーを信じてライブを見ないようにしていたことが裏目に出た。

2日目以降、「ビーストボーン」のボトストが効かなくなり、「ニードルシャッド1.5インチ」サイトのバックアップでなんとか予選20位につけたが、表彰台に届くには決勝で最低3kg以上のビッグスコアを出さなければならなくなった。

プリプラ後半、急きょ工場に指示してエラストマーとノーマル素材のWで再生産させた「ニードルシャッド3インチ」と、新たに指示して製作した1.5インチ。神カラーである「今江ワカサギ」が2日目以降の勝負ルアーだった。そのエスケープダートの良さは「ジャバロンONE」とはまた別モノのリアクション・マイクロ系ワームだ。
藤川温大プロ
一方で藤川プロは冷静だった。
3日間狙い続けていたメインエリアで、初日ビッグフィッシュ賞を獲得した「ビーストボーン」への反応が悪くなってきたことをライブで認知すると、「ビーストボーン」よりやや弱めの「クジャラハード」でキッカーを仕留め、さらには「ダンベルクラブエラストマー」のジグヘッドワッキーライブサイトへと、バスの反応に合わせてルアーパワーを同系統で弱めて反応し続けさせていた。

初日ビッグフィッシュ賞を含む4,500g3位のウェイトを出した「ビーストボーン」、苦しんだ2日目にキロアップを仕留めた「クジャラハード」、そして最終日には「ダンベルクラブ」とルアーパワーをプレッシャーに合わせてダウンさせた藤川温大プロのトーナメントセンスが光った試合だった。
自分が「ビーストボーン」、「ニードル」と全く別種のバスをエリアを変えて毎回同一ルアーで狙っていたのに対し、藤川プロは同じエリアでライブにビッグフィッシュが映る限り、ルアーへの反応を見ながら同種のルアーパワーを弱めていき、最後には食わせるというライバー特有の釣り方を実践していた。

参戦2年目にしてすでに強豪プロの風格が出てきた藤川プロ。父親譲りなのか、体育会系なのか、スポンサーシップを大切にするプロ意識の高さと、恩返しをしようと努力する姿は、メーカーとして全力でサポートしたくなる数少ない若手選手である。
皮肉なことに決勝の藤川プロのメインスポットは、全然知らなかったのだが、自分が朝一に初めて入った美和筋のストレッチだったそうで、自分がすぐにあきらめて移動した後、1日そこで粘って5位入賞を決めていた。

決勝の日、朝一は奇しくも藤川プロとメインスポットがバッティング。自分が仕留めきれなかったキッカーを後から入った藤川プロが「ダンベルクラブ」のライブサイトで仕留めていた。
最大の手枷足枷か?


















































