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【開発ロッドの変遷・PMX1073S-XXP編】TENRYU「パワーマスター エクストリーム」秘話vol.3

寄稿:TENRYU Staff 吉川直輝
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新製品総力特集2026

2026年、TENRYUから登場となるパワーマスター・エクストリーム。まさにエクストリームゲームに対応する超強力な2つのモデルがラインナップされる。

前回、そのうちのひとつ、モンスターハントモデル「PMX872S-XXX」について TENRYUスタッフ・吉川直輝さんにご紹介頂いた。

△ジェネラル大澤こと大澤大介さんは、エクストリーム完成のために数多くのテストを行ってくれた一人だ

今回はもうひとつのモデル「PMX1073S-XXP」。その完成に至るまでのヒストリーを、 吉川さんに語って頂いた。

品名 タイプ 全長
( m [ft])
継数
(本)
調子 仕舞寸法
(cm)
ルアーウェイト
(g)
ライン
(PE/号)
最大ドラグ
(kg)
リアグリップ
(mm)
先径
(mm)
自重
(g)
使用繊維 カーボン/グラス
(%)
本体価格 JANコード
PMX1073S-XXP S 3.23[10’7″] 3 RF 115 MAX180g (Plug 80-150g) PE 5-8号 MAX14kg/45 545 2.8 462 99/1 ¥106,000 023816

テンリュウ公式「パワーマスター・エクストリーム」詳細ページはこちら

PMX1073S-XXPのコンセプト

前回に引き続いて開発ロッドの変遷として、PMX1073S-XXPを紹介していこう。

『地磯ラン&ガン・遠征モバイルモデル』

そうコンセプトを銘打ち、ロングレングスでPE8号まで対応し、ダイビングペンシルや中口径ポッパーなどの表層プラグから、シンキングペンシルやミノープラグを使いこなせる汎用性を持たせたモデルとして企画した。

特に10フィート半の長さは、テスター大澤大介氏からの熱望によるものである。パワーのあるショアジギングロッドがショートレングス化する中で、あえてロングレングスで3ピースのロッドは、初場所の地磯や離島の遠征などを挑戦していた際に、もう少し長さがあればアプローチが楽になると感じるシーンがあったことがキッカケだ。

また、ラインシステムとして『スペーサーPE』の使用も考慮し、強いラインシステムでも抜けが良くストレスなく使用できることもテーマに加え開発はスタートした。

想定するフィールド・ターゲットと求めた要素

想定されるフィールドや、対象となるターゲット、使用するタックルの設定が重要となってくる。

釣り場まで崖を登り降りし、地磯を延々と歩きポイントにエントリーするまで長時間の移動も想定される。モバイル性を持たせ、長尺のロッドでも持ち回り易く、急な崖を超えるシーンや藪を抜ける際も煩わしさを軽減したい。

 

釣り場が想定しにくい初場所のポイントでは、立ち位置に困ることなく釣りができる長さも必要だし、遠征先での飛行機・フェリーやバスなどを利用した際も、仕舞寸などを気にすることなく利用できるロッドを作りたかった。

ターゲットは、ヒラマサ・GT・キハダ・イソマグロなど誰もが憧れる大型魚である。

こちらはイソマグロ16kg超。こうした魚たちに遅れを取らないパワー、キャストフィールと飛距離、操作性、なおかつ携行性を持たせたPMX1073S-XXP

ルアーは、180~250mmクラスのダイビングペンシル(フック込みで100~180g)や中口径ポッパー(フック込み150gクラス)・シンキングペンシル(フック込み150gクラス)・ミノー(フック込み150gクラス)を使いこなせる汎用性が欲しかった。

シャープな操作感、負担を減らす曲がり

モバイルロッドながらシャープな使用感とレングスを活かしロングジャークを軽快に行え、ターゲットを掛けた際には、しっかり曲がりこむことでユーザーへの負担を軽減し、魚にはしっかりプレッシャーを掛けられるロッドを作ることを目指した。

ロングロッドであれば足場が高いポイントや波が流れ込んでくるような状況でも安全圏からアプローチができ、立ち位置を変えることなく釣りを継続することが可能なのでルアーの回収も楽に行え、魚に走られたら磯をかわしファイトポジションを変えないといけないシーンでもロッドの長さがあれば動きやすいのではと感じていた。

スペーサーPEの使用を想定

スペーサーPEの使用もコンセプトの一つとなっている。近年大型のターゲットを狙うユーザーの中で、取り入れる方が増えてきたラインシステムで、メインラインPE5~8号にPE20~30号を10~15m程を接続、さらに先糸としてモノフィラのリーダーを接続する。従来のセッティングでも使用はできるが、非常にライン抵抗の強いシステムとなっており糸抜けの悪さや音鳴りが課題だ。

まずは軸となるブランクとして基本となるアクションを、プラグ操作にてミスダイブの少ないレギュラーファーストとし、ロングレングスということもあり強風時でも振り抜けの良いシャープな使用感も求めた。バットセクションは大型ターゲットとのファイトでも安心感のあるトルクを引き出すC・N・Tをコンポジットすることは必須だった。

PMX872S-XXXでも取り入れたのが、穂先部とバットの長さを変えることだ。3本継のうち#1と#2は短く設定し、#3を長くする事によって、畳んで持ち運んだ際にジョイント部が地面に触れない長さとしている。この絶妙な違いは、現場で使うと分かって貰えるはずだ。

そして初回サンプルの投げ込みから始まり、キャスト性能とプラグの操作性を見極めていく。テストが進むと、実際に魚をヒットさせロッドの強さやアクションを確かめていった。

△奄美でのワンシーン、大型魚が潜むフィールドでテストを繰り返してきた

状況ごとのラインシステム、ルアーをテスト

PMX1073S-XXPでは使用するラインシステムやプラグの種類が多いため、様々なラインシステムも確かめている。

飛距離を優先したセッティングではPE6号にナイロンリーダーでは25~40号(5ヒロ)・スペーサーPEシステムでは15~25号(5ヒロ)。

大型魚を想定しパワーを優先したセッティングでは、スペックのMAX値であるPE8号にナイロンリーダー40~50号(5ヒロ)・スペーサーPEシステムでは25~30号(5ヒロ)といった具合だ。

プラグは180~250mm(100~180g)クラスのダイビングペンシル・近年ヒラマサやロウニンアジ・キハダマグロ狙いで主流となりつつあるミノープラグ。小~中口径ポッパー(100~150g)で確認を行っている。

さまざまなシステムでのキャストを繰り返し行いブランクの調子や素材の硬さ、グリップの長さラインの抜け感などを確かめサンプルを重ねた。

ライントラブルの課題を克服

開発初期では、PE6号にスペーサーPE20号クラスのセッティングまでなら違和感なくラインが放出できていた。徐々にテストサンプルとラインシステムが強くなっていき、ロングレングスのロッドでPE8号やスペーサーPE30号クラスを150gクラスのプラグを扱えるようになってきた頃には、私は経験したことのない強さのロッドとなっていた。

その中で課題となったのは、キャスト時のブレやライントラブルである。大型プラグでライナー性のキャストを意識してテストしていると、ロッドが想定以上に振動してしまいエアノットやティップへの巻き付きなどのライントラブルが多発した。

ガイドへの干渉も強く音鳴りもストレスで、ロングレングスで曲がるコンセプトを考えたことを後悔してしまう程だった。

ガイドセッティングが決め手に

ガイドシステムについては前回のPMX872S-XXXの項で書いた通りで、ティップ部にチタンフレームSiCリングのKタイプガイド(T-MNST16、T-LKWSG)、ベリー部にはステンレスフレームSiCリングのMNガイド、バット部にはチタンフレームSiCリングのRVガイドを採用する事によってトラブルの多かったブランクが糸抜けの向上により音鳴りは軽減し、ティップへの巻き付きも、シャープ感が出たことでMAX値のプラグをキャストしてもブレが少なくトラブルが激減した。

7~8番ガイドをステンレスフレームMNガイドにした調整は上手くはまり、ルアーの操作感や糸抜けを維持しつつ、バット部分は曲がってくれキープキャストやファイトの負担が軽減されたコンセプトに近いロッドとなってくれた。

大いに悩んだリアグリップ長

そして最後の最後までテスター大澤氏や設計士とも悩んだ点が、リアグリップの長さだ。

実際に持って貰うと分かりやすいが、PMX1073S-XXPはグリップをやや長めに設定してある。

色々意見が出た中で、短いグリップのモデルも作成しテストも行ったが、120g前後のプラグならグリップは短くても問題はなかったが、150g前後のプラグでテストを行った際にはキャストやルアー操作、ターゲットとのファイトにおいても負担が大きく感じていた。

最終的に取り回しを優先するか、キープキャストを取るのか協議を重ね、強いタックルセッティングでも長時間扱える少し長めのグリップ長を採用した。結果として、脇に抱えてロングジャークする際や、不意にターゲットが掛かった際にも脇で固定がしやすいので耐える事も楽になったと感じている。

 

このブランクとガイドセッティングを基準に、現場でのトラブルを微調整しながら新たなグリップ形状やデザインを取り入れテストを終える事が出来た。

PMX872S-XXXとは違った角度での課題やトラブルも多くあったが、机上と現場を行き来し、地道なテストの上で完成できたことは嬉しかった。

ロッドの作成には全てにストーリーがあり、このモデルも思い入れが強いモデルと思えている。大物を夢見て遠征する際には、ぜひ携えて欲しいモデルだ。

前回記事

【開発ロッドの変遷・PMX872S-XXX編】TENRYU「パワーマスター エクストリーム」秘話vol.2

天龍(TENRYU)

1961年、六角竹竿加工業として下伊那郡鼎町下茶屋に塩澤製作所設立。1990年、株式会社 天龍に社名変更及び改組。創業当時、六角竹竿で一世を風靡し、1970年には日本初となるバスロッドを自社ブランドで発売。以降、カーボン素材を主軸に幅広い時代のニーズを先読みしたアイテムを輩出している。ソルトウォーターでは超軽量&高感度のSWライトゲームロッド「ルナキア」、ライトジギングでは「ホライゾン」が有名なほか、バス、トラウト、エリアフィッシング、さらにはテンカラなど、非常に幅広いジャンルでこだわりの強いロッドを生み出している。

 

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