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【季節を見極める】エギングマイスター川上英佑の春イカシーズン開始の目安となる条件

寄稿:川上 英佑
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1年の中で最も大型が接岸しやすい春のエギングシーズン。

毎年この季節を心待ちにしているエギングファンも少なくありません。

自己記録更新を狙う人、大型を狙って初めての春エギングに挑戦する人、今年こそ春イカを手にしたいと挑む人。誰もがシーズンの開幕を心待ちにし、釣果情報やSNSのチェック、やり込んでいるアングラーなら水温や海流の流路などにアンテナを張っていると思います。もちろん私もその一人です(笑)

水温と釣り場の傾向が見れるアングラーは、毎年のロジックが出来ているため迷い無くシーズンのスタートを見極めやすいと思うのですが、釣果情報だけチェックして痛い目を見た経験のあるアングラーもいらっしゃると思います。実際に今時期に良型の釣果をあげているアングラーは、この時期に釣れる条件のポイントを足を使って探し出す苦労もしていますし、おいそれと真似できないタイミングを見極めています。

今回お伝えしたいのは、釣れるテクニックではなく、良型がシャローに入りやすくなるタイミングの訪れを計る目安を知るというシーズンの見極め方。春イカの狙えるエリアで一般的なポイントに良型イカが入りやすくなる時期の予測の仕方です。

これから春にチャレンジしたいアングラーや、今年こそ!と意気込むアングラーにお伝えしたい、ちょっと面白いシーズンの目安となる条件をご紹介します。

川上 英佑(KAWAKAMI EISUKE) プロフィール

ショアをメインにオフショアからのエギングにも精通するYAMASHITAエギングマイスター。 エギング歴は20年に及ぶ。エギングが認知されてまだ間もない頃からYAMASHITAのプロスタッフとして活動、その活動範囲は国内外問わず幅広く、東南アジアからオセアニア、ヨーロッパ、南アメリカと世界中に及ぶ。また世界各国でエギングを行い、またエギングセミナーを開催。ロジカルなセミナーは海外でも人気が高い。

 

冬から初春のアオリイカ

この時期のアオリイカは、水温の上昇と共に深場から沿岸へと回遊する個体が増え始め、水温が16度以上で安定する日があれば高確率で沿岸からも狙いやすくなります。

アオリイカが卵から孵化するために必要な水温は18度。それ以下になると孵化できるアオリイカの数は減少し、孵化できたとしてもその生存率は低い。つまりは捕食のために回遊している可能性が高い個体です。釣れるサイズは中型~キロアップの良型、夜間にはそれ以上のモンスタークラスも単発ですが上がる時期でもあります。

ですが、水温も不安定で1発を求めて今日こそ!今日こそ!と現場に通ってしまうシーズンでもあります。

 

水温だけでは計れない春シーズンの訪れ

春は水温も徐々に上昇し、季節が深まるごとに水温も高くなり期待も持てますが、水温が上昇したからといって=シーズンが始まったとは言い難く、暖流の影響により上昇する水温もあり、暖流の流路による水温変化だけでなく、その周囲の海水温も上昇している事が望ましいです。

暖流接岸による水温の上昇は確かにナイトゲームで1発大物のチャンスの一つとして捉えられますが、暖流の流路が離れた際の沿岸の海水温が冷たい場合、状況は今一つとなり、本格的なシーズンとは言えないと考えています。

暖流の流路に関わらず、全体的に水温が上昇しているのに、釣果が思わしくない。例年ならこの水温で釣れていたのに明らかにシーズンに入ったような印象を受けない。

このような話を聞いたり、自身も経験したりする中で、シーズンに差し掛かっているのか、そうでないのかを判断する材料として目安にできる事象がないか?と考えるようになりました。

 

シーズン始まりの目安になる要素とは?

私が目安にしていることは、水温の推移だけでなく、その水温、その気温で活動を始める生物の動き、事象にも着目しています。情報を取れる生物の動きや、事象の数が多ければ多いほどその精度は増すと考えています。

実際に色々なエリアに行って、冬季~春季のエギングを楽しむアングラーや漁師さんと季節の推移について話していると、シーズンを判断する際に意外な共通点があることに驚かされました。

私がシーズンを判断する際に着目している要素は、魚、プランクトン、植物の3つ。

全てのエリアに当てはまる条件ではありませんが、広範囲で共通する内容だと思います。当てはまる条件があれば是非参考にしてみてください。

 

要素①:魚

ベイトの存在はもちろん大事ですが、それ以外に着目している魚は全国広範囲の沿岸に多く生息していて、アオリイカの春シーズンに掛かる水温で行動を起こす魚です。

その魚種とは「クロダイ」で、産卵行動に絡む活動。いわゆる春の乗っ込みと呼ばれるクロダイの釣果に着目しています。

水温がクロダイの乗っ込みが始まる状態に掛かり、クロダイの釣果が上向き始めたその1週~2週後にはアオリイカもまとまって動き始める傾向があるため、船釣りのコマセ釣りでの沖でのクロダイの釣果と堤防や筏、磯釣りの釣果をチェックするようにしています。

 

要素②:プランクトン

水中のプランクトンの存在を確認するわけではなく、春特有の「春濁り」の原因である植物性プランクトンの活動を指します。

1~3月、雪しろや気温により低下した海水温は4月以降気温の上昇に伴い、植物性プランクトンが爆発的に増えます。その際に水色は緑掛かった潮色へと変化し、季節に伴う変化を知らせてくれますが、急激に上昇すると潮色が濁り悪条件にもなります。いわゆる笹濁り、春濁りの潮色になるかどうかが目安です。

 

要素③:植物

海なのに何故植物?と感じる方もいると思いますが、初夏や初秋の季節の変化を感じさせるものに草木や花の匂い、また樹木の葉の色付きがあります。

つまり季節の変化で影響する海、植物もまた然りであると感じています。特に自身がアオリイカがショアライン沿岸へと回遊活動を始める際に同時期に見られる植物の活動で着目しているのは竹と桜。

竹の場合はタケノコの収穫。タケノコが収穫され始める=成長する要素は気温、気圧、雨量、湿度などが挙げられますが、アオリイカが春に接岸する時期と近しいと感じています。早い時期のタケノコは渋みを感じますが、アオリイカが釣れだす際の時期のタケノコは甘味が増し、数も取れ始めます。

 

もう一つ注目している植物は山桜。おおよそ3月中旬から4月上旬が開花の時期とされる山桜ですが、山桜が咲き始めると、経験上アオリイカも動き始めています。

出会ったアングラーの中には、一般的な桜のソメイヨシノを基準とする方や、2月上旬から咲く河津桜を目安にする方もいらっしゃり、暖流の当たる地域差もあると思いますが、ひとつの目安になる植物であると思います。

あとは余談ですが花粉ですね。花粉は気温条件で飛散量が変わり、私は重度の花粉症なので、鼻がムズムズしたらそのエリアは高確率でアオリイカが回遊しています(笑)

 

様々な要素でシーズンを見極める

上記で挙げた例は一部ですが、季節の到来=アオリイカの動き出しを計る際に同時期、同等の水温や湿度、気圧で活動を始める生物の動きは少なからずリンクしていると考えています。多少のズレはもちろん存在しますが、毎年春のポイントで釣れ始めた際に着目していた要素を顧みると相似している点がありました。

あくまで科学的な根拠の無い、経験での話なので恐縮ですが、ほかの要素や、目安とする手段もまだまだ存在するため、ご自身だけのシーズンの条件を探してみても面白いと思います。

釣果情報と水温のみを確認して動くよりも、フィールドに居なくても季節や自然を感じてアオリイカの動きを予測する。

もちろん成果に結びつかないこともありますが、そのプロセスもまた楽しいものです。今回の条件を参考に、是非春のエギングを楽しんでください。

 

ヤマシタ

「ヤマシタ(YAMASHITA)」は、神奈川県横浜市の老舗釣具漁具メーカー「ヤマリア」のエギング、イカ釣り、タイラバ、タコ釣りなど、海釣り用品に特化したブランド。特にエギングへの造形は深く、エギのスタンダートである「エギ王」シリーズや、「ケイムラ」カラー、「490グロー」カラーなどを送り出し、最新のテクノロジーでエギングの世界を変え続けている。