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【冬エギング】ヤマシタ川上英佑が解説…厳しい時期の1杯を狙う「冬のフォール論」実践編

寄稿:川上 英佑
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冬特有の季節風、荒天。今回は強風や荒れた条件下で有効なフォールについて、より実践的なテクニックをお伝えします。

冬期のエギングはエリアによっては季節風が吹きつけ、海面がザワついてウネリや波が立ちやすい傾向にあります。風を背にできる風裏をポイントとして選ぶ事は前提条件ですが、どうしてもベストな条件のポイントに入れなかったり、風向きが変わって巻き込んできたりと気象条件に悩まされることも少なくありません。

海面がラフになりやすく、エギに反応してくれる個体数も1年で最も少なくなるこの時期、イカがエギにアタックするかどうかを分ける「フォール」はアクションよりも重要なパートです。

川上 英佑(KAWAKAMI EISUKE) プロフィール

ショアをメインにオフショアからのエギングにも精通するYAMASHITAエギングマイスター。 エギング歴は20年に及ぶ。エギングが認知されてまだ間もない頃からYAMASHITAのプロスタッフとして活動、その活動範囲は国内外問わず幅広く、東南アジアからオセアニア、ヨーロッパ、南アメリカと世界中に及ぶ。また世界各国でエギングを行い、またエギングセミナーを開催。ロジカルなセミナーは海外でも人気が高い。

 

状況に応じたフォールが大切

強風時は海面のウネリの影響で、エギのフォール時にラインテンションを張ると、PEラインが風やウネリに引かれ、フォール中のエギが不安定になり、頭を上下させやすくなります。

そこで、フォールがブレる・不安定になる要素のラインの影響をなるべく最小限にするため、状況に応じてフォールを変えていきます。この状況だからこのフォールが効くということではなく、状況が悪くなるにしたがって有効なフォールの選択肢が限られてくる…と考えてください。

風も無く、ウネリも無ければ、フリーフォール、テンションフォール、ボトムステイ、ロッドを送り込みながらじわじわとテンションをかけるフォール、ロッドをサビいての水平移動など、選択肢は幅広くなり、その日にイカが反応してくれるフォールの種類を織り交ぜて探っていくことが可能です。

一方、気象状況が悪くなれば、ラインテンションを張るだけではエギをいたずらにバタつかせてしまったり、横風にラインが取られてしまうとエギが沈ませ難いばかりか、アクション自体も膨らんだPEラインの軌道上にしか動かず、ほぼ意図したことができない状態になります。

 

基本はフリーフォール

悪条件な時に有効なのが「フリーフォール」

テンションを掛けるとPEラインが風やウネリでバタつくような時、マイナスの要因を極力排除してくれます。着底を感じる事は荒れてる状況とラインテンションからも判断が難しいため、カウントで底付近までエギを沈めながら探っていきます。

ただフリーフォールで落とせば良いというわけではなく、アクション時になるべくラインのフケを作らないこと、自分とエギとラインが極力直線状になるようにラインメンディングしながら…が条件となります。

無風状態ではないですから、理想的なフリーフォールがなるべくできるようにアングラーがその前段階を作ることが必要です。

 

フリーでも厳しければ強制的にエギを引く

風がかなり強く、向かい風で強制的にラインが張ってしまったり、風裏でもラインが叩かれるような状況の場合、フリーフォールでも太刀打ちできないケースがあります。

そのような状況なら安全面でも場所移動した方が賢明ですが、風のピッチが断続的な状況やフリーフォールで反応が得られない時に試している方法が「強制的にエギを引く」です。

エギを水平移動させる?

フリーフォールさせていて、ラインがバタついたりして明らかにエギに影響を及ぼしている可能性がある時は、強制的にロッドを引いてエギをじっくりと移動させます。

風が強ければ強いほど、強く引く必要があるためそのスピードは徐々に速くなっていきます。アクション後にロッドを引いてエギをスローフォール、スピードによってはタダ巻きのような水平移動になります。

エギを跳ね上げて落とすことがエギングの基本なので抵抗がある方もいらっしゃると思いますが、ティップランエギングを始め、アオリイカ漁師の曳釣りのようにエギが水平移動、風や潮の状況によっては徐々に上へとエギが移動しているような状態でアオリイカを釣りあげる技法は現在のエギングが確立する前から存在します。

リーリングしてのタダ巻きでも良いとは思いますが、スピニングリールは構造上ラインテンションが一定に掛かりにくいため、ロッドをサビいた方がより安定したフォール、もしくは水平移動を演出できると考えています。

エギをアクションさせた後、ロッドを引いてエギを安定させ、アタリが無ければそのままアクションに移行したり、再度底取り⇒アクションを継続します。

 

風が緩んだタイミングを見逃さない

風が弱まった時や、止まった一瞬に急にアタったという経験のあるアングラーも少なくないと思います。

風の強い時ほど、極力エギを安定させようと努力していてもフォールはベストな状態ではありません。そのため、風が緩んだタイミング、止まった一瞬を見逃さずにしっかりテンションフォールを入れることで今まで無反応だったポイントでいきなりアタリが出ることも少なくありません。

時合であれば、関心はあるけどエギが不安定だからアタックしようか迷っている状態になっている個体も居る可能性は高いため、このチャンスを見逃さずに意図的に入れる丁寧なフォールは非常に効果が高いと考えています。

今回は冬特有の荒れた条件でのフォールについてご紹介させていただきました。

エギングで大切なフォール。シチュエーションに合わせて選ぶことでアオリイカからの反応も変わってきます。1パイに辿り着くことが難しいシーズンですが、冬季のエギングは考えながら探ることで、エギングの技術が飛躍的に向上します。

この時期の価値ある1パイを狙って、今回のフォールの選択肢を参考にぜひ冬イカにチャレンジしてみてください。

 

 

ヤマシタ

「ヤマシタ(YAMASHITA)」は、神奈川県横浜市の老舗釣具漁具メーカー「ヤマリア」のエギング、イカ釣り、タイラバ、タコ釣りなど、海釣り用品に特化したブランド。特にエギングへの造形は深く、エギのスタンダートである「エギ王」シリーズや、「ケイムラ」カラー、「490グロー」カラーなどを送り出し、最新のテクノロジーでエギングの世界を変え続けている。