今江克隆のルアーニュースクラブR「初公開!超バーサタイルショート&ハード WARGAZELLE(ウォーガゼル)63MHR」の巻 第1086回
M40Xの登場
このような経緯を経て完成寸前だった「ハングマン」は、フルチューブラーの「ウォーガゼル63MHR」へと開発を大きく転換することになる。
その後押しをしたのが、ちょうどこの年発表された「M40X」の登場だった。
「M40X」は、カレイドの筋肉ともいえる「T1100Gナノアロイ」をさらに超高弾性化させた高強度高弾性カーボンの現時点での最高峰カーボンである。
どうしても物性的に破断においてリクスがあった「SGSガゼル」の40トンカーボンの脆さを完全に克服し、超高弾性とは思えない曲げれば曲げるほど追従してくるムッチリとした粘りをもつ「M40X」の登場は、まさに新型ガゼルの誕生に渡りに船の存在だった。
これに50トンカーボンをコンポジットし、驚くほどの細身なブランクスにも関わらず、強靭な張りを持つバットと「M40X」、「T1100G」に特有の“張るけど曲がる、曲がるのに張る”不思議な感覚をティップに表現することができた。
バーサタイルショート&ハード
この感覚のティップは「柔らかいようで垂れない」とも表現でき、やや重めのベイトフィネスのピッチングにおいて、ティップだけ「垂れ」ることによるルアーの「手前落ち」がほとんど起きない。
吊るしにおいても変に垂れないことで枝にスタックする確率も低い。
「野良ネズミマグナム」や、「メタルマウス」の高速ドッグウォークでもティップのテンション吸収によるズレが起こすギクシャク感は皆無である。
「M40X」の驚くところは、このロッドで大型ペンシルベイト「スラムドッグ(モンスター)」すら、平気で扱えてしまう潜在パワーの高さがある。
「ウォーガゼル」は、一見するとライトアクションかと見まがうほどの全身スリムで細身なブランクスに、シングルハンドに毛が生えた程度のショートグリップである。
しかし、そのリフティングパワー、フッキングの切れ味は一度、PEベイトフィネスの「野良ネズミ」や3.5g〜5g/10~12lb程度のワイルドフィネスで使ってみると一発で実感できると思う。
カバー内でバスを掛けてもPEのノンストレッチ性能を組合せれば、フロロ14lbの7フィートロッドに匹敵する引きずりだしパワーも発揮してくれる。
ティップが垂れないため、1/4oz程度のフットボールジグのメリハリ効かせたホッピングにも適応がある。
また、ハードベイトにおいては、超軽量&ショートハンドルの恩恵でジャークベイトにも軽快無比な操作性と「飛ばし」能力を発揮してくれる。
当初は、PEベイトフィネスを起点に開発を開始した特殊なショートハードロッドだったが、PEベイトフィネス専用機「ハングマン」を経由し、最終的にはスモラバ2gからのベイトフィネス、5g前後のワイルドフィネス、PE1.5号クラスのPEベイトフィネス、軽量フットボールジグ、1.5号クラスのPE水面操作系ハード&ソフトベイト、そして110㎝級ジャークベイトまで、とても適応範囲の広いバーサタイルショート&ハード「WAR GAZELLE(ウォーガゼル)63MHR」として完成するに至った。
ちなみに「ウォーガゼル63MHR」はすでに完成しており、順調にいけば「ジャイアントディアウルフ」の6月リリース後、可能な限り早い時期での生産出荷を予定しています。