ルアーに命を吹き込むのは、ヒトではなく「水」である
長いことルアーフィッシングをやっていると、不思議なものでね、あまりルアーのアクションを見なくなるんだよ。
いや、もちろん見てはいるのだけど、僕が本当に気にしているのは、ルアーアクションじゃない。潮だったり、風だったり、水面に浮かぶ泡だったり。要するに「水」をみている事がほとんど。

レオン 加来 匠(Kaku Takumi) プロフィール
ルアーに命を吹き込んでいるのは自分…か?
もちろん若い頃はそうではなかった。ルアーをどう動かそうかとか、どうアクションを入れたらスイッチが入れられるのかとか、そんなことばかり考えていたように思う。
しかし、いろんな水辺を歩きさまざまな魚を相手に長いことルアーを投げ続けているうちに、少し考え方が変わってきたのです。当時雑誌などによく書かれていた「ルアーに命を吹き込む」という表現。確かにかっこいいし説得力もある…。でも、ルアーに命を吹き込んでいるのは本当に自分なんだろうか……。いつしか、次第に僕はそう思うようになりました。

ミニマルシャロープロトで、流すだけで食ってきた、自身瀬戸内堤防尺メバルの記録更新した33.5センチの記念すべき魚
実はかなり違う。それは表面的なものであり一義的な物に過ぎません。しかし現代においても、ルアーのアクションにこだわるアングラーはとても多いのもまた事実。
さて、そこで僕が身につけたのは、「ルアーに命を吹き込んでくれるのは“水“なんだ」という考え方です。
そこに気がついてからの僕は、ルアーアクションよりもメソッド。つまり、どれだけ早く動かすか、どれだけ遅く動かすか、長く動かすか、短く動かすか、はたまた全く動かさないのか…。など、“操作の在り方“に傾注し、そこから具体的にターゲットにアプローチするために、今度は“水をどう使うか“を考えるようになっていったのです。
潮に乗せるのか。流れに預けるのか。風で送り込むのか。反転流へ滑り込ませるのか。目の前の潮(水)を観察し、そのルアーが一番自然に見える場所へ水に運んでもらう。そんな釣りをするようになったのです。

リップカットして丸刈りにしたジェイボーイで、水面流して食ってきたチヌ
「巻かない」釣り
例えばメバリングで説明すると、僕が三十年近く使い続けているプラグにバスデイの「シュガーミノー50S」があります。これは元々渓流用にも考えられたミノーですから、巻くだけでキビキビとウォブリングしますし、そこへトゥイッチを入れ、小魚が逃げ惑うような動きを演出するルアーです。
ところが僕は、メバリングではこのルアーをほとんど動かさない。もちろん最初にチョンと存在を知らせる程度のトゥイッチは入れます。でも、それだけ。あとは巻かない。浮かべているだけ。
また、巻くとしても、ブリブリ泳ぐようなスピードでは巻きません。「あれ?泳いでる?」そのくらいのデッドスローです。言い換えれば、シュガーミノーの一番良い動きであるウォブリングが“あえて出ないように“巻きます(笑)
そして一番多いのは、やっぱり流す釣り。止める釣りと流す釣り。
そうです。この25年、雑誌や書籍にも散々書いてきた、いわゆる「巻かない釣り」ですね。つまり、これらの考え方の根底というか、傍目にはわかりにくい技巧の部分が「ルアーを動かすのは、実はヒトでは無く水である」という捉え方なのです。
潮に乗せる。流れに預ける。風に運んでもらう。
だから、シュガーミノー50Sというルアーを使っているようでいて、実は相手にしているのは潮なのです。どこでテンションを掛けるのか、あるいは抜くのか。どこで流れに委ねるのか。…メバリングに限らず、そこが決まればルアーは勝手に仕事を始めてくれます。
結局ルアーとは“水ありきの道具”であること
そして、潮はいつも同じじゃない。いつもより流れが速くなる日もあるし、もう少し深いレンジを流したい日もある。そんな日は当然ミノープラグでは少々仕事がしづらくなる。そこで自然と「ミニマル50」や、のちには「SPM75」を投入することになります。

SPM65のリフト&フォールで食ってきたマダイ
それまではジグヘッドにワームでしか攻めてなかった領域(レンジ)へプラグを送り込む。今思えば個人的にもコペルニクス的転回です。釣れる魚のサイズが大きく伸びただけではなく、驚きや“してやったり”感と共に、大きな満足感に浸る喜び…。
近年はナッゾジグやごっつんバイブを多用する事が多く、メタルルアーと水との絡み(浮力的な)に嵌りこんで長らく研究中ですが、結局ルアーというものは水ありきの道具であり、水の動きに大きく左右されるものです。

プラグやスプーンでは厳しい流速の中、ナッゾジグを泳がせてキャッチ
だからみなさんにも、「このルアーが釣れる!」ではなく、「このタイミングならこのルアーをこう使う!」という、まさしくルアーフィッシングの王道領域を共有して楽しんでいただけますよう、インクス的にも新たなアイテムのプロダクトに取り組んでおりますので、ぜひご期待ください。
























































