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【ロックンノブ進化論】“触感”は、どこまで精度を持てるのか

連載:加来 匠レオン「ライトゲームマニア」
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ライトゲームという言葉が定着して久しい。

細く、軽く、小さく——その流れはひとつの正解として、多くの釣果を支えてきた。だが現場に立てば誰もが知っているはずだ。メバルを狙っていても、食ってくるのはメバルだけじゃない。キジハタ、マダイ、そして青物まで。

だが、ラインもリールも進化した今、“ライト”という言葉で括るには現場が広がりすぎている。だからこそインクスレーベルは提唱してきた。“ミドルゲーム”という概念を。繊細さを捨てるのではない。そこにパワーと余白を内包させるという考え方だ。

レオン 加来 匠(Kaku Takumi) プロフィール

加来匠(かく たくみ) 中国&四国エリアをホームグラウンドとし、メバルやアジ、根魚全般の釣りを得意とする生粋のソルトライトリガー。レオンというのはネットでのハンドルネームとして使い始めたが、いつの間にか、ニックネームとして定着。ワインドダートやSWベイトフィネスなどを世に広めた張本人、新たなスタイルを常に模索中! 「大人の遊びを追求するフィッシングギアを提供する」ことを目的としたプライベートプロダクション「インクスレーベル」代表もつとめる。

ロックンノブ誕生の原点

「ロックンノブ」はライトゲーム用の“メタルラウンドノブ”である。

だが、そのサイズ帯に“適切なもの”は存在しなかった。大型はパワー寄り、小型はフィネス寄り——その両極しかなかった。しかし、その中間であるミドルサイズこそ、今や確実に時代が求める必然となった。

近年、先鋭化かつ小型化したライトゲーム用ノブは、各社が工夫を凝らし、ウッド、プラスティック、メタルと多種多様な選択肢が揃っている。そしてどれも完成度は高い。だが——ミドルクラスの世界観において、その選択肢はほぼ存在していなかった。つまりこれは不足ではなく、“未定義領域”だったということだ。

摘める。しかし握り込める。どの角度からでもトルクを伝えられるラウンド形状。それは“繊細とパワーの両立”というミドルゲームの思想そのものだった。

進化の本質は「触感の精度」

今回の進化を一言で言うならば、“触感の精度”だ。

ロックンノブは超ジュラルミン6061を素材とする。だが従来はアルマイト処理という前提があった。このアルマイト、機能としては優秀だが、質感という領域においてはどうしても限界がある。わずかな曇り、浅い奥行き、微細なザラつき。触れた瞬間に感じる“あと一歩”の差——そこに今回は踏み込んだ。

素材という見えない性能

ここで少しだけ“素材の話”をしておきたい。ロックンノブに使っているのは、いわゆる普通のアルミではない。「超ジュラルミン6061」だ。

違いはとてもシンプルで、普通のアルミは“軽いけど少し頼りない”。一方の6061は“軽いのに、しっかりしている”。この“しっかりしている”という感覚が重要で、力をかけたときに逃げずにそのまま返ってくる。

ノブは小さいが、最後に力が集まる場所だ。だからこそ、この差は意外と大きい。今回こだわった仕上げで表面の密度が上がり、そこに6061の芯が乗ることで、“触感”が一段、締まった。

真空蒸着メッキという選択

ここで重要なのが、仕上げの考え方そのものだ。

従来のアルマイトは、金属そのものを変化させ、表面を酸化させて硬くする処理である。軽量で耐食性にも優れ、釣具のカラーリング技術として長年使われてきた優秀な手法だ。

しかし一方で、長期使用による退色や変色、紫外線による劣化、接触部の色抜けなどは避けにくい。また、表現できる色味や質感にも一定の制約がある。

そこで今回採用したのが、真空蒸着メッキによるカラーリングだ。

真空状態の中で金属イオンを蒸着させることで、金属らしい深みや質感を表現することができる。工程としては従来より遥かに手間が掛かるが、その分、色彩表現の幅は広がり、耐候性や色の安定性も向上した。

今回のロックンノブにおける進化とは、単なる色替えではない。素材感そのものの表現力を高めるための進化なのである。

HEXAGON断面という意匠と機能

もう一つの特徴が、HEXAGON——六角断面のホールデザインだ。これは単なる軽量化のためだけのものではない。

もちろん機能的な意味もあるが、ロックンノブという金属削り出しパーツの個性を形作る重要な要素でもある。

そして今回、真空蒸着メッキによる仕上げを採用したことで、HEXAGONの面構成や陰影がより美しく表現されるようになった。

特に光が当たった時のエッジの見え方や、面ごとの表情の変化は従来モデルとは明らかに異なる。

機能だけではない。

削り出し金属ならではの立体感と存在感を、より楽しめる仕上がりになったのである。

アルマイトとの差は“見ればわかる”

旧モデル(アルマイト)と新型を見比べれば、光の返り方、表面の深み、エッジの立ち方、その差は明確だ。だが本質はそこではない。触れた瞬間、そして巻いた瞬間。“あ、違うな”とわかる。この感覚こそが、今回の進化の核心だ。

左:新型/右:旧型

色が語る実用性——Solid BlackとGun Metal

今回用意したカラーの中で、この2色は一見すると近いトーンに見える。だが単なるバリエーションではない。リールという道具を見れば分かる通り、基本となる色はシルバーとブラック。その中で各社各銘柄ごとに微妙な色味の違いが存在している。完全な黒ではない黒、わずかにトーンを落とした金属色——その“僅差”が実際には大きな違和感になることもある。

Solid Blackは、最もニュートラルに収まる黒として、どのリールにも自然に馴染む。一方のGun Metalは、シルバーとブラックの中間に位置することで、金属感を保ちながらも主張しすぎない。

この2色の存在によって、どの機種にセットしても違和感を生まない“逃げ場”が確保されている。派手さはない。だが確実に必要なラインナップだ。

素材と現象——Duralumin SilverとBurnt Titanium

そして象徴となるのがこの2色。Duralumin Silverは素材そのものの美しさ、削り出された金属の素性をそのまま見せる原点。一方のBurnt Titaniumは、チタニウム素材が熱によって変質し干渉色として現れる“現象”を、メッキ+塗装という手法で落とし込んだ。

これは単なる塗装では成立しない領域だ。何度も試し、層を重ね、ようやく辿り着いた。ここにあるのは色ではない。“温度感”だ。素材の始まりと、変化の終着点。この両極をひとつのノブで提示している。

ミドルゲームと操作系の最前線

ミドルゲームとは余白の釣りだ。距離、レンジ、魚種——すべてを決めつけず、対応できる幅を持つ。そのために必要なのは、道具が破綻しないこと。ロックンノブはその最前線にある。摘むでもなく、握るでもない。“操る”ためのノブ。

最後に

道具は、アングラーの意思を拡張するインターフェースである。ならばノブとは、その最後の接点だ。今回の進化は小さい。しかし確実に一段、深いところへ入った。

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