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今江克隆のルアーニュースクラブR「Ambassadeurと私とGraviusと。」 第1303回

公開日:
連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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別れ

だが、ABUとの別れは唐突にやってきた。

2021年末、自分が最高齢TOP50ランキング年間3位を獲得したその年の年末、奇しくもLX992RSが世に出たそのタイミングで、1枚の紙切れで「契約終了のお知らせ」が届いた。

自分の釣り人生においてこの時以上の青天の霹靂はなかった。

外資系企業の恐ろしさ、ピュアフィッシング・ジャパンの社長交代による経営の劇的方針転換だった。JB/NBCへの協賛打ち切り、さらに自分、小森嗣彦プロ、河辺裕和プロ、青木大介プロがABU/ピュアフィッシングとの契約解除になった。

本当に紙切れ一枚の通達だった。総帥トム・ベデルも高齢になり、M&Aによって自分の会社を投資会社に売却し引退した後のできごとだったため、もう助けを求めることもできなかった。

ABUはオーナーであるトム・ベデルが退任して以来、親会社が過去何度も変わってきた。現在は完全にアメリカの会社になっており今年の春、SWEDEN本社は閉鎖された。日本の総代理店も何度も会社や経営陣が変わっており、日本的な情や絆など経営陣が変わればすべて白紙になり、新社長の方針によってはドライに契約は切られてしまう。それを甘く考えていた自分の契約意識がプロではなかったことをこの時、いやというほど知ることになった。

Gravius

ABUとの契約終了は自分のバス人生で一番のショックではあった。だが、その過程で培った絆が窮地を救ってくれた。 LTZの鉄仮面で知り合った青木哲プロがイマカツプロスタッフとなっていたことで、リールはGraviusを提供してもらえることになる。

自分にとって幸いだったことは、GraviusもABU同様、「余白」があるリールだったことだ。 ABUとの別れによる戦力不足を補うため、沢村幸弘プロの力を借りられたことは大きかった。ABUに当てつけたGravius Aurora/KTF、特にFinesseにおいては現時点でもこれ以上の軽量プラグを向かい風でスイングできるフィネスリールはないと断言できる名機だ。

そして、青木哲の男気にも救われた。

青木は「やっぱり今江さんはABUが似合います。気に入ったリールを使ってくれたらいいですよ」と気遣ってくれた。自分にとって発売直後に契約解除になったLX992RSは、自分の最高傑作でもありREVIVEの武本氏のベイトフィネスチューン最高傑作でもある。ABUは使えなくなった(JB撤退ゆえロゴ露出禁止ルール)が、自分の分身を捨てたくはなかった。青木の男気に甘えてLX992RSのすべてのロゴを真っ黒に塗りつぶし、修理不能でボロボロになるまでGraviusとともに使い続けてきたのはそういった経緯である。

ABUを解雇されてからも青木哲の理解を得て、自分の分身でもあるLX992RSだけはギアがボロボロになっていた今もずっと愛用している。その今でも国内外の人気の高さからABUでは2027年に数量限定だが復刻生産が予定されている。

そして、そのLX992RSの後継機種となる、自分とREVIVE武本チューナーの意地とプライドをかけたGravius Knight Raven/REVIVEが2025年9月、ついにプロトが完成した。 それは奇しくもピュアフィッシング・ジャパンが経営陣を一新し、再び自分を必要として再契約を申し入れてきたそのタイミングだった。

正直、心は大きく揺れた。だが今回もG-nius青木哲の男気に救われた。「今江さんはやっぱりABUが似合いますよ。好きなのを使ってください。」 その言葉に自分は甘えることにした。やはり自分はABUが大好きなのだ。経営会社がどこになろうとABUはやはりABUであり、自分の釣り人生から絶対消えることのない存在なのだ。

だが、同時にピュアフィッシングに対して「契約はするがプロスタッフにはなりません」と回答した。青木が「好きなものを使ってください」と言ってくれたように、今度は自分がABUに「自分が好きなものを使う」という条件を提示し「アンバサダー契約」という新たな枠組みで再契約することにした。それは裏を返せば、GraviusとREVO LX992RSを併用してきたように、AmbassadeurとGraviusを用途によってベストの選択をして、ともに使うことを許可された契約である。

逆にLX992RS同様、グラビアスオーロラKTFもまた自分の分身であり、フィネスに関してはフィネスシャッド用として心底溺愛しており、今度はABUの理解を得て愛用している。グラビアス暁も自分的にはぜひとも世に出したいと思っている。

LX992RSを現代のLIVEサイトや中量級ベイトフィネス、PEベイトフィネスに合わせてグラビアスに受け継がせたのがREVIVE武本氏が手がけたKNIGHT RAVEN。誰もが使いやすい究極のフルチューングラビアスだと自分は思っている。

ABUとGraviusの共通点こそが、自分色に染め上げる余白がふんだんにあること。REVIVEによって内部構造、スプールまで専用設計されたKnight RavenはLX992RS同様、過酷な環境でのストレスフリーコンセプトに仕上げられている。

使ってみたい

正直、外資系会社との契約の怖さはいやというほど味わった。また経営者が変われば同じことが起きない保証は何もない。だが、ABUが再契約の話を持ってきた折、自分に対して、どうしても断れない驚くべき計画が明かされたからだった。

それがREVOの電子制御VOLTIQ化だけではなく、丸型Ambassadeurの復活、すでにVOLTIQ化された現物を同時に目の当たりにしてしまったからだ。その赤いAmbassadeur VOLTIQの輝きはあの日、自分が5600Cをショーウィンドウ越しに見た感動を蘇らせてしまった。もう一度騙されてもいい、それでもこれは使ってみたい。そう思ってしまったのが隠さぬ本心である。

Ambassadeur2500Cを彷彿とさせるも、実際にははるかにそれを超える深紅の超小型・超軽量ハイギアのAmbassadeur1700 VOLTIQ。そのコンパクトさに対する性能はABUの歴史でも過去最高と言っても過言ではないと思う。 忖度なしに断言しておこう。Ambassadeur 1701 VOLTIQは本当に素晴らしい。特にスキッピングは神レベルに誰でも超イージーである。インスタで神スキップを見せたい人には超おススメだ。これ以上にスキッピングが超イージー&バックラッシュレスなリールは自分も経験がない。あと1.5号~2号のシンキングPEを巻いてみたらさらにシビれる性能に本当に驚くと思う。スキッピング、PEとの相性は究極だ。今江的には1700、1701の30mmスプールが絶対推しである。

使い込むほどに電子制御のイージーさを感じるVOLTIQ。特に1700番は素晴らしいの一言だ。フロロはもちろんだがPEを巻いて使うとそのすごさがさらに明確に実感できる。だが、それだけに余白はほとんどないともいえる。

50年前、アンバサダー2500Cのあまりの小ささに驚いた記憶があるが、同じ30mm径でもアンバサダー1700の超絶コンパクトさは驚異的の一言だ。電子制御ユニット込みで150g台、ギア比も1:7を実現した事実は賞賛に値する。

今江的オススメは1701VOLTIQ。ギア比1:7は霞ヶ浦で本気で使っても1:8に比べてもまったく不便を感じない。それ以上に30mmスプールの性能とホールド力の確かさ、PE対応力が本当に素晴らしいチューン不要のベイトフィネス機だ。

そしてABUは自分の心をくすぐるさらなるもう一手を打ってきていた。

ある意味、VOLTIQは究極のイージーユース、バックラッシュレスに関してはマグや遠心の比ではない。だがVOLTIQは精密電子制御だけにベアリング一つ変更するのも難しい「余白なし」の完全デフォルトが完全ベストのリールなのだ。これだけなら自分がVOLTIQを使う場面はかなり限られると内心では思っていた。だが、ABUは自分の心を鷲掴みにする究極の「余白」を隠し玉として準備していた。それが来年2月日本限定発売予定の「Ambassadeur 1701&3701MG赤ベロ」である。

確かにVOLTIQの快適さはベイトリールの概念を変えるものだ。だが、余白の多さこそがABUの魅力であり、その余白を自分色に染めあげるのがABUの魅力だと思っている。赤ベロMAGのラインナップはまさに我が意を得たりだった。

バス人生の最終幕にして再び「赤ベロ」に巡り合うことになるとは、これも何かの運命なのだろうか。このAmbassadeur1701MG赤ベロの余白を最高の自分色に染めあげること、それが自分の最後の目標になるかもしれない。

ABU公式チューナーREVIVEの武本氏がすでにフルチューンに入っているアンバサダー1701&3701MAG。氏の気合の入り方は尋常でなく、史上最高のアンバサダーRSが誕生する予感がする。

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