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今江克隆のルアーニュースクラブR「製品化は無理!? 機能最優先・コスト度外視・採算性無視!『ダンベルクラブ』の魅力」の巻 第1192回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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いよいよ、ゴールデンウィークに突入。

今年は、結果的にスポーニング前線は桜と同じく例年より結構遅れ気味で、特に琵琶湖やハイランドリザーバーではGW明けの大潮が、ピークになりそうな感じ。

そんな今週は、TOP50開幕戦で肉離れした脚のリハビリテストと、ルアマガ取材を兼ねて、3日間、山口県の山代湖と弥栄湖に行ってきた。

釣行前は、当日が大潮だったこともありスポーンのピークでネストだらけ?と思いきや、寒冷地のためか、ごく一部のエリアだけでスポーンがようやく始まった感じで、全域的にはまだまだこれからという状況だった。

「レイジースイマー9インチ」でモンスター

今回のロケでは途中、取材が1日しかできなくなる大アクシデントがあったが、スポーンが一部で始まっていたこともあって「レイジースイマー9インチ」で、なんとか取材映えする弥栄モンスターを仕留めることができた。

大アクシデントで1日のみの取材になったが、「レイジースイマー9インチ」のお陰で、グラビア映えする弥栄モンスターを仕留めることができた。メインのお題ではなかったが…

今年の春の「レイジースイマー9インチ(レイジー9)」の活躍は目覚ましく、七色ダム、池原ダムをはじめ、現在はイマカツ・スタッフが少ない琵琶湖オカッパリでも徐々にそのモンスター捕獲力を発揮し始めている。

スポーニングが遅れ気味の琵琶湖・湖北でも「レイジー9」で釣ってるアングラーが増え始めた。今江的には琵琶湖でこそ、最強だと思うのだが…

サイドフックの理解度が広まったことで、丸呑みできないサイズでも高確率でフッキングできることが、「レイジー9」の大きさへの抵抗感を減らしたのが、要因だろう。

池原アングラーの藤原氏のフックセッティングは、非常に興味深い。このインスタで見る限り、自分が今思っている逆説のサイドフック理論を、すでに実践しているのかもしれない

そのサイドフックに関してだが、最近、さらに一歩先を行く「サイドセッティングの妙」に気が付いた。

時期によってサイドフックのポジションを変える方法なのだが、かなり確実なフッキング率アップが望めるので、詳しくはまたブログか、ココで紹介したいと思う。

「ダンベルクラブ」の魅力

さて、今週は「レイジー9」の解説ではなく、今回のロケで痛烈に実感した「ダンベルクラブ」の魅力について解説したいと思う。

今回のテストロケは、6月初旬にはリリースができそうな「ダンベルクラブ」の最終量産品とカラーサンプルの実釣テストを兼ねていた。

まぁ、間違いなく釣れるのは分かっていたが、コイツはその想像の上をいくポテンシャルがあることが、本格的に分かってきた。

高齢者にも投げやすく、根掛からない「ダンベルクラブ」。山代湖、弥栄湖の最終製品テストでは、面白いほどド中層で50cmUPが釣れた

まず最初に強く断言しておくが、「ダンベルクラブ」は「元祖サイコロラバー」や「サイコロ系」ワームとは間違いなく一線を画した別モノになったということだ。

最初は自分も、河野(正彦)プロにデザインをさせた時に「まぁ、サイコロの類やな…」と正直、思った。

確かに、今でも2つにカットしてしまえば、「サイコロラバー」2個の代用にもなる(笑)。

完成が遅れた理由

だが、それではどうにもオリジナリティがないので、河野プロに「俺は老眼なんで、飛ばないサイコロラバーは苦手やし、ガードがついてるマス針でもオバハン奥やレイダウン際では消える魔球(老眼は遠近感がボケる)で引っ掛かってまうから、オフセットフックで使えるように考えろ」と、高齢者にも優しくするよう課題を出した。

ココが、ほぼカタチになっていた「ダンベルクラブ」で河野プロを最も悩ました点であり、当初のリリースより大幅に完成が遅れた理由でもある。

河野プロは、良くも悪くも完全な「機能性、実戦性最優先」の純・釣り師である。

すなわち、見た目で人が釣れるデザイン力、デザイナーとしての才能は全く、ない。

コレが一番釣れるカタチと確信すれば、ブサイクさや奇天烈さは全く気にしないし、見た目にきれいなリギングより、ひたすら動きのみを追求したブサイクリギングでも、それが一番よく動くなら全く迷いなくそれを使う。

BMC霞戦を制した「ハドルファットフライ エラストマー」のリギングのブサイクさは天下一品だったが、実はそれが一番良い動きを出せることを彼は分かっていて、使っていた。

「ダンベルクラブ」のカタチは、一見、およそ生き物とは程遠い無機質なモノだ。

だが、20年以上プラグを研究しデザインしてきた経験からいうと、そのカタチはバスに気付かせる水を押すこと、バスが好む動きを発生させることに関しては、極めて理に適っている。

前から見たダンベル構造。アイを中心に面がリップの役割を果たし、オフセットガードの4本脚でボトムと腹面に隙間を作ることで、飛ばしやすく、ステイ時にもバスが吸い込みやすくなる

絶対製品化は無理!

さらには、ラバーレッグの一本一本のカタチから長さ、植毛角度がアシンメトリー(非対象)で極めて複雑な角度で生えていること、また脚の関節、先端の爪状の開きにまで、動きを出すためのコダワリがあった。

真っ黒な「ダンベルグラブ」だと、関節と爪を持つラバーレッグがよく分かる。しかも左右上下で非対称の複雑な植毛技術が採用されている。コレも河野のラバー刺しのコダワリだ

そのシンプルでいて複雑なカタチを、勘で一発目から出してきた河野プロは、ルアーデザインの才能が有るのか無いのかイマイチ分からんというのが、自分の印象だ。

ただ、ルアーを作ったことがないゆえにコダワリが凄まじ過ぎて、製造に係る量産性や金型費用、採算性を端からガン無視しており、これを製品化するとイマカツ史上最も馬鹿げたコスト、馬鹿げた価格のワームになることは明白だった。

ルアーの金型製作を少しでも経験した人間なら、まずハンドメイド試作品を見た瞬間に「絶対製品化は無理!」と、にべもなく却下しただろう。

実際、絶対にイマカツ以外では今後も誰もやらない、いや、できない非常識なワームと断言しておく。

採算無視で製品化した、その価値は?

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