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今江克隆のルアーニュースクラブR「マル秘プラグ『沈バド』をついに初公開!」 第1297回

公開日:
連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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さて今週は約2年の歳月を経て、ついに昨日最終完成をみた河野正彦プロとの共同開発㊙プラグをルアニュー初公開しよう。

その開発コードネームは名は体を表す「沈バド」

すなわち最初は河野プロ発案の「沈めて使うバド」がコンセプトで始まったが、バドの使い手として自負と実績のある自分としてはどうにも河野プロだけには任せておけず、これは関わらずにはいられない期待の㊙新作だったのである。

この「沈バド」の最初のきっかけは、河野プロが2年前のMLF霞ヶ浦BMCトーナメントで、大山のドブ川を攻略し5位入賞したときに、イマカツ社員ともあろうにダイワの「T.D.ハイパークランクJr.Ti」を改造したものを使っていたことが発端だった。表彰台獲得は喜ばしいものだったが、使ったルアーを聞いてこともあろうか国産プラグ自社生産メーカーであるイマカツの社員(しかもほぼバスプロ自由勤務)にもかかわらず他社のプラグを黙って使っていたことにムカついて、10,000ボルトの電撃落雷を落としたことに始まる。

「自分が使いたいルアーは自分で作れ!」がイマカツのモットーであり、それを最速最短で作れる環境下に毎日いながら、さらにはトーナメントに出るためランクルにバスボートまで提供されながら、目の前の勝ちに目がくらんでメディア同船の試合で他社ルアーを使う脳内お花畑さが頭にきた。

そのルアーを完全に超えるものを自分で作ってみろ!」という叱咤からコードネーム「沈バド」の開発は始まった。

MLF霞ヶ浦BMCで見事、河野プロは5位入賞を果たしたが、その後のパターン報告の電話で落雷が発生した。

昨年の遠賀川でファーストプロトを低弾性カーボンロッドでテストしていたが、このサイズ感では重量が軽くかなり投げにくい印象だった。

沈まないものを無理やり沈める

「沈バド」についてだが、かつては無双の威力を誇ったバドも、今や当たり前のように使われるようになったことでその威力は明らかに落ちたものの、沈まないものを無理やり沈めることでその威力がいまだ健在であることに、自分は薄々気づいていたのだ。それが近年、大型リップを搭載したクランクベイトをあえて浮かせず、潜らせず、強制的に水面直下を維持して使う釣り方である。

その走りが「ハイパークランク」のデッドスロー水面直下巻きであり、古くは長らく理解されていなかったが「クランキーダーター」もその一種?だったのかもしれない。

だが、このデカいチタンリップをもつ2つのディープクランクが、必ずしも「沈バド」のコンセプトで初めから作られていたとは思いがたい。事実ハイパークランクはかつて河口湖のドラッギング専用クランクとしてトーナメントで大流行し、8m以上のディープを攻めるクランクとして一世を風靡している。 それゆえに最初から沈バド能力に特化、最適化すれば、もっと強力なサブサーフェイスクランクが作れるのではないかと思ったからだ。

だが、同じコンセプトを考えていたメーカーがやはりあった。最初に河野プロと作ったプロトは、デッドスローで大きく動きながらも水面直下を浮かず潜らずでキープできる高浮力を持つ小型ボディーモデルで、同時にバド系の絶対能力の一つである「金属音」を出すためブレードサイドに極小ブレードを装備したものだった。これはなかなかいい感じだったが、これで行こうかと思ったちょうどそのタイミングで、先にほぼほぼ同じコンセプトのクランクがティムコから先手で発表されてしまった。元祖デカメタルリップの「クランキーダーター」を作ったティムコだけに、このプロトは優秀だったがお蔵入りせざるを得なかった。

しかしこのお蔵入りが逆にある意味、「沈バド」をより本質的な「沈バド」へと方向転換させるいいきっかけになった。

金属サウンドとフラッシングが欲しくてリップサイドに小型ブレードを配置したが、同じころ全く同じ発想で同じようなルアーが出てしまいお蔵入りに…。

ジョイント化とウッド化

2025年夏、当初は霞ヶ浦のトーナメントを重視するあまりJr.サイズで試作していたボディサイズを一回りサイズアップ、さらにボディをイマカツが得意とする天然WOOD化。これによって浮力が劇的にアップ、潜りたいのに潜れないボディに大型リップを搭載することでトップ系プラグに最も必要な「遠距離集魚パワー」が格段に上がった。さらに絶対不可欠なサウンドに関しては金属サウンドではなく、ボディのジョイント化で硬い木と木のエッジが効率よく当たるかたちにすることで発生するウッド特有の明確なコトコトサウンドを実現するに至った。

第2弾プロトではキャストのイージーさと浮力を重視し、WOODボディに変更しジョイント化。WOODの素材はしばらく秘密だが、ジョイント部分をフラット&エッジ化したことでとても良いクラッカーサウンドを出してくれる。

このプロトをテストした河野プロは超クリアな七色ダムで使い、かなりのバスを釣り込んでいた。

もうこの時点で河野プロ的には満足な完成度だったようなのだが、今江的にはウッド化は大正解だったが、ボディのジョイント化には疑問を感じていた。 その理由は、せっかく巨大なチタンリップを搭載しているのに、そのパワーが伝わるのは前方ボディだけで、後方ボディは逆に水押しパワーをロスするだけ、いわば前の駆動部分に「引っ付いてるだけ」で、ノッキングサウンド以外にはあまりパワー的な意味はないように感じたからだ。

ジョイントボディにありがちな「ウォブリングがタイトになる」、すなわち水面直下系に必要なルアー後方部分での水押しパワーがシングルボディに比べると逆に弱まってしまうのである。ノッキングサウンドを得るためにボディスワール(ボディ後方にできる反転流の渦)を失ってしまうトレードオフはどうしても納得いかない部分だった。安易なジョイント化は、人は釣れるがバスは釣れにくくなるという熟練のルアービルダーなら予期できる落とし穴に、ルアーメイキング初心者の河野プロはまだ気がつけなかった。

当初は霞ヶ浦・遠賀川などのマッディ対策のルアーだったが、超クリアな夏の七色ダムでもガンガンに釣れたことには驚きを隠せなかった。バドの遺伝子はやはりクリアウォーターでも健在だった。

リップ

ここからチラチラと改良のヒントを出していたのだが河野プロはなかなか気づけず、また半年がたった頃、ようやく河野プロが「沈バド」をあえてチタンリップにする必要性のなさに気づいた。ジョイントのボディを大きく振らすためにはリップの慣性モーメントが必要で、動きのピッチを速くするのに有効な極薄軽量なチタンリップではなく、慣性モーメントによるボディのウォブルパワーと左右へのワイドなキレを出すには、逆に「高比重極薄の燐青銅製リップ」を搭載すれば姿勢も変わり改善することに気がつくことができたのだ。

チタン並みに薄く硬く、同時に比重は非常に高い燐青銅のリップは、水抵抗値の高いジョイントボディの振りを強化するには良い選択だった。だが、それだけでは正直、まだウォブルパワーは「沈バド」と呼ぶには自分的に満足のいくものではなかった。

軽くて薄いチタンから薄くて重い燐青銅へシフト。動きの質が変わったが、まだ物足りなかった第3弾プロト。

燐青銅化によって姿勢が変わったこと、慣性モーメントが効くようになってアクションはかなり良くなった。マッディ用と思っていたが、クリアウォーターでのサイトでも全然釣れることには驚いた。

河野プロは超クリアな生野銀山湖でも何匹もこのモデルで動画撮影に成功していたが、自分はまだOKは出せなかった。なぜならこの状態でジョイント化を見送ってシングルボディ化すれば、攪拌水押しパワーはさらに明確に向上したからだ。動きだけを見ればシングルボディこそが沈バドの理想の動きであることは明確だった。逆にいえばバドそっくりのボディにしてブレードを尻につけて沈めればある意味「沈バド」完成なのかもしれない。

だが、そのトレードオフでウッド特有の甘くナチュラルなコトコト接触音は失われる。バドをそのままのかたちで沈めるにはあまりにも能がない。なにより金属擦過音は空中にブレードが出てこそ響く音質であり、水中ではその威力は格段に落ちてしまう。河野プロはこのウッドボディの角が後方のフラット面に接触するクラッカー音が水中では非常に効いていると強く実戦経験から感じており、ここをなくすことだけは何としても避けたがっていた。

激ムズ超クリアな生野銀山湖でも余裕の釣れっぷり。超クリアなので動きもバイトシーンも丸見え。まさに威力は沈むバドだった。

意味あんの???

また頓挫したな…と思った7月、河野プロが珍しく工場からメールではなく電話をかけてきた。その内容は自分でもまったく思いつかなかった、逆に言えばルアーメイキング素人だからこそ生まれた発想だったのかもしれない。

「そんなとこにブレードつけて意味あんの???」「しかも逆付け???」、逆にルアービルド経験がある人ほど、デカいリップの裏側に裏返しのデカいブレードをつける発想はなかなかないかもしれない。 だがこれが不思議な効果を発揮した。明らかにジョイントボディなのにシングルボディ並みのワイドウォブルを実現したのだ。しかもウッドのクラッカーサウンドはまったく失われていない。

腹部に巨大なブレードが装着された最新プロト。ウッドボディのクラッカーサウンドと、沈むバドにふさわしいブレードがアクションの質を変えることに成功した。

最初はなぜジョイント後方部分がしっかり振っているのかその理屈がわからなかったが、水中でのアクション映像を見ることで理解できた。前方のビッグ燐青銅リップの左右の振りに呼応して、カップで水を受けたブレードも連動して左右に振られることで慣性モーメントが増幅し、動かない下半身を動かしていたのである。 同時にカップ逆付けによってデッドスローでの抵抗感がアップし、たまにフロントフックと接触することで金属擦過音とキラキラとしたフラッシングも発生することがわかった。

巨大リップの裏に、まさかの逆付けブレード。ブレードでロールさせるのではなく、カップに水を受けたパワーを左右への慣性モーメントに転換して下半身に伝える。フラット&エッジーなジョイントがとてもよい音を奏でる。

極薄高比重の燐青銅大型リップにボディブレード。クラッカーサウンドを犠牲にせずワイドウォブルを実現した。リップはミラーメッキ予定。

お盆休みの実釣テストへ!

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