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【今年は期待大かも!?】カヤックエギングのキモと開発中のプロトロッド、そして現在の状況

寄稿:赤澤 克哉
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みなさんこんにちは!Bifarrテクニカルアドバイザーの赤澤です。

近年、ホームの関東の海でアオリイカが復活傾向にあると感じています。現在、bifarrではカヤック・SUP用のティップランエギングロッド「フェイザー」を開発中。昨年冬から頻繁に関東の海でロッドテストをしながらカヤックエギング調査を続けています。

海況良くカヤックさえ出さればそこまでホゲるということはなく、まずまずの状況になっています。

赤澤 克哉(Katsuya Akazawa) プロフィール

千葉県市川市のカヤックフィッシングショップ「kayak55.com」スタッフ。日本のカヤックフィッシング黎明期からカヤックフィッシングの楽しさ、安全面、マナー面などを伝える活動を続けている。JSPA(日本セーフティーパドリング協会)アドバンストインストラクター。bifarrテクニカルアドバイザー。他、ジャクソン、palm、bluestormなどのフィールドテスターも務める。

アオリイカのアタリ年・ハズレ年

アオリイカはアタリ年、ハズレ年がはっきりとしているターゲットだと思います。それは海水温の影響であったり、前年秋の台風の影響だったり、前年に青物が多すぎて小さいイカが食べられてしまったり…と色々な要素がありますが、個人的に一番影響があると思うのは「海藻の生え具合」

昔は5月・6月のアオリイカハイシーズンにはシャローがホンダワラで覆われていてカヤックでもパドルに絡みついて漕ぎにくい…なんていうのが当たり前だったのですが、10年ぐらい前から年を追うごとに海藻が少なくなってきてしまっているのを海で浮いて体感してきました。

復活傾向?の海藻

ついに2017〜2019年頃になると僕のホームグラウンドにおいても、魚探に海藻の大規模な群生は捉えられなくなってしまったのです。それが…理由がわからないのですが、一昨年からちょっと復活してきて、昨年の5月頃は場所によってはホンダワラのジャングルが復活、そこまでいかない場所でもかなり広範囲に魚探のボトムに藻が映るようになったんですよね。(これがずっと続いてくれたらいいのですが!)

この通り、春の海藻若干復活傾向です!

そのため、ここ2年は5月・6月のカヤックからのシャローにおけるキャスティングエギングの調子が上がってきていました。(昔ほどではないものの…)

海藻があるということは春に親イカがうまく産卵できるわけですから、その子ども…つまり来年のアオリイカも増えてくると。いい循環のサイクルに入ってきているように感じます。今年もホンダワラやカジメなど、たくさん生えてほしいですね〜。

ティップランか通常のエギングか迷う時期

さて、カヤックからのエギングは大きくわけて2種類。

1つは冬場〜3月中旬まで、水深15〜30mぐらいの深場に移動して越冬しているアオリイカをティップランエギングで狙っていくスタイル。こちらはとても場所が絞りやすい。一方、4月下旬頃からは水深3〜10m以下の浅場に乗っこんでくるアオリイカを通常のエギングでキャスティングで狙っていくスタイルになります。

その過渡期である今時期、3月末〜4月中旬頃が個人的にはカヤックエギングがむずかしい時期だと感じています。アオリイカはまだ深めの場所にいるかもしれないし、もうシャローに差してきているかもしれない…これが結局のところやってみないとわからないんです。

この時期のアオリイカはどっちの釣り方で狙うかが重要。さらにアオリイカは時合が大切で、いい時間帯にパタパタっとまとまって釣れてくることが多い。つまり、そのいい時合に本当は浅場がいいのに深場を攻めてしまっていたら…思いっきりハズしてしまうこともある訳です。実際、3月末や4月頭頃は過去に大ハズシした経験もたくさんあります。

タックル選びの重要性

春先はティップランか通常のエギングか迷いが生じる時期。頭を悩ますのは「タックルはどれを持っていくのか」ということ。

(上がティップラン用エギ、下が通常のエギ。いずれもヤマシタ・エギ王シリーズ)

ティップが繊細でガイドも小径が多点でついているティップランロッドでは通常のエギは投げられないし、通常のエギングタックルではティップランをしてもティップで当たりが取りにくい。かといって狭いカヤックにエギング用だけで2本の竿を積んでいくのはメリットが少ないんです。

どっちの釣りにも対応できる「フェイザー(プロト)」

ここで冒頭のロッドの開発の話。テスト中の「フェイザー(プロト)」はメインとしてはティップラン&キャスティングティップランを想定しつつ、そんな過渡期にも対応できるように両方の釣りを1本でこなせるように開発しています。

ティップの下でもう一弾曲がる設計と、大きめのガイドの設定で重いティップランエギもオーバーヘッドでフルキャストできます。それはつまり、通常のエギはより軽々とキャストが可能だということ。さらにティップは柔らかい設定にしてあります。通常のエギングでキャスティングで狙っていく際の弾くようにダートさせるような釣り方には向きませんが、スラックジャークや2段シャクリなら十分使えます。

つまり、浅場から深場まで1本で狙えるロッド。これはカヤックで釣りをする上でとても便利なのです。

アオリイカ最新状況(館山湾)

そんな「フェイザー(プロト)」を持って、先日館山湾にカヤックエギングへ向かいました。朝の表水温は19℃もあり、じゅうぶんシャローでも釣れそうな水温です。

はたして今日は深場なのか浅場なのか…!? 正解を探る意味でも過渡期のこの時期はとにかく広範囲をサーチする必要があります。

キモはとにかく「パドリング」

深場なのか、浅場なのか…イカとの出会いの確率を上げるためのキモは広範囲をサーチすること=とにかくパドリングすること。

3回流して当たりがなかったら漕いで移動を繰り返していきます。もしアタリがあればアオリイカは複数でいる可能性が高いので、同じラインを何度も風上に漕ぎ上がっては流すを繰り返します。イカを探しながらダイエットできちゃいます(笑)

その時に役に立つのが魚探の航跡機能。黄色いラインが当日流した航跡です。航跡をなぞれば当たりがあったラインを正確に何度も流しなおすことができます。当たりがなければさっき流したラインをかわして違うラインを流せます。

それではいよいよ実釣です。まずはシャローの様子を見に行くも、まだ海藻がぜんぜん生育しておらずで場所も掴めず。そこで、水深15mの根へ移動してティップラン。

ここが当たって2杯立て続けにゲット。

移動して今度は深場の様子を見に行くも、水深20〜25mでのティップランではアタリが皆無。やはり時期的にアオリイカは浅い方に移動していることは間違いないようなので、最後ポイントは水深10mゾーンにつながる谷のエリアへ。

産卵ゾーンである10m以下の浅場に突き出しているこういった“谷”エリアはこの時期要チェックです。

谷のカケアガリ水深12mでティップランで3杯目ゲット。墨だらけなのはその前に釣れたコウイカに噴射されたものです(涙)

ここで仕事に戻る時間がきてタイムアップ。

今回はティップランエギングに軍配が上がりましたが、産卵シーズンも近づき、あきらかに冬場より釣れる水深が浅くなってきており、サイズも上がってきていました。アオリイカの釣りの本番はまさにこれから。どうも今年はアオリイカの個体数はじゅうぶんいる印象なので、4月はシャローのキャスティングエギングで大型を狙ってみたいと思います!

当日の様子はこちらからもチェック

出典:YouTubeチャンネル「 kayak55ムービー」

使用アイテム

PFD(ライフジャケット)

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詳細ページはこちら→https://shop.bifarr.com/view/item/000000000072

ドライスーツ

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bifarr(バイファール)

株式会社ジャクソンと高階救命器具株式会社による共同プロジェクトとして、2022年に誕生したブランド。 近年注目されているジャンル「パドルフィッシング」をテーマにカヤックやSUP、釣具、アパレルなどのギアの販売などを行っている。静岡県静岡市清水区には実店舗を設け、アイテム販売のほかカヤック・SUPフィッシングの体験や宿泊なども行っている。