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今江克隆のルアーニュースクラブR「知ってましたか? ベイトフィネス用リールの超フカボリ解説」の巻 第1028回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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スプールの小径化とベストなサイズについて

一方、スプールの小径化はスプールの軽量にも大きく貢献するうえに、「慣性モーメントの収束」が明確によくなるためベイトフィネスリールチューンではブランキングによる軽量化とは次元の違う、最も劇的なトラブルフリー性能の向上を期待できるチューンである。

ただ、これもスプールの軽量化と同様、小径化し過ぎは使用範囲を限局的に狭めてしまう。

直径30mm以下の小径化は、総重量アンダー5g、6Lb以下のラインでは極めて優れた性能を発揮する半面、9~10Lbのラインや、パワーベイトフィネスと呼ばれる12〜13lbフロロラインを使う場合、糸巻き量の問題、ラインの巻きグセやコイル化によるストレスが多くなる。

状況に合わせて広範囲にベイトフィネスを使いたければ、自分的には「31〜32mm径」が細いラインから太いライン、常識的軽さからやや重めのルアーまでの対応力が最もバーサタイルでバランスが良いスプール径セッティングだと考えている。

ベイトフィネスにおいてスプールの小径化は劇的とも言える性能向上を果たす。しかし、これもまたやり過ぎると違ったストレスの原因となる。スプールの軽量化も、小径化も、結局は組上げてからのトータルバランスが一番重要

オススメのスプール

ただ、この小径化に匹敵するほどの素晴らしさを持つのが「K.T.F.」のカスタムスプール「KAHEN(カヘン)」である。

このスプールは、スプールサイドのKAHENプレート内のシムの取り外しで、「慣れれば」ではあるが、超小径に匹敵する超軽量ルアー低弾道キャストが可能になる。

自分が使っている「LTX/BF-8」の径は32mmだが、ピッチング性能だけに特化するのであれば、30mm以下のキャストフィールを得ることも可能だ。

ただし、ベイトフィネスのキャストが相当なレベルにあるアングラーであることが最低条件で、初心者にはかなりピーキーな、まさにプロ中のプロセッティングと言えるだろう。

低弾道の近距離ピッチング専用機としては、まさに群を抜くキャストフィールである。

K.T.F.の「KAHEN」やG-nius projectの「グラビアス」のように、小径化せずにベイトフィネス性能を向上させるスプールもある。「グラビアス」のシャフトあり、34mm径で10gは実はかなり驚異的

K.T.F.チューン

また「K.T.F.」系のリールは、あくまで個人的見解だが、肘を畳んで手首のスナップを効かして強く撃つ中長距離のパワーピッチ派には向かないかもしれない。逆に近距離で、初速を控えた柔らかな振りで、脇を開いて腕を振り上げるようにフォロースルーすれば、低弾道のままで滑り込むように後半にスルスルっとノーブレーキ感覚でディスタンスが延びるキャストができる。

「K.T.F.」は、より軽い方向のルアーをよりていねいに、優しいアプローチでスポットに置きにいくような感じで扱う人には最適である。

また「K.T.F.」チューンのリールは、力を抜いたキャストゆえに肘関節に優しいのも特徴で、肘を痛めている時には非常に助かるチューニングだとも付け加えておこう。

REVIVEチューン

逆に「LTZ930」や「LX992RS」系の「REVIVE」チューンは、肘と手首を鋭く振り、少々枝や葉っぱに当たろうがお構いナシに奥の奥に鋭く刺し込みたい、ベイトフィネスでも少し重めのルアーを好むパワーピッチ派で、逆風でもそのまま無調整でフルキャストまでしてしまいたいラフな釣りを好む人に向いている。

特に風や雨など、またイライラしてメンタルが荒れた状況でも、状況に左右されずとにかくアングラーのストレスを極力軽減するようチューンされているが「REVIVE」チューンの特徴だといえるかもしれない。

極めて鋭い立ち上がりを活かして、初速を抑えて後半の滑るような伸びで刺し込む近接戦型「K.T.F.」と、メカニカルを強めに設定し、鋭い初速で少々障害物に触れようがノートラブルで押し込める中長距離型「REVIVE」、自分はその両者を状況に応じて使い分けている。

K.T.F.の「KAHEN」スプールのシム交換までやるようになったら完全なベイトフィネスオタク。「KAHEN」フィネススプールは、サーキットでの本格レーシングカー的な上級者、プロ向き。「REVIVE」は、初心者〜中級者でも使いやすい最高級スポーツカーのオートマみたいな印象

次ページでは、ベアリングのオイルの粘度による使い分けを紹介!

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