今江克隆のルアーニュースクラブR「知ってましたか? ベイトフィネス用リールの超フカボリ解説」の巻 第1028回
スプールの「軽さ」の本質
さて、今週も先週の続きでベイトフィネスリールのフカボリ解説だが、まずベイトフィネスでしばしば話題になるのが「スプールの軽さ=高性能ベイトフィネス用スプール」と言った話を耳にすることがある。これは正解でもあり、必ずしも正解ではない。
まず、スプールが軽ければ軽いほど、スプールの回転の立ち上がりは鋭く敏感になる。
これは、軽いルアーを「浮き上がらせず」に低弾道で投げるには不可欠な要素なのだが、逆に立ち上がりの鋭さは「低弾道過ぎ」をも招くということだ。
すなわち、立ち上がりが早すぎるとルアーから手を離した瞬間にスプールが瞬時に滑り出し、タメが効かないため、狙ったスポットより手前に突き刺さる、いわゆる「手前落ち」が多発する。
これはよほど慣れない限り、むしろ軌道が浮き上がるリールより始末が悪い…。理由は、浮き上がったミス軌道はロッドで煽(あお)ればスポット近くにルアーを着水させずに再度やり直しがきくが、手前落ちの場合はスポット手前にロッドを煽る間もなく水面に刺さってしまうので、セカンドチャンスはもはや無いということでもある。
いわゆるカリカリと言われるのがこのタイプで、スプールの軽過ぎは総重量5g(2.3gのスモラバに3インチワーム自重3g)以上の平均的ベイトフィネス系ルアーを使う場合や、ピッチングにフルキャストを織り交ぜたい場合、ブレーキ、メカニカルを都度かなり強く調整しなければならず、ストレスの方が大きくなることが多い。
総重量3g以下(0.9gネイルシンカーに細身の3インチワーム)のような極端に軽いルアーの場合には確かに効果的なのだが、これはベイトフィネスの適応範囲からすればかなり「特殊な状況下でのトーナメント専用」と考えた方がよい。
スプールの圧倒的な軽さは、必ずしもベイトフィネスにおいて絶対条件ではなく、強力で幅広い優れたマグネットシステムとの相互バランスで決まるといっても過言ではないだろう。
スプールの径のベストサイズは?