「ハードルアー」と言う劇薬
僕のルアー人生は50年前のある日、広島市内の小さな釣具店から始まった。

レオン 加来 匠(Kaku Takumi) プロフィール
その店はそれまで餌釣りしか知らなかった僕にとって、とても釣具店に見えない洒落たスタイルで、店内の壁にはクローズドフェイスリールを付けた竿が飾ってあり、立派な岩魚の魚拓と共にダーデブルのスプーンとメップスのスピナーが展示してあった。
スプーンというルアー

ただ魚を釣るだけで楽しかった僕の釣りの方向性が、その日から完全に変わってしまった。小さな金属片を投げて巻くだけで魚が釣れると言う衝撃に心をとらわれてしまったのだ。
当初はアマゴやイワナに夢中になって通っていたが、だんだんその内に海の魚をスプーンやスピナーで釣りたくなり、全く情報の欠片もない中、独自の研究に没頭していった。
…閑話休題。
ともあれ、最近つくづく思うのだが日本製ルアーの発展は、常見忠さんの「忠さんのスプーン」に、作家の開高健氏が“Bite”と名付けた製品が最も大きなインパクトを与えた事に改めて気付かされた。
常見忠さんから工房を受け継いだアートフィッシング小田さんの工房には、日本のルアーが歩んできた時間がある。大量生産ではなく、一枚の板から一つひとつ削り、曲げ、叩き、磨き、泳ぎを作る…。その精緻にはほとほと感心させられる。ただスプーンの形に撃ち抜いただけでは無い。絶妙なエッジ角と窪み。20cm水深を低速で楽々と通せるボディカーブ。我々は改めてメイドインジャパンの凄みを知るべきだろう。明らかに、とっくの昔に、密かに静かに日本のルアーは世界の最高峰に君臨していたのだ。
したがって、僕はリスペクトを込めて小田さんに4種のスプーン製作をお願いした。新しく汽水から里川に掛けてのニューゲームを育てるべく、「スモールゲーム」と名付けて。

スモールゲームのこと
スモールゲームは、例えばライトゲームの中で脇役にされてきたハゼ、セイゴ、カワムツやオイカワなどなど…汽水から淡水にいる小魚たちを主役に据える釣りで、ここ数年、僕が提唱しているスタイル。

軽いタックルに小さなルアー。そしてなんとっても相手はそこらじゅうにいる訳で、もっとも手軽に釣り本来の楽しさを感じることができるゲーム。
そんなスモールゲームもスプーンとの相性は甚だ良い。インクスレーベルではスプーンやスピナーにセットして使う「スモゲーアシスト」なるワンタッチアシストフックを開発中だ。


古く日本製ルアーの発展に大きなインパクトを与えたスプーンで、イマ現在の釣りの新しい価値を見出す。逆説的な遊び方ですが、やっぱりどれだけ釣り具が進歩しても、今も昔も釣り本来の楽しさというのは変わっちゃいないんですよ。






















































