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開発に携わった“橋本祐助”が見る「エル・パンテーラ72」と「エル・マーベラ88」という2本のロッド

連載:加来 匠レオン「ライトゲームマニア」
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今回、INX .LABELからようやくリリースされたミドルゲームロッドエル・パンテーラ72エル・マーベラ88

この2機種は、単なる新製品ではなく、“ミドルゲームという概念そのもの”をロッドという形に落とし込んだ企画である。これまで僕はブランドリードの立場として、この2本について語ってきた。しかしそれではどうしても「設計寄り企画寄りの言葉」だけになってしまう。だが釣りというものは、本来そういうものではない。現場でどう感じ、どう使い、どう魚と対峙するか——そこにこそ答えがある。

だから今回は、少し趣向を変えてみようと思う。

レオン 加来 匠(Kaku Takumi) プロフィール

加来匠(かく たくみ) 中国&四国エリアをホームグラウンドとし、メバルやアジ、根魚全般の釣りを得意とする生粋のソルトライトリガー。レオンというのはネットでのハンドルネームとして使い始めたが、いつの間にか、ニックネームとして定着。ワインドダートやSWベイトフィネスなどを世に広めた張本人、新たなスタイルを常に模索中! 「大人の遊びを追求するフィッシングギアを提供する」ことを目的としたプライベートプロダクション「インクスレーベル」代表もつとめる。

現場で向き合い続けた視点

この企画は、実は今から5年ほど前、僕と橋本テスターの間で静かにスタートした。

目指すべき竿のイメージは明確にあったが、当時上がってくるプロトは、橋本の理想と微妙にズレ続ける。

悪くはない。しかし、違う。…その繰り返しだった。

結果として、製造依頼は一つの工場に留まらず、四箇所を転々とすることになった。スペックでは測れない“テイスト”を詰めるための時間だった。そしてその過程で、橋本はただテストを繰り返していたわけではない。自費で何本ものロッドを買い込み、比較し、分解し、検証し続けた。この企画を“モノにする”ために。そしてこのカテゴライズに、自らが納得するために。地道に、静かに、しかし確実に熱を持って、現場と向き合い続けていたのだ。

だからこそ今回は、その視点から語ってもらおうと思う。

橋本祐助が見る「エル・パンテーラ72」と「エル・マーベラ88」

INX Official Instructor・橋本祐助。

瀬戸内のナイトゲームを主戦場に、長らく日常の釣りとして“ミドルゲームを成立させている側のアングラー”であり、現在未だ進行中の7.7ftスピニングmiddle「エル・カレラ」を含む三機種を、企画立案時から見つめ続けてきた存在だ。

スペックでも理屈でもない。“使ってどうなのか”。そのリアルを、彼の言葉で紐解いていこう。

現場のリアル

INX.LABELオフィシャルインストラクターの橋本祐助です。

今回は多忙なレオンに代わり、製造時の実釣テストにも関わってきた立場から、この2機種の本質について僕なりの現場目線で解説させていただきます。2026年4月にリリースされたミドルゲームロッド、「エル・パンテーラ72」と「エル・マーベラ88」。ここ数年で一気に輪郭を持ち始めた“ミドルゲーム”というジャンルを、単なる中間帯の釣りではなく、一つの完成されたゲームとして成立させるために作られたロッドです。

僕が考えるミドルゲームとは、ライトゲームより一段階上、概ね5g〜20gのリグを軸に、最大3kgクラスまでのターゲットを射程に収める釣り。瀬戸内においては春のノッコミマダイ攻略から発展したスタイルですが、実際の現場ではキジハタ、マゴチ、ヒラメ、シーバスなど多魚種が混在し、“狙って釣る”と“出会う”が同時に成立する奥行きのあるゲームです。

この「レンジ」「距離」「魚種」の拡張に対して、道具側がどう応えるべきか。その回答が、この2本に集約されています。

 エル・マーベラ88(SXS-EM88 / スピニング)

ミドルゲームの“軸”になる1本です。

8.8ftというレングスは単なる飛距離のためではなく、「届かなかった沖」「触れられなかったレンジ」に対して“余裕を持って干渉できる長さ”。とはいえ実際に使うと分かりますが、このロッドは長さを感じさせません。バランス設計が非常に高く、キャストから操作、フッキングまで一連の流れが極めてスムーズです。そしてこのロッドの本質は、“広さ”ではなく“繋がり”にあります。

〜レンジを“跨ぐ”ロッド〜

2gから24gという表記以上に“使える幅”が広く、瀬戸内ナイトで多用する10g前後は当然ながらど真ん中。そして、そこから20gクラスへの移行も違和感がなく、むしろ「あと一段入れたい」という場面で迷いが消えるロッドです。ティップは素直に入り、バイトを弾かない一方で、バットにはしっかりとしたトルクが残されている。この“逃がしながら獲る”設計によって、不意に混じる大型個体にも余裕を持って対応できます。

さらに特筆すべきは下限側の懐の深さ。慣れは必要ですが1gジグヘッドもキャスト可能で、磯の尺メバル攻略のような繊細な釣りにも踏み込める。つまりこのロッドは「軽さから重さへ」ではなく、「レンジを横断する」ための1本。朝夕(巻き)の20g帯、ナイト(探り)の10g帯、さらには軽量リグまでを1本で繋げる——時間と状況を跨いで成立する“思考の余裕”が、このロッド最大の価値です。「使っていて不安がない」という感覚は、単なる強さではなく、“常に適正レンジにいる安心感”から来ています。

橋本祐助エル・マーベラ解説

出典:YouTube「INX tv」

 エル・パンテーラ72(SXB-EP72 / ベイト)

対してパンテーラ72は“操作で獲る”側の完成形です。

ショートレングスによる取り回しの良さと、ボトムコンタクト性能。この2つを高い次元で両立したモデルで、設計の核にあるのは明確に「フリリグ」。ティップでリグを弾く、跳ねさせる、止める。この一連の操作に対してレスポンスが非常に鋭く、意図したアクションがそのまま水中に伝わる感覚があります。

〜“操作して喰わせる”ためのロッド〜

また10g〜14g帯のジグヘッドやテキサスとの相性も抜群で、ボトムの変化を拾いながらピンで食わせる釣りにおいて強烈な武器になります。一方で、ただ硬いだけのロッドではありません。ティップはあくまで“弾けるけど乗せられる”という、過去にはジレンマでもあった「相反する特性」を絶妙なセッティングで融合させていて、小さなバイトもきっちり拾えます。

さらにバットには十分なリフティングパワーがあり、50cmクラスのキジハタでも主導権を渡さず寄せられる。この「繊細さ」と「強さ」の同居こそが、「ミドルゲーム」を冠したパンテーラの本質です。
加えて、クランクやシャッドといった巻きの釣りにも対応しているため、単なるボトム専用機ではなく、“操作系ベイトロッドの守備範囲”を広げた1本と言えます。ナイトのキジハタはもちろん、デイのチヌ、山陰のクロソイ、マゴチゲームまで、ベイトスタイルで組み立てたいアングラーにとって、明確な軸になるロッドです。

共通設計:リールシート「技徳」

両モデルに共通して採用されている富士工業「技徳」リールシートも、このロッドの完成度を大きく引き上げています。長繊維カーボン強化樹脂とチタンを組み合わせた構造により、軽さと剛性を高次元で両立。さらに面のフラット化によって接地感が増し、手のひらに吸い付くようなフィット感を生み出しています。この“接触面の質”が、感度を単なる情報量ではなく“質感”として伝えてくる。バイトが「来た」ではなく「触れた」と感じられる領域まで引き上げられている点は、実際に使ってこそ分かる、両ロッドの“贅沢”部分です。

総括

エル・マーベラ88は「距離とレンジを制するための思考のロッド」

エル・パンテーラ72は「操作と接点を制するための感覚のロッド」

この2本は単なるスピニングとベイトの違いではなく、ミドルゲームというジャンルを“立体的に成立させるための両輪”です。一度使えば分かるはずです。これはスペックで理解するロッドではなく、“現場で腑に落ちるロッド”だということを。ぜひ手に取って、その違いを体感してみてください。

関連動画

出典:YouTube「INX tv」

出典:YouTube「INX tv」

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