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今江克隆のルアーニュースクラブR 第971回「なぜ三原直之はここまで釣るのか?」の巻

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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釣り勝つ以外を考えないロッド

使った瞬間からひと言で言うと特にスピニングの「アンセム」は「釣り勝つこと以外、一切考えていないロッド」である。

開いた口がふさがらなかった馬鹿高いブランクス、間違いなく史上初のバットとティップのテーパー差、量産性無視はもちろん、ガイドからスレッドコーティングの強度ていねいさまで、ほぼ手作りに近いコダワリ様である。

敢えて経営者として、テムジンカレイドの製作者からの視点から見ると、これは大手メーカーでは販売に踏み切るには相当な度胸のいる、個性的極まる「真の競技ロッド」だと断言できる。

自分が電撃を極めるために50トン越えの「超高弾性」を一般ユーザー無視で堂々と世に問うた若き時代を髣髴させるロッドだ。

それほどこの「アンセム」は、ことトーナメント戦闘能力に関してはとてつもない性能を有している。

ただし、「アンセムがアングラーを選ぶ」と敢えて言っておきたい。

さらに今年は「三原虫」に、新たに「スキニーイール」が加わったことでフィネス戦闘能力の幅がさらに広がったといえるだろう。

実際に三原ロッドを使ってみて、三原が見ている世界が見えた気がする。 極限まで性能を特化すれば、答えはこうなる。

アングラーに優しいビッグベイトロッド

そしてもう1本、今回のクラシックでも優勝を完璧に決めたネイティブの55cmオーバー(60cm近かったが測ってないそう…)を仕留めたビッグベイトロッド「バトルクライ」だが、このロッドは「潔さが」が光る。

これも目玉が飛び出るほどの高額ブランクスを、しかも本来の長さ7フィート7インチ相当を敢えてティップを切り落とし、一番美味しいところのみを切り取って組上げるという恐ろしく斬新な製法を採用している。

まるでビッグベイトロッドのシャトーブリアンだ…笑。

ただこのロッドは、超戦闘的で竿がアングラーを試すアンセムの冷酷さに比べ真逆の、実にアングラーに優しい、ビッグベイトフィッシングの辛さを緩和するロッドであることに実際使ってみて気が付いた。

私のカレイドシリーズにはビッグベイト専用ロッドはラインナップされていないため「ラピッドガナーRSR」を多用しているが、「ギルロイドJr.」のみならず、「レプリケーター」、「ステルススイマースーパーヘビー」、重めのスイムジグ、重めのフルサイズジグ、無理はあるがデカリケーターまで使える極めて使いやすいヘビー級バーサタイルロッドである。

「バトルクライ」は、ビッグベイトがすでにトーナメントでも絶対不可欠な武器となった今、個人的にも今後開発を考えている「ムチムチ系」のハードロッドであり、当面はかなり愛用してしまいそうなほど気に入ってしまった。

今もアルミ30馬力のフェニックス号にこだわるのが三原スタイル。魚探も最低限。 最新装備満載のバスボートにはこだわらないが、タックルとルアーには人3倍こだわりが強い。

「剛弱両極の究極を極める」、三原の驚異的覚醒はこの言葉に尽きると思う。

タイミング次第でダウンをも奪える破壊力をもつノーモーションで刺してくる正確無比な右のジャブ、そして隙あらば一撃必殺の強烈無比な左のロシアンフックを放ってくる。それが三原の最強スタイルなのだ。

まぁ、今の三原に勝つにはマグレでも必殺のロシアンフックに玉砕覚悟でカウンター合わせるしか勝ち目はなさそうですな…たぶん死ぬけど…。

でも来期はそのカウンター、必ず一発獲りにいかせてもらいます。

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