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【完成宣言】足掛け4年。メバル用プラグ「ビッグヒップ」ができるまでの紆余曲折で見えてくるもの

寄稿:飛田 俊一郎
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メバリング特集

富山で1年通して使えるプラグを作りたい

…ことの発端はそんなテーマ。プラグ作りのノウハウ全くゼロ、あるのは好奇心と情熱だけで集まった釣り仲間4人が、CADも使ったこともないのに3Dプリンターでメバルプラグを作りはじめたのが2020年初頭のこと。

制作は分業制、ディレクター飛田の頭の中にあるデザインを、CADデザイン草嶋、テスター充彦、オブザーバー慎佑が力を合わせ、ビッグヒップの原型を作り出します。そしてその原型は、初釣行ですぐにメバルと対面することになります。

冬からから春にかけて順調に釣果を伸ばしながら、ビッグヒップを実戦仕様に進化させていきます。ゲストフィッシュである、シーバスやクロダイなど大型魚に負けないように強度を上げ、北風に負けないように形状を調整、飛距離を伸ばします。

また、いろんな釣友に使ってもらいながらブラッシュアップを続けた結果、そしていつしかビックヒップは、僕らのメバル釣りになくてはならないルアーになりました。

ビッグヒップのスペックと特性

ではここで、ビッグヒップとはどんなルアーなのか?そのスペックと特性を紹介しましょう。

まずタイプは基本モデルとなる ホバリング(HB)と派生モデルのキックバックフローティング(KBF)の2種類です。

BIG-HIP60 HB(red eye)/WEIGHT 4.0g TYPE スローシンキング LENGTH 60mm(製品版)

HBはプロジェクトが始まる前から、僕の頭の中にあったイメージを具現化したモデルになります。

アクションは、ふらつくような緩いウォブリング。その1番の特徴は、潮の中で止めれること。払い出している潮の上に乗せておくと、ふらふらホバリングしてメバルを誘います。ラインは張らず緩めず、微妙なテンションを保つと、ほとんど沈まずサスペンドしている感覚で使用できます。目の前の潮の流れの表層、1番良いピンポイントにルアーを留めさせる能力をこのモデルに求めました。

BIG-HIP60 KBF(blue eye)/WEIGHT 3.5g TYPE フローティング LENGTH 60mm(製品版)

KBF はメンバーの米原充彦の「トップで止めて誘いたい」というアイデアを採用したモデルです。

フローティング仕様にしたため、HBより水押しが強く、アクションはノーマルなウォブリングです。また、リーリングを止めると、後方、お尻方向にバックしながら浮上します。良い潮の周辺を移動距離を抑え、浮かせながらネチネチ攻めたいときに非常に便利です。もちろん巻いて使うこともできますが、その真骨頂はやはりトッププラグとして水上に放置する「浮かべっぱ」。特に海面が穏やかな時に良く効きます。

なぜビッグヒップが必要不可欠なのか

それではここからは、さらに深掘りに入ります。ではなぜ僕らが北陸富山の海でこのルアーが必要不可欠なのか?をその理由をお話ししましょう。

このルアー、 ビッグヒップと言うだけあってお尻が大きいのが特徴です。コンセプトとしては、①よく飛ぶこと ②表層攻略 ③釣れる潮をさがすこと、を基本として設計しました。

北陸富山の海は、干満差も少なく沖に障害物が極端に少なく、流れが出にくいのが特徴です。そのため広く探り微細な潮の流れを感じて釣りを組み立てる必要があります。また活性の高い魚は餌を求め浅場(シャロー)に差してくるので、自ずと僕らはプラグを遠投して高活性の魚を探す、シャローランガンのスタイルができ上がりました。

これらを踏まえると、必要なのがまず飛距離。そのサイズに不釣り合いな遠くに飛ばす能力は、このでっかいお尻の恩恵です。涙型の下膨れ形状が、風に切り裂きルアーを遠くに送り込むことができます。

また、その形状は、様々なベイトの水押しを表現するのに役立っています。プランクトンやアミ類、そして、稚鮎や小イワシなどのベイトフィッシュ、そしてホタルイカなどの小型のイカ類、そして不規則な波動を生み出すクルクルバチ等。

いずれも表層30センチ以内ではありますが、リーリングスピードやロッドワークによって、様々なパターンに対応できる事がテストによってわかりました。

一方、そのお尻は絶妙に水を受け、そして良い加減で水を押し、かつ絶妙に流すように設計しております(こんな曖昧な表現ですみません笑。使っていただいたらおわかりいただけると思います)それゆえ、表層の潮の流れがめちゃめちゃ把握しやすくなっています。

いわゆるメバルが乗っている「釣れる潮」「釣れる流れ」を探すのに便利な仕様に仕上がっております。潮が当たった、抜けた、重い、軽い、様々な情報が竿を通して手元に伝わってきます。

この感覚は若干の違いがあるものの、オリジナル(3Dプリンター版)と製品版、どちらも共通したコンセプトになります。オリジナルの方が若干水押しが強く、製品版の方が流れの変化を捉えやすくなっております。つまるところ、状況によって使い分けられるって事ですね。

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