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【よく分かるフリーリグ・チニング】専用ワーム「コーヴァイチュー」について開発担当者にアレコレ聞いてみた

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5月下旬に発売となるスミスのフリーリグチニング専用ワーム「コーヴァイチュー」。今シーズンの活躍が大いに期待されるワームである。いよいよ発売…となれば、気になるのが実際にどんな使い方をすればいいの?という部分。

ということで、またまたこのお方! スミス開発担当者の小笠原さんにアドバイスを聞いてみた。

丁度、この項を皆さんが目に通している時には、店頭に並んでいるか否か?というタイミングだろうか。コーヴァイチュー実釣マニュアルというような参考になることも多いハズ! ぜひご覧頂ければ!!

小笠原健太(ちゅにてぃー) プロフィール

関東近郊のソルトウォーターゲームをベイトタックルで攻略するのが自身のスタイル。メバルやトラウトなどのライトゲームからオフショアキャスティングまでベイトタックルで楽しんでいる。
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フリーリグセッティングについて

編集部:チヌ用のフリーリグセッティングというのはすでに広く知られているところではありますが、コーヴァイチューでのセッティングで何か気を付けるところはありますか?

小笠原:リグ自体は一般的なペグ止めで遊動幅をほとんどなくしたフリーリグセッティングで問題ないです。シンカーに関してはティアドロップ型とスティック型の2週類どちらも使います。

東京湾では河川エリアと運河エリアの大きく2つにポイントが分かれており、それぞれのエリアに合わせてシンカー形状を使い分けています。

スティック型とティアドロップ型があるとグッド

河川エリアは砂地のポイントを狙うことが多く、根掛かりの危険性はあまりないので引き抵抗があって低重心でアクションの安定感も出るティアドロップ型のシンカーをメインに使います。

運河エリアはゴロタ石やカキ瀬など引っ掛かる場所が多い傾向があるので、根掛かりを軽減できるスティック型のシンカーをメインに使います。

ウェイトは河川エリアの場合は流れを受けても浮き上がらないようにするために3/8ozがメインとなり、運河エリアでは流れが緩いことが多いので少し軽い1/4ozをメインに使うことが多いです。

もちろん状況によってウェイトは変えたりするのでメインで使うウェイトとその前後のウェイトまで用意すれば万全です。

チニング向きのフックとは

編集部:そうしたフリーリグなどではフックも気になります。チニング向きのフックとはどんなものでしょうか?

小笠原:フリーリグチニングでのフックセッティングに関してはボートガイドさんでも色々と試行錯誤をされていて、少しでもショートバイトをフッキングに繋げるための工夫もあるにはあります。それは少しやり込んでみて、次のステップに移る際に色々と試してみてほしいところなので今回は割愛させていただきます。

その前にまずは、最も一般的なオフセットフックを使うセッティングをお話ししたいと思います。

オフセットフックに関してはコーヴァイチューの開発に着手する前からバス用を含め色々な製品を試してきました。これは私の考えになりますが、フリーリグチニングのフックで一つのパターンを選ぶとしたら、アウトポイント(針先が外向きになっている)、ナローゲイプタイプ(細身)のフックがおススメです。

チヌという魚はバスやロックフィッシュなどとは違ってワームを丸呑みにすることはなく、噛みつくようなバイトをしてきます。

そのスピードは一瞬。

つまり、その瞬間に口の中にフックが入ることが大前提。そうでなければフッキングすることはできないんですよね。だから、フックはできる限り抵抗なく口の中に入りやすいようにナローゲイプであり、口の中に入ったら吐き出される前にポイントが立ちやすいようにアウトポイントとなるわけです。

フックは多めに準備が吉

それとこれはバスなどと比べて決定的に違う部分だと思うんですけど、とにかく針先がすぐに鈍ってしまいやすいです。これは常にボトムを擦っているというのもあるし、チヌの口周りが硬いから。2,3尾掛けたらもう駄目になっていることが多いです。自分の場合は半日の釣行で1パック使い切ってしまうこともザラにありますよ。

コーヴァイフックについて

編集部:コーヴァイチューに最適なフックとして「コーヴァイフック」も登場となりますが、どんな特徴があるのですか?

小笠原:針先がすぐに駄目になってしまう釣りなので、針先が潰れにくい、硬い鋼材でフッ素加工がされたフックを使うというのが一つの手です。ただその場合はフック自体が割高なものになります。

実際のフィールドでの使いやすさを考えた仕様
もう一つの手段というのは、割り切ってフックをどんどん新しいものに交換していくことです。コーヴァイチューの専用フックとしてコーヴァイフックというのを作ったんですが、これって別に最先端のフックではないんですよ、フッ素加工もしていないし。

その代わりとにかく価格を抑えたんです(5本入り¥250+税)。これは後者の考えに合わせたもので、惜しまずに新しいフックに交換するための価格設定にしました。

表面処理は普通のブラックニッケルなんですけど、フッ素加工されたフックはワームがズレやすいという面もあるので、むしろチニング向きだと思っています。

コーヴァイフックのサイズは#1のみで、他メーカーのフックを使う際にもコーヴァイチューには#1がマッチします。

カラーの使い分け

編集部:リグに関してはわかりました!コーヴァイチューはどのカラーを準備すればいいですか?

小笠原:カラーセレクトの基本はグリパン系カラーのローテーションとなります。

コーヴァイチューのカラーラインナップで言えば01.グリーンパンプキン、02.ステルスサンドバック、03.グリパンシルエットの3色となります。

△グリーンパンプキン

△ステルスサンドバック

△グリパンシルエット

この3色はどれもグリパンカラーをベースに色の濃度が違います。基準となる色が「01.グリーンパンプキン」で、色が薄くてナチュラルにボトムの背景に溶け込みやすいのが「02.ステルスサンドバック」、色が濃くてボトムの背景に対してシルエットがはっきりと出やすいのが「03.グリパンシルエット」となります。

魚の活性や水色、フィールドの光量などからその時の状況に合ったグリパンの濃度をアジャストさせることが基本的なカラーセレクトの考え方になります。

あと、サイトで狙う時の視認性や膨張色によるアピール効果が欲しい時には04.グリパンチャート。

05.レッドオレンジはナイトゲームに特に効くカラーです。アマモなどのウィードが多いフィールドや透明度の高い時には06.ウォーターメロンフラッシュが非常に効く時があります。もちろん全色揃えておけば万全ですが、前述のグリパンの濃淡ローテーションが基本と思ってもらって間違いないです。

△グリパンチャート

△レッドオレンジ

△ウォーターメロンフラッシュ

“微波動モード”にチューニング

編集部:コーヴァイチューのアームを取って微波動モードにするという使い方もあるそうですけど、それってどんな時に使えばいいですか?

小笠原:東京湾でフリーリグチニングが流行った直後はテールがバタバタ動くような水押しの強いワームが主流だったんです。その後、プレッシャーのせいかどうかはわからないんですけど、テールが水を掻き回すようなワームが効きにくい場面が増えてきたんです。

かといってまるで水押しがないワームだとやっぱり駄目なんですよ。チニングでストレートのワームがいいなんて聞かないじゃないですか。だから本体である程度の微波動を起こしてくれることが重要なんです。

アームカットしてもブルブル震える

コーヴァイチューはアームを取ってしまっても、リングリブとくびれたカタチによってボディー自体がブルブル震えます。これが公式でも言っている微波動モード

最初はコーヴァイチューをそのまま使ってもらって、もしアタリが少なかったりしたら微波動モードを試してみて下さい。

また、微波動モードはアームという抵抗物を取り払った状態となるので単純に飛距離が伸びます。具体的な数値は無いのですが、私の体感で10~20%程飛距離が伸びます。オカッパリでは微波動モードにすれば沖のブレイクにギリギリ届いてくれるような事が多々あるので、飛距離が欲しいような場面でもおススメです。

フッキングさせるコツは?

編集部:フリーリグチニングってアタリは多い割になかなか掛からないイメージがあるんですが、何かコツってありますか?

小笠原:これまで述べてきた話とも通じるのですが、まずチヌってバスやロックフィッシュみたいにワームを呑み込むタイプの魚ではないことを意識すること。何回も連続して噛みついてくるようなバイトをしてきます。

なのでショートバイトを即アワセで掛けていくような魚じゃないんです。それよりは、むしろ掛かるまでアタックさせ続ける方が大事です。そのためにはワームがフックからズレにくいことが大事で、ベテランの中にはツイストロックタイプのフックを使ってズレないようにしている人もいるほどです。

コーヴァイチューの素材を硬めにしたのもフックのズレを抑えるためなんです。

だから、ワームがボロボロになって簡単にズレるようになったらチヌは釣れないです。ちなみにコーヴァイチューは上下対称なので、片面がハリ傷で駄目になってももう片面が使い回せます。そうした意味で消費もだいぶ抑えられると言えますね。

基本は本気喰いのバイトが出るまでチヌをアタックさせ続けることで、ワームの形状やカラー、動かし方などがドンピシャであればあるほどチヌが本気喰いするようになります。

もしショートバイトが単発で終わってしまうようなら何かがちょっと違うんだと思います。もし複数人で釣りをしているなら周りの人達の様子も参考にしながら最適解を探していくのがおすすめです。でもそこがフリーリグチニングの一番面白い部分だと思いますよ。

コーヴァイチュー スペック

コーヴァイチュー
LENGTH 2.8inch
PACK 6本入
適合フックサイズ オフセットフック#2~1
※フック形状により異るため目安として
推奨フック:コーヴァイフック#1
PRICE ¥620+税

出典:スミス公式YouTubeチャンネル

スミス公式コーヴァイチュー詳細ページはこちら

まとめ

ということで小笠原さんに、色々と話を伺った。個人的にはショートバイトを即掛けするより、そのバイトが出続けるようにワームのズレなどを気にするように…というのは大変タメになりました。ショートバイトに悩まされる代表格といえる魚ですよね、チヌって。

また、だからやや硬めの素材が使われているコーヴァイチューや、気兼ねなく購入しやすい価格帯で滑りにくさも有するコーヴァイフックなど、「なるほどナットク」なお話でした。

△ショア・オフショア問わずに使いやすいのも魅力といえるコーヴァイチュー

仮にシーバス釣りの時合待ちでのチヌ狙い、あるいは短時間でのチョイ釣りなど、タックルを最小限に抑えたいような場合でもコーヴァイチューさえ持っておけば幅広い状況に対処できるそうだ。

ガチのチニング勢は言うまでもなく、サブ的にチヌを狙いたいような場合にもコーヴァイチューが力強い味方になってくれることだろう。

前回記事もチェック

【開発者は語る】フリーリグ専用チニングワーム「コーヴァイチュー」徹底解説

SMITH(スミス) プロフィール

1970年創業。日本のルアーフィッシング創成期からそのノウハウや楽しみ方を提案し続けている。バス、ナマズ、ライギョ、トラウト、ソルトと展開するジャンルも多岐に渡る。展開するタックルはスミスオリジナルのロッドやルアーに加え、プラドコやゲーリーヤマモトといった海外製品の輸入販売も行っている。