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【2024年で20周年】平岩孝典本人に訊く「ジョインテッドクロー」が今も昔も、そしてこれからも釣れ続ける理由

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ラインナップの妙

そのラインナップの多さも特長的。

オリジナルの178を使っていく中で「もう少し大きいサイズがほしい」となり、マグナムが。逆に「もう少し小さいサイズが…」となって128が登場するなど、その時々の需要に応じてラインナップを増やしてきたジョインテッドクロー。

ところが数あるラインナップの中で、少し毛色が違うシリーズがあるという。それがシリーズ最大サイズの「尺ONE」と最小サイズの「70」。

尺ONEはコンセプトが違う?

これまでのシリーズは、オリジナルでは手にすることができない魚を釣るためのシリーズ。あくまでオリジナルでは釣れない魚を釣るためであり、もちろん釣れる前提で開発が進められた。

ただ、尺ONEだけは異なり「このサイズで釣りたい」という想いが先行。30cmを超える“プラスチック製”のルアーが存在しなかった当時、本当にこんなサイズで釣れるのか?釣れるなら釣ってみたい。それがキッカケで鮎師の憧れである「尺」というサイズ設定で作った夢のあるぶっ飛んだルアー。そう、今でこそジャイアントベイトは数多く存在するが、その元祖にして礎となったのが尺ONEなのである。

最小サイズ「70」

一方の「70」はそもそものターゲットが異なり、渓流のトラウトをターゲットに作ったシリーズ。

バックウォーターで釣りをしているとジョンテッドクローにトラウトがチェイス、食ってくることがある。また、一部ユーザーから使用可能な管理釣り場で大型のニジマスが釣れるという話を耳にしていたそうで、それならトラウト用に小さいサイズを作ろうとなったのがキッカケ。

いざ作ってみると、トラウトだけではなくメバルやアジなどソルトでの釣果も目を見張るモノがあり、ターゲットの拡大に大いに貢献。

フィッシュイーターを狂わせる何かがある

トラウトやアジ・メバルだけではない。ラインナップの増加と比例して、シーバスや中には「ウナギが釣れた」なんて言う声も聞くようになる。ジョンテッドクローにはフィッシュイーターを狂わせる何かがあると平岩氏は言う。

それを強く感じたのは、尺ONEや70を作る遥か以前、17~8年前にオーストラリアのユーザーがGTを釣ってきたことが発端。その写真を見たときにソルトでの可能性を感じたという。実際、発売されて間もない当時からコノシロパターンなどで一部のシーバスアングラーから支持を集め、マグナムが登場したことをキッカケにシーバスのビッグベイトパターンに火が着いたという系譜がある。

他にもアカメ、レイクトラウト、海外での怪魚など、様々な可能性を見出すまでになり「ビッグベイトでいろんな魚が釣れる」という一つの考えを定着させたことも、ジョインテッドクローの功績として大きい。

もはや「ジョイクロ」というジャンル

フィッシュイーターを狂わせる何か。これをバスに落とし込んでみると、パターンに関係なく1年中釣れてしまうという事実に行き当たる。

真冬となると大きくフィネスかリアクションか…の2択であった当時、発売から程ないタイミングで「真冬の琵琶湖でロクマルがジョインテッドクローで釣れる」との噂が広まる。結果、真冬でもシャローパターンが成立することが立証され、それからというもの平岩氏はシーズンを通して使い続け、オールシーズン実績を重ねていく。

小さなベイトを食っている時でも釣れてしまう=パターンを度外視した何かがある。それはシーバスゲームに目を向けても、バチ抜けのタイミングでジョインテッドクローを食ってくることが多々あると。「このルアーにはやっぱりフィッシュイーターを狂わせる何か、本能を刺激する何かがあるんだと思います」…と平岩氏は話す。

普段から使用している方なら、ここはピンと来る方も多いのではないだろうか。

ジョインテッドクローはどこに向かうのか

最後に伺ったのがこの質問。登場から20年が経とうとしている中で、その製作者は5年後、10年後、15年後…何を見据えているのか。

ジョインテッドクローシフトという存在

ジャンルとして確立されたジョインテッドクローは10年後も残り続けると思うし、残していきたいという想いもあると。その中でキーとなるのは「ジョインテッドクローシフト」

いわく、リアジョイントに搭載した「ROMダンパー(PAT.P)」によって、低速域からこれまでのジョインテッドクローにはカバーできなかった「超高速」まで全速度域に対応。

このシフト開発中に「オリジナルはもう必要ないか?」と考えるに至ったほど、完成度の高いルアーであると言う。しかし、実際に使い込んでいくとスローな展開時には、どうしてもオリジナルには勝てない部分が出てくる。つまりオリジナルとシフトの2軸、というのが今考えられる最高の組み合わせ。

そして、この「ROMダンパー(PAT.P)」の可能性をさらにブラッシュアップしつつ、シフト、ラチェットほか新しいシリーズやサイズ展開などを模索していくというのが当面の展望とのこと。

天才ルアービルダー平岩孝典としての想い

もう1つ、新たな武器「ジョインテッドクローシフト」で、自身がこれまで釣ったことがないターゲット、GTやマグロなどにも挑戦していきたいと語る平岩氏。また、コロナ禍でどうしても行けなかったアメリカやヨーロッパでバスを釣りたいとも。

その釣欲には、ルアービルダーとして「ジョインテッドクロー」を超えるルアーを作りたいと言う大きな目標が根源にある。ジョインテッドクローシフトでオリジナルを超えた…ように思えたが、やはりオリジナルも必要だという事実。

20周年を迎えようとする今、天才ルアービルダー平岩孝典が見据えているのは10年後、20年後も歴史に名を刻み続けるであろうジョインテッドクローを凌駕する、第2のジョインテッドクロー物語である。

ガンクラフト(GANCRAFT)

自然豊かな和歌山県田辺市を拠点に、天才ルアークリエイター平岩孝典氏が社長をつとめるルアーメーカー。元祖S字系「ジョインテッドクロー」シリーズやキラーズシリーズのルアーやロッドなどの人気バスアイテムだけでなく、餌木邪やコソジグなど、こわだりのソルトウォーターアイテムを続々と輩出中。
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