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今江克隆のルアーニュースクラブR「史上最大の屈辱!? 初夏&減水下での釣り方の正解は?〜TOP50弥栄湖戦レポート〜」の巻 第1103回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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予選2日

予期せぬデッドで予選通過がキワどくなった予選2日目、サイト戦略も小瀬川筋は見えバスがあまりにも少なく完全にLSP有利な状況になっていた。

気持ちを落ち着かせるため、初日ラストに見つけた岩盤のエグレをLSで見ると、まだバスがいる。

速攻でキーパー300gを「アベラバ1.2g」&「三原虫」で2本仕留め、3本目は明らかに2kg近いビッグフィッシュがきたが、岩に擦られて4lbラインがブレイク……このバラシで岩盤オーバーハングのバスは消えてしまった。

結果的にこのバラした3本目が戦略に迷いを生じさせ、このあとはLSとサイトのどちらもつかずの状態で、小瀬川を離れ美和方面へ移動を繰り返し、ノーバイトのままラスト1時間半を切ってしまった。

付け焼刃のLSでバスを探すにはエレキオンリーの弥栄湖はあまりにも広く、めぼしい場所は全てLSP達に抑えられていた。

このままでは、予選落ち……

このままでは確実に予選落ちする……。

最後の勝負を何に掛けるか?そう考えた時、春とは思えない暑さがもしやバックウォーター(以下:BW)の水温をピークに上げ切っているのでは?と考えた。

練習を通じてBWでは一度もバイトは得られていなかったが、もし自分に一発逆転の可能性があるとすれば、一番得意なカレントの中での「ステルススイマー」のドリフトしかなかった。

一か八かの賭けで全速で30分かけて小瀬川最上流に戻る。

だが、そこにはすでに3艇の選手が入っており、状況は絶望的に見えた。

ところが、その3艇はバイトがなかったのか、さほどネバることなくBWから降りてきた。

入れ違いに入ったBWで祈る気持ちで「ステルススイマー160(ヘビーウェイト)」をドリフト、一瞬黒い影が岩のオーバーハングから出てくるのが見えた気がした。

流れを正確に読んで、岩のエグレに吸い込まれるようドリフトを決めた2投目、真っ黒な影が「ステルススイマー」を襲った。

一発逆転の2kgオーバー!

場を荒らさぬよう5分ほど敢えて場を休め、今度は岩と岩の最も奥深い裂け目にピッチングで「ベビーステルススイマーTG16g」を最奥部まで滑り込ませた瞬間、モンドリうって再び真っ黒な2kgオーバーが飛び出してきた。

さらにすこしBWから下がった岩の深みに見えるオーバーハング下に、再び「ベビーステルス」をドリフトで流し込んで1,300gを追加。

3本で5,500g、朝のキーパー2尾を加え6kgを超えたことを確信した。

2日目午後2時、「ステルススイマー」のドリフトがついに爆発!6,005gのビッグウェイトをマークしたことで、逆に優勝を強く意識しすぎた

最後の最後にBWの水温がMAXまで上がったことに賭けたこと、プラでは1尾も釣っていなかったが、自分が過去、取材、トーナメントで最も実績を残してきた最も得意なスイムベイトである「ステルススイマー」に賭けたことが、大逆転の奇跡を起こした。

2kgオーバー2本と1,300gを仕留めた「ステルススイマー160ヘビー」&「ベビーステルススイマー16g」。初夏のアユ喰いバスには最強の武器だ

表彰台までの差5g、自力優勝には5kg

だが、その陶酔の境地に至るほどの圧倒的破壊力は、同時に諸刃の剣であることを、幾度も知りながら再び同じ轍を踏むことになる。

予選6位で迎えた決勝、表彰台までの差は5g、だが自力で優勝するには5kg以上が必要だ。

もうこの時点で自分の腹は決まっていた。

最も距離がある小瀬川最上流に確実に一番乗りできる速度を持つエレキ艇がある以上、そこで1日独占し粘る切る覚悟を決めていた。

だが、この「決めつけ」こそが、自分の最も弱点であることをまた思い知らされる結果になった。

ウェイインバッグが真っ黒に埋まるビッグウェイト。状況を冷静に判断し、その誘惑を断ち切る潔さが自分には必要だった

昼から雨予報だった決勝、BWの水温は昨日から2度下がって19度。

低すぎる水温ではないため、昼前には20度を超えれば差してくる可能性に賭けたのだ。

しかし、水温は逆に微妙に下がっていった。

差してこない可能性の方がはるかに高いことを悟りながら、昨日の圧倒的破壊力の記憶が、自分をそこに釘付けにして離さない。

一度動けば、昼にタイミングよく再度入ることができる保証はない。

頭の中ではBWをキッパリ見切り、徹底してLPを使い、ライトリグでキーパー3本取れれば表彰台は確保できるかもしれない……という思いが何度もよぎる。

だが、もし昼にバスが差してきて2尾でも仕留めれば4kgを超え、優勝の可能性も十分にあり得る。

その葛藤の中で、自分は優勝の甘い夢を最後まで諦めきれなかった。

それがただの博打に過ぎないことを知りながら……。

時速13kmをマークするIKフェニックス号。それでも短時間の決勝で広大な弥栄湖を移動できる範囲は狭い。決勝で小瀬川BWに一番乗りはできたが、それが良かったのか、悪かったのか……

2つの大きな「気付き」

優勝した黒田プロのウィニングルアーは、なんと「ハドルスイマー3インチ」のキャロ。ライブスコープで中層のビッグフィッシュを仕留め、大会最高ウェイトの決勝6,700gをマークした

黒田プロが使用していた「ハドルスイマー3インチ」は、ワカサギカラー。フックはマス針の腹側縫い刺しセッティングだった

TOP50第2戦、こんなに悔しさを感じる敗戦は、ここ数年なかったような気がする。

ただ、今回の試合本番で2つの大きな「気付き」があった。

1つは、ライトリグの釣り方に関してとても重要な釣り方のコツ。

2つ目は「ライブスコープ」の機能を今まで50%程度も使い切れていなかったこと。

今までは、視力でいえば自分は0.1程度の視力だったことに気付かされる衝撃的なキッカケがあった。

そのちょっとしたセッティングの違いで視力は一気に1.2になった。

それによってバスが突然見えすぎ、試合中の迷いの一因にもなったが、今試合で初めてライブスコープの謎(若手LSP達には常識のようだが……)が解明できたことだ。

これは今後、自分のLSの釣りに極めて大きな変化が起きる可能性がある。

思い過ごしかもしれないが、試合に負けて心底悔しさを感じる自分がいるなら、まだまだ自分に進化の余地はある。

次は、霞ケ浦水系2連戦、戦闘準備は今日からスタートだ。

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