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【その長さ9ftオーバー】異色のロングロッド、ティクトの「ICE CUBE IC-90TG-Sis Rockin′GRAND」をアンバサダー田村祐介に訊く

寄稿:田村 祐介
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メバリング特集

こんにちは! ティクトアンバサダーの田村 祐介です。

私がティクトのアンバサダーに参加したのは2017年1月。秋田県男鹿半島をメインに磯メバルを追っている私の加入をきっかけに動き出したプロジェクト…それが、ティクトのメバルロッドで初となる試み、異端とも言えるロングレングスロッド「ICE CUBE IC-90TG-Sis Rockin′GRAND」の開発でした。

求めたのはより多く、そしてより遠くのターゲットと出逢うため。

田村 祐介(Tamura Yusuke) プロフィール

秋田県は男鹿半島をメインフィールドとするティクトアンバサダー。週末はほぼ磯メバルを追い続けるサラリーマンアングラーで、 時にはトラウトも求めて北から南へ大自然を駆け巡るマルチな一面も。

 

ICE CUBE IC-90TG-Sis Rockin′GRAND というロッド

なぜロングレングスなのか?

私が主に釣行をしているのは、磯場やゴロタ場です。

足場は高くて6m、低い場所では20cm程で浅場や深場も根が多く複雑なエリアのため、近距離でタイトに狙うジグヘッド単体、プラグ、飛距離が必要な沖のシモリについているメバルにアプローチするにはフロートを使用した遠投が必要になります。

磯場によっては小場所もありスペースがなく複数ロッドを持ち込めない、加えてランガンには不向きでレスポンスが悪いため、1本で全てをカバーできるロッドを目指しました。

立ち位置によっては7ft台のロッドでも獲れますが、メバルは餌を捕食した瞬間に元居た場所に戻る習性があります。近・中距離、遠距離でも浅場で掛けた場合はとにかく根に潜られないようにしなけれないけないのですが、やり取りでカバーでき、飛距離も出るのでより多く、そしてより遠くのターゲットと勝負ができる「ロングレングス」が必要不可欠と思いました。

 

トライ&エラーの日々

当時のティクトのメバルロッドで一番長いモデルは7.9ft。アジングロッドには8.2ft、9ft(この2機種はキャロ・フロートを使用し大型のアジ狙うモデル)があったため、イチから要望を伝えてサンプルを作る…のではなく、現行のロングレングスロッドを使い込んでイメージを形に。そうしてできたのが1stプロト。

テストの段階で徐々にロッドパワーを上げていくとなれば先が見えづらい…と考えて、1stプロトは今まで使用していたロッドよりもティップ、ベリー、バッド全てのパワーを上げるように依頼しました。

一番苦労したのが、ベリーのパワーバランスです。

できあがってきた1stプロトはティップの操作性、遠投先での感度、そしてバットパワーに関して軽いリグから15gほどもあるフロートまでキャストがしやすく問題はありません。ただベリーが思うように魚の動きを吸収しないため、バラシの原因となったんです。2ndプロトではその問題を解決すべく、ベリーのパワーを少し落とし調整することでティップからベリーにかけて魚の動きを吸収し、安定したやり取りが可能となりました。

次に遠投性です。ロングレングスロッドの特長といえば、とにかく飛距離が出せる事。始めは10g〜15gまでのフロートをメインに使用していましたが、それでも風の影響で飛距離がでない場合はポイントにアプローチできない。それ以上に飛距離を出すため、さらにバットパワーを上げて20gまで背負える仕様に。広範囲にアプローチすることが可能となりました。

そうしてできあがった3rdプロトは使用感もまったく問題なし。ただし、やはりこのロッドを完成させるには、実際に“尺メバル”を釣って締めくくりたい…と。

季節は8月、遠投で数は釣れるがサイズが伸びないタイミング。釣行したのはホームの磯で、薄いサラシがあるワンドの水深50cmほどの場所を狙います。スリットをタイトに攻めると「ゴツン」と強烈なバイト。水深が浅く根も荒い。さらに立ち位置も30cm程と低く、強引なファイトをすればキャッチできる確率が減ります。大型にも主導権を与えない9ftの長さとロッドパワーを活かし、スタックされないように丁寧に丁寧に水面ギリギリで勝負して、キャッチできたのが31cmの尺メバル。締めくくりとしは最高のビッグワンです。

晴れて「ICE CUBE IC-90TG-Sis Rockin GRAND」として、リリースすることができました。

 

ロッドの特性

スペック的にはレングスは9ft、ルアーウェイトは0.8g〜21g、ラインはPE0.2号〜0.6号の設定です。

商品名 ティップtype Length
(ft./cm)
Section Close
(cm)
Weight
(g)
TopDia
(mm)
ButtDia
(mm)
Rig wt.
(g)
Line
(MONO)
Line
(PE・号)
IC-90TG-Sis チューブラー 9′(276) 2pc. 140.5 115 1.1mm 10.5mm 0.8~21g #0.2~0.6

 

また、使用するリールの番手によって全体のバランスを調整できるよう、グリップエンドを取り外せる仕様に。10g×3個のバランサーを標準搭載することで0g・10g、20g、30gの間で調整が可能です。

磯場、ゴロタ場、サーフのメバルの釣りで使用することを目的としているモデルとなり、軽量ジグヘッド単体からプラグ、重量のあるキャロやフロートを1本でこなせるオールマイティーなロッドです。フロートリグの遠投で40〜60m先の繊細なバイトも掛けることができるティップ、強い引きを吸収するベリー、水深50cmの根が複雑な場所でも尺メバルをも引き剥がす強靭なバットパワーを兼ね備えています。

 

長さを感じさせない操作性とパワー

長さはありますが、ティクトオリジナルの軽量かつ高反発カーボン設計なので、キャスト時もティップの戻りが速くブレが少ない。持った感じはシャキッとしてハリがあり、ティップの感度も良く、ベリーが魚の動きを吸収してくれるので安定感もあります。

また、ラクに魚を寄せることができる強めのバットは、不意の大物(シーバスや真鯛)にも負けないパワーもあります。

 

長さのメリットとしては、軽いルアーも飛距離が出せること。また重量のあるキャロやフロートを使った垂らしの長いリグもストレスなく遠投でき、竿抜けポイントへアプローチも可能です。

ロングレングスは敬遠されがちですが、水深が浅く根が複雑な場所であってもロッドの長さを生かして障害物をかわしやすく、安心して魚とのやりとりができるので、今まで攻めれなかった竿抜けポイントも攻略できるという点は、磯メバルゲームの大きな武器になります。

 

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