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【冬エギングにはキモがある】ヤマシタ川上英佑、真冬のアオリイカの釣り方を深掘る

寄稿:川上 英佑
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前回ご紹介した真冬のアオリイカ“冬イカ”を狙った真冬のアオリイカの釣り方」

今回は真冬の価値ある1パイにより近づくための狙い所を、より深く掘り下げていきます。

【冬エギング】ヤマシタ川上英佑の「真冬のアオリイカの釣り方」

川上 英佑(KAWAKAMI EISUKE) プロフィール

ショアをメインにオフショアからのエギングにも精通するYAMASHITAエギングマイスター。 エギング歴は20年に及ぶ。エギングが認知されてまだ間もない頃からYAMASHITAのプロスタッフとして活動、その活動範囲は国内外問わず幅広く、東南アジアからオセアニア、ヨーロッパ、南アメリカと世界中に及ぶ。また世界各国でエギングを行い、またエギングセミナーを開催。ロジカルなセミナーは海外でも人気が高い。

 

1月はまだ温かい!?

気温と寒さが厳しくなる1月ですが、海水温自体はまだ下がりきっていないエリアが残っているのが1月

実は、最も冬エギングの中でも厳しいシーズンが2~3月初旬あたり。朝晩の冷え込みは厳しいものの、陽だまりの温かさを感じ始める、いわゆる三寒四温を呼ばれる季節です。

季節の上では春を意識し始める季節ですが、海中はまだまだ冬模様。2月中旬から3月は海水温が最も低くなる季節で、これは大気から海水への熱伝導が起因しており、気温の高低のピークの翌月くらいに海水温に反映しているため。つまり気温が最も高いのは8月ですが、海水温は9月にピークを迎えるというのもこのためです。

年間で最も難しい冬エギングですが、1月はまだまだチャンスがあります。とはいえ、冬季のエギングはアオリイカが活発に行動する水温ではないため、1℃の水温差が釣果の明暗を分けるケースがあります。

特に14度~16度の間はそのケースが当てはまる非常に繊細な状況。また、水温だけでなく、ヤリイカのような大きな群れで動くタイプのイカががまとまって釣れるるようであればプラン変更のサイン。ヤリイカやスルメ、ケンサキといった群れが大きなタイプのイカが接岸すると、アオリイカの反応が著しく低くなる場合があるため、大きく場所移動をするか、場を休めるか、もしくはそのままヤリイカ、スルメを狙ったエギングにシフトした方が良いです。

 

水深は深いほど良いが、海底の形状もキー

狙う水深もなるべく深く、潮通しの良い場所がポイントとなることは前回も触れましたが、その中でも海底がイカが好む地形をしているとより高確率で回遊して来ます

緩やかに水深が深くなっているような場所よりは、ある程度カケアガリがあったり、スリットなどの地形変化があったり、海中で湾を形成しているようなポイントが理想的です。最近は海図のアプリもスマートフォン版でダウンロードが可能で、釣り場周辺から深場まで続く道(スリットや地形変化)が絡んでいる場所を確認する事ができます。

アオリイカは冬季の低水温期、深場まで落ち、光量が少ない夕マズメから夜にかけて浅場へと回遊します。水深があり、尚且つ深場へと続く道が絡むポイントはアオリイカの回遊ルートとなっており、そこを狙い撃つ事で釣果の確率が必然的に高くなります。そのため、沖に張り出した堤防の先端や、岬状になっている磯場の先端は潮通しも良く、好ポイントとなっています。

 

時合は潮の変化と光量変化と2つある

時合とひとことで言っても、2種類あります。

ひとつは潮の動きが変化する、潮の動き出しと、潮止まり直前の流れが不安定になる時間帯。水深があるポイントであれば、上げ止まりと下げ止まりの前後両方が狙えます。

もう一方は、光量変化のタイミングのいわゆるマズメ時。朝、夕マズメ時のように光量が変化するタイミングの方が沿岸を回遊してくる確率が高く、潮の変化時と同様にイカの活性が上がる要素。

2つの要素が重なれば更に期待度は上がりますが、釣行できる日がそう都合よく重なるものでもありません。重ならないとしても潮止まり以外は潮流は僅かながら動いていますから、夜間の潮の変化時と朝夕マズメは集中的に狙っていただきたい。

シビアなシーズンだからこそ、この状況変化による短い時合が活きてきます。回遊の可能性が低い時間も含めて、やみくもに1日中粘るよりも、確率の高いタイミングを集中して狙い撃つ事が、釣果への近道にもなります。

 

見切る、あるいは集中するタイミングを掴む

冬季のエギングにおいて、潮が効いているかどうかは非常に重要な要素。どんな1級ポイントでも、潮が効いていなければ釣果に結びつくことは少ないです。そこで、アングラーが潮が効いてきてここから粘るのか、あるいは全く効いていないので移動するのか、潮の有無を感じ判断することが大切です。

また、潮目や水面の動きだけに頼るのではなく、アクションやフォール時のエギにかかる潮の重さ=抵抗で判断する事が重要です。潮流は「生き物」とまでは言いいませんが、タイドグラフのようになだらかに機械的に動くわけでもなく、動いたり止まったりと不規則な動きを繰り返しながら潮位を変化させます。そのため、釣りをしながら、潮が動き始めたタイミング、緩んだタイミングをエギやロッドを通して感じ取る必要があります。

ラインテンションが自動的に常に張り気味になったり、明らかに潮に押されてラインがフケたり、ロッドが引っ張られるくらいに強く潮の流れを感じるタイミングであれば、移動はせずしっかりと粘ることが重要。潮の変化を感じているかどうかで、その日の集中する時間や休むべきタイミングも変わってきます。

 

色々とアンテナを張ることが多い冬季のエギングですが、接岸する個体数が少ない時期だからこそ、持てる技術や知識を総動員する必要があります。1パイの価値が大きな冬季のエギング。秋のスキルアップとは異なり、中級から上級者へとステップアップできるシーズンでもあります。

難しいからこそ、1パイ獲れた時の喜びもまた冬エギングの魅力です。

 

合わせて読みたい基本編「真冬のアオリイカの釣り方」

【冬エギング】ヤマシタ川上英佑の「真冬のアオリイカの釣り方」

 

ヤマシタ

「ヤマシタ(YAMASHITA)」は、神奈川県横浜市の老舗釣具漁具メーカー「ヤマリア」のエギング、イカ釣り、タイラバ、タコ釣りなど、海釣り用品に特化したブランド。特にエギングへの造形は深く、エギのスタンダートである「エギ王」シリーズや、「ケイムラ」カラー、「490グロー」カラーなどを送り出し、最新のテクノロジーでエギングの世界を変え続けている。