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今江克隆のルアーニュースクラブR 第979回「2020年ロッド最新事情〜スパインレス化について〜」の巻

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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「スパイン」との戦いの歴史

捻れれば(曲がれば)スパインの悪癖が出てしまうならば、ロッドのティップ~ベリーが捻れて「キキンっ!」とわらう前に掛け終えてしまうロッド、スパインがあってもパワーロスしない「金属的張りを持つ高反発ロッド」こそが、「コンバットスティック」の原点である。

まぁ当時コンバットは琵琶湖発祥だったので、キャスト精度に重きを置くより、フッキング性能を重視したのが、初代コンバットのスパイン対策である。

つまり初代コンバット創生の時から、自分の理想は「スパインの排除」だった。

真っすぐ飛ばしにくいクローラーベイトも驚くほど真っすぐ飛ぶ。 片手で扱える7フィートのミディアムスパインレス、超軽量軽快な「クーガーELITE7」

リリース禁止条例の影響で琵琶湖から主戦場をリザーバーや河川に変化していった段階で、キャスト精度の重要性が増し、スパインレス化の目的もキャスト精度に重きを置かなければならない時代になった。そこで産まれたのが「セミスパインレス」と銘打った「クロスファイア」シリーズである。

今でも玄人筋には非常に人気の高いシリーズだが、このシリーズで初めて業界タブーだったスパインの存在をショーなどで公に語ることになる。

ロッドには「超高感度」、「超軽量」、「粘りがある」、「曲がって止まる」、様々なメーカー謳い文句がある。だが、かつてスパインの排除に触れたメーカーを自分は知らない。

最も竿の核心であり、絶対的性能差が現れる部分にも関わらずそれは業界タブーとされてきた。その理由は、同じ製法で作った同じ機種でも、スパインの強弱は必ず現れるからだ。一般ユーザーがスパインについて詳しく知ると、その強弱を店頭で確かめスパインの少ないものを選別することも可能になる。

つまり「スパインはロッドにあって当然のもの」、それがロッドの常識であると都合がよいのである。だが、スパインレス化が根本的な性能差を生むことは何処のメーカーも40年以上前から知っている事実だ。

アメリカ最大のメーカーだったバークレイは、かつてカーボンシートのマンドレル巻きつけではなく、金型成型によるカーボン樹脂一体成型のロッドに幾度も挑戦していた。

スパインは高い脚のガイドを上に乗せることでさらに悪癖を発揮するので、ガイドのないインターラインのロッドを世に問うたメーカーもあった。

ブランクスに密着するようなマイクロガイドの誕生も、感度以上にスパインの悪癖を解決する一つの方向性である。

自分のロッドも理想は、コンバットステック「ガニングシャフト電撃」誕生のそのときから、最も難しい7フィートクラス、ファーストテーパーのロッドでのスパインレス化の実現だった。

そのために途中、「コンバットステック」の当初コンセプトとは相容れない柔軟な性格の「クロスファイア」を手がけた。しかし、同時にスパインがあってもそれより先に瞬時に仕事を終える「掛け」の路線を継承する「4軸クワトロクロス」、「トレカT1100G」の高弾性路線も同時進行させてきた。

「カレイド」シリーズは「純国産」ゆえに超高額ハイエンドロッドと思われがちだが、「スパインを排除する」という目的と管理のために純国産にこだわり、最先端、最高レベルの素材や技術をいち早く取り入れ、「クロスファイア」では選別出荷までしてきたからこその超高額ロッドなのである。

故にグリップやコスメの部分はお世辞にもハイエンド価格に相応しい満足のいくデザインだとは思っていない。自分の竿作りの終始一貫したブレなき目標は、「デザインとの戦い」ではなく「スパインとの戦い」である。

「クーガーELITE7」はパワーフィネス、ビッグワームにも高次元で対応するファーストテーパースパインレス。 ロクマルオーバーも瞬殺出来るほどのパワーとトルクの太さを併せ持つ。

スパインを制圧! そして最先端高弾性「M40X(40T)」も投入!!

2019年、「スーパースティードGT-R」を「スパインレスロッド」と初めて明言してから1年、次は7フィートファーストテーパーのスパインレス化だ。そして同時に「T1100G(33T)」を上回る最先端高弾性「M40X(40T)」の採用で、スパインがあってもわらうより早く掛け終える元祖コンバット電撃系「曲がって追従する超高弾性ロッド」の実現だ。

2020年はブレることなく30年以上追い求めてきた、その確固たる目標の一部が、ついに世に問える記念すべき年になるかもしれない。

超高弾性40Tながら粘りを実現した「M40X」をセカンドシートに、4軸の最高峰狭角30度と45度の全身ダブルラッピング、しかもメインシートは「T1100G」というカレイド史上過去最強スペックの「ブラックレイブンEXTREME」。フットボールジグやテキサス、ソルティソニックから2.7gレベルのベイトフィネスまでこなしてしまう、キレキレだけど粘る超軽量電撃系ロッドに仕上がった

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