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トモ清水のガッ釣りソルト「祝!謹賀新年。XROSSFIELD!」

連載:トモ清水「ガッ釣りソルト」
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トモ清水(Shimizu Tomo) プロフィール

20年以上ロッド開発者として釣り具業界に携わるスーパーマルチアングラー。ロッド開発を手掛けたブランドは、国内、海外、自社、OEM問わず、20社にも及ぶ。現場主義、実績主義をモットーに全国各地、世界各地、釣りに飛び回るガッつり系。常に自然と魚をリスペクトし、次世代の楽しいものづくりに挑戦し続け、世界トップクラスのロッド開発者を目指す。1977年9月生まれ。本名は清水智一(しみず・ともかず)

明けましておめでとうございます。今回は祝2020年、第一回目の連載です。本年も何卒宜しくお願い致します。

今回は本題の「XROSSFIELD クロスフィールド」というロッドについてのご紹介になります。

2014年に発売して以降、今なお追加生産されてもすぐに完売になるほどの人気を保っている大ヒットロッドがクロスフィールドになります。ありがたいことに日本でのアブガルシアのロッドの歴史上、かつてないほどの売上本数を記録しています。

フィールドをクロスする、1本のロッドで、バスもトラウトもソルトも出来ちゃう、まさにマルチなロッドがこのクロスフィールドのコンセプト。価格がリーズナブルという以外にも、このコンセプトが人気の秘密の一つではないでしょうか。

人気の秘密とは?

ひと昔は、1本のルアーロッドで、バス・トラウト・ソルトの釣りを楽しんでいる方がほとんどでした。

私もその1人で、ルアーを始めた時に使っていたロッドは、柔らかいトラウトロッド。そのロッド1本で、メバルなどライトソルトを楽しんだり、バスを釣ったりと、多少の使いづらさはあるけれども、十分その1本で楽しむことが出来ていました。

その当時、全く今ほどルアーロッドは細分化されておらず、アユロッド、磯ロッド、ルアーロッドという風に、ルアーロッドはひとくくりで分けられていました。もちろん当時は、エギングロッド、アジングロッドというものもありません。何となくルアーを使うロッドはルアーロッドという表現をされていた気がします。バスロッドとトラウト、そしてシーバスロッドというくらいはジャンル分けされていたくらいです。

その後、時代は進み、各ジャンルに合った様々なルアーロッドが生まれ、より専門的に、より快適なルアー釣りが可能になりました。ルアーフィッシングの人気の高まりにより、ルアーというジャンルがさらにバス、トラウト、ソルトとより細かく分離され細分化してきましたね。

ルアー市場が成長するにつれ、釣種も道具もさらに細分化されるように

さらにソルトの中でもエギング専用、アジング専用、クロダイ専用、ワインド専用といった具合に、どんどん専用ロッドが誕生し、あたかも専用ロッドを購入しないと釣りが成立しないような風潮さえ感じる時代に突入していきました。そういった風潮に違和感を覚えたのは、私だけではないのではないでしょう。一方で私自身も専用ロッドを次々に開発し、その必要性を強く訴えかけてきたのです。

2000年代前半、この傾向がますます加速していく一方で、ビギナーにとっては、ロッドの種類が多すぎて、ルアー釣りを始めてみたいけど何を選択して良いのか分からない、全部買い揃えるのは大変、といった悩みも出てきました。そういった状況の中で、「今の釣り人が求めているもの」、そしてこういう時代だからこそ「本当に必要なものは何か」という、メーカー主導のものづくりではなく、今一度、釣り人目線に立って考え直しました。そこから見えてきたロッドが「クロスフィールド」なのです。

「クロスフィールド」は、現代のロッド技術を活かし、専門ロッドの機能を持たせながら、これ1本で様々なフィールド・釣り方・ターゲット魚種を狙える、ルアー釣りを始めるにはもってこいのオールラウンドなロッドです。

これでロッド選びに迷うこともなく、しかも1本でシーバスもできて、エギングもできる。もちろん他のジャンル、本流のトラウトやバスの陸っぱりで遠投用として使ってもOK。

今までの専用ロッドだと、どうしても「他の用途でのご使用はご遠慮下さい」という注記書きが伴って、自由に使いづらい面もあったと思います。その点ではクロスフィールドは、あらゆるジャンルでしっかりテストしていますので、気軽に自由に1本のロッドをお使いになれます。また私達メーカーも「あらゆるジャンルに使ってもいいですよ~」と謳っていますので、ユーザーも安心してお使いになれると思います。

まさに原点回帰とも言えるコンセプトロッドを目指しました。

開発秘話

実際にはテストが一番大変でした。1本で何でも出来ると謳う以上、1つのターゲットだけではなく、あらゆるターゲット、あらゆるフィールドでテストしなければなりませんでした。さらに何かに特化すると、一方の性能が損なわれますので、その中間点をうまく取っていかなければなりません。結果、特化した性能では、やはり専用ロッドに劣りますが、バランス面では非常に優れているロッドに仕上がりました。

目指したのは、誰でも使いやすいロッド。例えば極端なテーパーは避けて、ルアーを投げやすいレギュラーテーパーよりの設計を採用しました。

またPEラインも安心して使えるよう、一番ラインの負荷が掛かるトップガイドにはSiCリングを採用(モデルによって多少異なります)。またロッド自体が重いと使いづらいので軽量化も図りました。

あとは低価格においてありがちなチープなデザイン。これだとやはり所有感が満たされませんので、たとえ低価格においても細かいディテイル、コスメにはこだわり抜きました。エンドキャップにはスウェーデンの王章クレストマークを施し、EVAグリップにはアブガルシアのロゴが刻印されていたりと、細部までこだわっています。

そして、お客様がお店でロッド選びがしやすいように、PETケースにはひと目で分かるアイテム別対応表を張り付けたり、魚のイラストを描いたりして工夫もしました。自分のスタイルに合ったベストなアイテムが簡単に探しやすくなっています。このパッケージデザインに辿り着くまでにも、何度もデザインをやり直しました。

このように全てユーザー目線に立って、どうすればお客様にとってよいのかを徹底的に考え、やり直して作っていきました。

顧客満足度

実際にクロスフィールドを購入された方のコメントを拝見させて頂きましても、コンセプト通り1本であらゆる釣りに応用している方が多く、その汎用性の高さを高評価して頂いています。またよく「デザインがかっこいいね!」とおっしゃって頂けるので、コスメの点でもこだわって良かったなと思います。

何より1本で何でも出来る、というルアーロッドの原点の考えに同感して頂ける方が非常に多いことに改めて気付かされました。

こういう時代だからこそ、このような1本で自由に楽しめるロッドが必要なのかもしれませんね。1本のロッドをフル活用して、より多くの魚種を狙ってみましょう!もし自分に合ったハマるジャンルが見つかれば、その専用ロッドを買うのはそこからでも遅くないと思います。

最後に、やはり専用ロッドには勝てない部分がありますので、「このジャンルは極めたい」とか「このジャンルは大好き」といったものは、やはりそれ用に開発された専用ロッドがおススメです。

次ページではクロスフィールドのロケの模様をご紹介!
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