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ミドルゲームとはなんぞや?レオン加来匠が徹底解説

連載:加来 匠レオン「ライトゲームマニア」
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「ミドルゲームって最近よく聞くけど、よく分からない」

そんな方も多数おられるはずです。

そこで、このジャンルの出自に関わり、しかも自らもこのジャンルの普及を提唱している身として、勝手ながら「ミドルゲームとはなんぞや」を改めて整理してみました。

レオン 加来 匠(Kaku Takumi) プロフィール

加来匠(かく たくみ) 中国&四国エリアをホームグラウンドとし、メバルやアジ、根魚全般の釣りを得意とする生粋のソルトライトリガー。レオンというのはネットでのハンドルネームとして使い始めたが、いつの間にか、ニックネームとして定着。ワインドダートやSWベイトフィネスなどを世に広めた張本人、新たなスタイルを常に模索中! 「大人の遊びを追求するフィッシングギアを提供する」ことを目的としたプライベートプロダクション「インクスレーベル」代表もつとめる。

ミドルゲームとは何か?

 ライトゲームとヘビーゲームの「中間領域」を指す釣りジャンル

・「ミドルゲーム」は、タックルパワー・対象魚・使用ルアーサイズなどの観点で、ライトゲーム(メバリングやアジング等)と、ショアジギング・エギングなどのヘビーゲームの中間に位置するジャンル。

・単なる「中間サイズのルアーを使う釣り」ではなく、「戦略と感度のゲーム性」を残しつつ、より強い魚と知恵比べできるというコンセプトを持つ。

なぜ生まれたか?(背景と思想)

既存のライトゲーム釣法の外側にある「未開拓ゾーン」へのアプローチ

ライトゲームのタックル建てでは荷が重く、かといってヘビータックルで挑むには「感度」「ゲーム性」が損なわれる場面が存在。

そもそも初期段階で「ミドルゲーム」と名付けられたのは、瀬戸内における「堤防マダイ・キジハタゲーム」である。

ターゲットは主にはマダイやキジハタや大型のメバルであり、海峡部に面した堤防から本流のボトムへアプローチする釣りだが、この釣りを熱心に研究していた広島のグループにより、15年ほど掛けて実戦的な有効手段として体系化されていった。

その特徴としては、使用するリグはタイラバやテキサスリグでは無く「ジグヘッドである」というところ。つまり、比較的フラットな本流ボトムに餌を求めて入ってくるマダイやキジハタを狙い撃つには、ルアーの姿勢を含め、ボトム直上でリグを的確にドリフトやリフト&フォールでコントロールし、流れの中での微細なバイトをモノにするためにはジグ単が最も有効的な手段であるという結論だ。

そしてそれを可能にするためには、すでに“ライトゲーム”ではイメージしにくくなった5g〜15gのジグヘッドや0.5〜0.8号のPEラインを使用し、タックルもULでは無く、操作感や感度に優れるライトゲームテイストを踏襲したL〜Mクラスのロッドが必要となる。

つまりこれらの釣りで、誰もがタックル建てをイメージできるように、「ミドルゲームをパワー的な概念でライトゲームの上位に置く必要がある」所以ともなったのである。

全国のフィールドと釣果を広げるために(背景と思想)

昼夜に関わらず、ミドルゲーム概念は全国のフィールドで新たな釣果を呼び込む

踏まえて、私自身も長らく同様の概念で全国を釣り歩いていたので、現代において、軽く・小さく・細くと、どんどんシュリンクされていったライトゲームとは別に、新規タックル概念としてミドルゲームジャンル確立の必要性を常々感じていたのです。たとえば…

・磯際や沈み根やゴロタ浜に着く中型(25〜35)のキジハタ・アカハタ・オオモンハタ

・藻場・荒場に入ってきた尺上メバルやムラソイやベッコウソイ

・ベイト付きで港湾部へ入ってくる小〜中型青物(イナダ・サゴシ・サバ)

・小型ベイトを偏食するサーフでのヒラメ・マゴチ

・種類も増え、各地でサイズがアップしているフエフキ系やメッキ類

・東北エリア堤防で近年よく釣れ始めたキジハタ・タチウオ・ホッケ

などが「ミドルゲームでこそ面白くなるターゲット」と言えます。

操作感・感度・ゲーム性を妥協しない「知的ゲーム」の延長線

・ライトゲーム的な「操作感」「情報量の多さ」を維持したまま、より強い魚と渡り合う。

・「硬くて重いタックルでは気づけなかった」繊細な反応を察知し、戦略的に仕留めるという、スポーツフィッシング的な楽しさを追求。

使用タックル・対象魚・ルアーまとめ

ロッド リール ライン ルアー 対象魚
L〜MLクラスで感度とパワーを両立 2500〜3000番程度のスピニング
(ベイトフィネスで攻めるケースもあり)
PE 0.5〜1.0号 + フロロリーダー12〜20lb前後 7〜30gのメタルジグ・シンペン・ミノー・ワーム・テキサス・ジグヘッド等 根魚(アコウ・オオモンハタ・ガシラなど)、大型メバル、ギガアジ、サゴシ・イナダなどの小〜中型青物、ヒラメ・マゴチなどのフラットフィッシュ

ミドルゲームの魅力

・戦略性 × 力強さ × 情報量の三拍子が揃った釣り

・汎用性が高く、フィールド・魚種を問わず多彩な展開が可能

・ハイエンド志向の釣り人にも、ステップアップしたいライトゲーマーにも◎

という訳で、ルアー別のミドルゲーム釣果実績リストを作成してみました。それぞれ、“キモ”と合わせてご覧ください。

① メタルジグ(7〜30g)

ショアジグ感覚でボトム〜中層を探る…アコウ・オオモンハタ・ガシラ・ホウボウ・サゴシ・イナダ・カマス・ヒラメ・マゴチなど

タダ巻き・リフト&フォール…特にリフトフォールで根魚、水平引きで青物・フラットに有効

キモ:フォール姿勢と早巻き耐性のある設計を選ぶこと(推奨:ナッゾジグなど)

② シンキングペンシル

表層〜中層を漂わせて喰わせる…サバ・イナダ・カマス・メジナ・アジ・メバル・チヌなど

ナチュラルドリフト〜リフト&フォール…夜間はマダイやギガアジや大型メバル、日中は青物のナブラ撃ちにも◎

キモ:スローリトリーブや「浮遊感」演出で食わせるゲーム性が光る(推奨:SPM65〜75など)

③ ミノー(フローティング/シンキング)

シャロー〜中層をトレース…メバル・アジ・チヌ・カマス・青物・ヒラメ・マダイなど

トゥイッチやストップ&ゴーが有効…特にリアクション狙いや反転バイトを誘発しやすい

キモ:ロッドワークと巻きの変化でバイトを作る「操作系ミドル」

④ ワーム+ジグヘッド/テキサス/直リグ

ボトムバンプ・スイミング…ジグヘッドが操作性に優れる。アコウ・オオモンハタ・ガシラ・マゴチ・ヒラメ・クロダイ・ソイ類など

カバー撃ちやストラクチャー狙い…テキサス・直リグが根掛かり回避性に優れる。荒根周りで真価を発揮

キモ:フックセッティングとワーム形状で明暗が分かれる(推奨:スワールテールシャッド・テールマッカートニー・ジュラクロー・ボトムドライブ・MDヘッド・尺ヘッドなど)

⑤ ブレードベイト/スピンテール

広範囲をテンポよくサーチ…青物・サゴシ・ヒラメ・アジ・サバ・マダイ・オオモンハタなど

中層〜表層の反射喰いに強い…ブレードが強すぎるとスレるので、ブレードサイズにも工夫を

キモ:リアクションバイトとサーチスピードに特化した手数系(推奨:ナッゾジグ・メタルマルなど)

⑥ メタルバイブ

ボトム〜中層でのストップ&ゴー…根魚・ヒラメ・マゴチ・サバ・ハタ類・クロダイ・チヌ・セイゴなど

高水温期や朝夕の活性高いタイミング…縦の釣りでリアクションを狙える

キモ:巻きやジャーク後の「止め」で口を使わせる爆発力!(推奨:ゴッツンバイブなど)

⑦ バイブレーション(プラ製)

流れのあるエリアで早巻き…シーバス・メッキ・イナダ・タチウオ・メジナ・サバなど

早朝・夕まずめの回遊待ちに最適…距離も稼げて攻めの釣りができる

キモ:波動・レンジ・スピードのバランスで時合を制す!(推奨:レンジバイブなど)

ルアー ロケーション ターゲット
メタルジグ 磯・堤防・サーフ 根魚・青物・ヒラメ
シンペン 常夜灯周り・潮目・流れ出し メバル・アジ・青物
ミノー シャロー・ゴロタ場 アジ・チヌ・ヒラメ
ワーム系 ストラクチャー撃ち・ブレイク ハタ・根魚・マゴチ
ブレード・バイブ系 広範囲・オープンエリア 青物・フラット・ハタ

ロッドについて

続いてはミドルゲームに適したロッドについて、深堀していきたいと思います。

① ロッドの基本スペック:ミドルゲーム向け基準
長さ(レングス) パワー表記 適合ルアーウェイト 適合ライン
7.4〜9ft(岸釣り基準) L〜ML(ライト〜ミディアムライト) 5〜30g PE0.5〜1.0号+リーダー12〜20lb前後
飛距離と操作性のバランス、荒場では長めも◎ 繊細さと強度を両立、ロッドの本質は「柔よく剛を制す」 ジグ単も重めのプラグも使える広帯域スペック
② ロッドの調子(アクション)の選び方
調子 特長・得意な釣り 向いている人
ファスト ティップのみが曲がる → 感度・操作性◎ ボトム感知・フォールバイトを拾いたい人
レギュラー 全体的に曲がる → キャスト精度・掛け性能◎ プラグ・ジグの遠投やナチュラルなやりとり向き
スロー 胴から曲がる → 乗せ調子、ファイトに強い 大物とじっくり勝負したい人

結論…7:3〜6:4のややファースト〜レギュラーが汎用性高し(推奨:79サビオUL +・ヴェスパーダ645L・グリッサンドコンベ77など)

③ ロッド素材:中弾性カーボンが主軸
素材タイプ 特長 ミドルゲーム的ポイント
高弾性(40T以上) 超軽量・超感度 → ただし割れやすくピーキー 繊細系ゲームには◎、ただし荒場では注意
中弾性(30〜36T) 適度な感度+しなやかさ+トルク 根魚や青物の引きにもしっかり対応、王道素材
低弾性(20T前後) 強靭で粘る、反発力は低め ファイト特化・ロック系にはアリだが操作感は鈍ることも

結論…ミドルゲームは「中弾性カーボンベース+部分的な高弾性補強」が理想構成(推奨:ガリンペイロ711ML・ヴェスパーダ645Lなど)

④ ガイドセッティング:軽量化と糸抜け重視

・小口径多点ガイド(Kガイド・ATガイド):PEラインの絡み防止に◎

・RGガイド(ゼナック系)・ストローガイド(ツララ系):ミドルゲームでの糸抜け・感度特化

・軽量リールと合わせてトータルバランスを組むと、感度と操作性が段違い!

とまあ、おおむねこれらの【タックル建て】を総称して「ミドルゲーム」というジャンル名称を付けて普及させる事がとても大事です。

この25年、ライトゲームの隆盛と共に釣り方やポイントの選び方が限定的になり、結果として多くの水辺に対し、飛距離的にもレンジ的にも、そしてルアーや魚のサイズ的にも、「竿抜けゾーン」ができてしまっている現状を、ミドルゲームでなら打破できると確信しているのです。

 

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