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スミスにはメバルプラグが多彩にある。それでも「ソレス42S」が必要だった理由、開発者に直撃!

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メバペン、ガンシップ、ルナメバルといったメバルプラグのラインナップが豊富なスミスから今シーズンに新しい戦力が加わることになった。それが2023年12月に発売となった「ソレス42S」だ。

ここでは開発を担当したスミスの小笠原健太さんに詳しい話を伺ってみた。

小笠原健太(ちゅにてぃー) プロフィール

関東近郊のソルトウォーターゲームをベイトタックルで攻略するのが自身のスタイル。メバルやトラウトなどのライトゲームからオフショアキャスティングまでベイトタックルで楽しんでいる。

開発背景

このプラグの開発に着手したきっかけとなっているのが、関西方面の港湾部で釣りをしているアングラーからの要望だった。具体的には…

・ガンシップ36とガンシップ45の中間を埋めるサイズが欲しい。

・ガンシップのSSモデルより早い沈下速度でより深いレンジを攻めやすくして欲しい。

・ガンシップのSSモデルよりも早い沈下速度を確保した上でのレンジキープ能力とデッドスローリトリーブでもメバルを食わせられるアクションが出て欲しい。

こちらの3項目をクリアすることを目標に開発がスタートした。

△愛用者も多いであろうファットミノータイプのガンシップ。サイズは36と45の2サイズあり、タイプもHF、F、SS、さらにはシェルシート内蔵など幅広いバリエーションを誇る。ガンシップでカバー出来ない状況を打破するためのプラグ開発がスタートした

デザインコンセプト 元々はリップ付プラグからスタートさせた

要望されたボディのサイズ感がおおよそ40mm前後ということで、先ずはガンシップの40mmサイズをCADと3Dプリンターで作成していろいろウェイトをいじって試してみた。

ですが…、どうしても早く沈むようにウェイトを積むと、リップを使って動かすタイプのルアーではデッドスローリトリーブ域での繊細なアクションが出にくいことが確認できたので、この時点でリップレスタイプのプラグを作ろうと決めて進めることになり、ボディ形状を突き詰めていった結果ソレス42sのベースボディが出来上がった。

ところがこのベースボディをスイムテストしてみたところ、リトリーブするとものすごい勢いでウォブンロールアクションを発生させて泳ぐということがわかった。これではメバルを相手にするには泳ぎが強過ぎる。

トサカ状のスタビライザーを搭載し…

このままだとメバルに対してアクションがワイルド過ぎるので、ヘッド部分にトサカ状のスタビライザーを搭載して左右への水流をコントロールすることによりS字スラロームで泳ぐように変換。

頭部のスタビライザーでS字スラロームを描くようにさせた

それでもかなりワイドなS字スラロームになってしまったので、スタビライザーの付け根をカップ状に掘ることで水が当たる面を作り、動きを抑制することで、このピッチの細かい緩やかなS字スラロームアクションを出すことに成功した。

スタビライザーの付け根はカップ状にへこんでいる。これによりピッチが細かく、緩やかなS字スラロームアクションを実現できた

特徴その① レンジキープ性能

ソレスの42sの特徴は大きく2つある。

まず1つ目は最大の特徴でもあるレンジキープ能力

沈めて使うプラグということで最もこだわった部分がこのレンジキープ能力となる。

あくまでもざっくりな数字となりますが、水面との距離がゼロ距離足場で引いて来た場合にソレス42sは約20〜100cm程まではアングラーが任意で設定したレンジを限りなくキープして引いてくることができる。

ソレス42sはこの絶妙な中層レンジである20〜100cm付近のレンジでのコントールを容易にできるようにボディ内の空気室とウェイトの配置、量を絶妙な設定となるように詰めていった。

 

このレンジキープ能力を持たせたのは前述したヘッド部分に掘ったカップとボディの高比重化。

ヘッド部分のカップがリップのように水を掴む事で浮き上がりを抑えることと、ボディの肉厚を上げて高比重化することにより浮力を抑えて不用意な浮き上がり軌道にならなくなった。

特徴その② 明確な引き抵抗

2つ目のの特徴は引き抵抗。

ソレス42sのもう一つの特徴はこの手のスラローム系プラグらしからぬ引き抵抗があること。

この手のスラローム系プラグというのは使ったことがある人は分かると思うのですが、リトリーブ時にとにかくノー感じになりやすいんですよね……。

ソレス42sはこの引き抵抗を限界まで強める事に徹底的にこだわった。

 

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引き抵抗の要素としては…ヘッド部分のカップずんぐりむっくりなファットボディ、そしてS字スラローム軌道などになる。

ヘッド部分のカップやずんぐりむっくりボディは抵抗物としての役割がイメージできると思うのだが、かなりの比率で引き抵抗に貢献しているのはS字スラロームアクションとなる。

なぜ「S字スラローム」にしたのか

ただ、こんなこと言ってはアレなのですが私自身はメバルに対してS字スラロームのアクションが効果絶大であるとは思っていません…。

ではなぜS字スラロームアクションで泳がせるのかという理由が引き抵抗を持たせるため、ということになる。

物体が水の中を進む時にI字軌道で進むよりS字スラローム軌道で進む方が物体の後方にできる水流は大きくなる。

この水流が大きくなる程に物体が後方に引き戻させる力が働き、それはリトリーブの引き抵抗となる。

そしてソレス42sはボディを短く太くしたのでこのS字スラロームのピッチも細かくなり、後方に水流をしっかりと発生させることに成功し、引き抵抗を強くすることに成功した。

ただ、あまりにもこの水流が大きくなり過ぎるとそれは水押しの強いアクションとなってしまうので、フワフワとした〝抜け感のあるアクションと引き抵抗〟という相反する要素の最大公約数を限界までテストして仕上げた。

抜け感を持たせつつも明確な引き抵抗を持たせたソレス42S。フィールドテスト段階において各地のフィールドテスターからも好釣果が寄せられていた

カラーラインナップ

01.クリアーグリッター

02.レッドグリッター

03.ゴーストグローバック

04.スラッシュハーフミラー

05.ヨザクラ

06.チャートグリッター

07.クリアーマーブル

08.チャートヘッドBK

09.マットチャート

10.レッドヘッドグロー

11.カブラグリーングロー

出典:YouTube「スミス公式チャンネル」

ジグ単であればジグヘッドのウェイトやカウントダウン及びリトリーブスピードの調整によって狙ったレンジをトレースすることができ、またその精度を上げていくことが釣果に直結するのは言うまでもない。

プラグで同じことを再現させることはなかなか難しいことではあるが、レンジキープ力に長けたソレス42Sならばそれができ、プラグならではの飛距離やアピール力が付加価値として付いてくる。ぜひとも試してみてほしい。

サイズ ウェイト タイプ 標準小売価格
42mm 3.8g シンキング ¥1,400+税

スミス公式「ソレス42S」詳細ページはこちら

SMITH(スミス) プロフィール

1970年創業。日本のルアーフィッシング創成期からそのノウハウや楽しみ方を提案し続けている。バス、ナマズ、ライギョ、トラウト、ソルトと展開するジャンルも多岐に渡る。展開するタックルはスミスオリジナルのロッドやルアーに加え、プラドコやゲーリーヤマモトといった海外製品の輸入販売も行っている。