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今江克隆のルアーニュースクラブR「ひねくれもの?ガイドシステム、最先端スパイラル(螺旋)ガイドの真実」の巻 第1179回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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スパイラルガイドの最先端

今江的2024年最新タックル情報3週目は、バスロッドの話題を…過去の「テムジン」、「カレイド」シリーズの中でも異端にして異形の存在、まさに「ひねくれもの」ともいえるスパイラルガイドを搭載した新シリーズの最先端技術を、分かりやすく紹介しよう。

「カレイド」の歴史においてスパイラルガイドシステムは、古くは「クオッドツイスター」、そしてベイトフィネス時代に対応するため神谷(勇紀)プロの手を借りて新たに組み直した「クオッドライト」が存在する。

国内メーカーのバスロッドとしては、他に類を見ない「カレイド」のみといってもよい異形のロッドだが、古くから玄人筋のトーナメンターからは根強い人気を得ている機種だ。

特に「クオッドライト」にかんしては「100年に一人の逸材」と自分が評した馬淵利治プロが、TOP50野村ダム開幕戦でこのロッドを理にかなった方法で駆使し、開幕戦圧勝を果たしたことは、自分の記憶に残る試合だった。

馬淵は、TOP50名物男ともいわれるほど「ひねくれもの」だったが、見た目やカタチにとらわれない秘められた能力を見抜く眼力は常人離れしていた。

そんな「ひねくれもの」が愛した「ひねくれガイドシステム」だったが、この「クオッドライト」時代は、まだ自分はスパイラルガイドの本質を全て理解していなかったと、今は痛感する。

あれから10年近くの歳月が流れ、エバーグリーンの製作スタッフ、青木哲プロの力を借り、そして自分自身もより深く追求する時間を得れたことで、新たな「ひねくれものカレイド」を2024年、世に問うことになった。

見たこともないセッティング?

今回、「第一弾」としてすでに量産最終プロトにOKを出したのが、ちょっとバスロッドでは過去見たこともないセッティングの、極端なスパイラル・カレイドだ。

このロッドの名前はまだ決まっていないが、極めてしなやかな、それでいてベリーとバットの強いシェイキング、ミドスト、ベイトフィネス等に使う操作系6フィート6インチのMLロッド。

「クオッドライト」の正統後継機種となるのが、このロッドである。

最大の特徴は、スパイラルガイドを、曲がることのないバット部分で一気に全て回してしまい、曲がる部分のガイドが全て下を向いていることにある。

その回し方には非常に奥の深い理由と、ロッドによって千差万別の位置決めがあり、全てのスパイラルシリーズが同じセッティングではないことが、今回の最も進化したことである。

このセッティングはこのロッドだけのモノであり、違うロッドではセッティング位置から角度までが全然違ってくるのが、スパイラルガイドの本質なのだ。

ゆえに、今回はこの機種一種のみの専用セッティングであり、解説と理解してほしい。

スパイラルガイドは、ロッドの長さ、柔らかさはもちろん、ガイドの高さ、径、ラインの太さ、種類、釣り方でも全く違ったセッティングになる。

「相性が合うロッド」に載せてこそ、極めて効果のある奥深いガイドセッティングで、そこは後々時間をかけてゆっくり詳しく解説していきたいと思う。

スパイラルガイドを採用する理由

まず、スパイラルガイドを採用する最大の理由は主に2つ。

一つは完璧なスパインレス化が非常に難しいソリッドティップロッドや、ティップがしなやかでベリーが強い可変アクションのシェイキング系ロッドを、スパインレスロッド同等の性能を持つロッドにするため。

二つ目はスパインレス化が非常に難しいハンドル着脱式の7フィート4インチ以上の「よく曲がるが強い」ロッドを、スパインレスロッド同等の性能を持つロッドにするため。

結局は、ロッドは必ず偏肉する多層シートのパイプに、さらにガイドを載せることで、ラインがロッドの中心線を外れて通るがゆえ、その2つのズレによるスパインの悪戯(いたずら)を排除することが、ロッド制作の永遠の命題なのだ。

ロッドスパイン(背骨)によるネジレの悪影響、ティップの嗤(わら)いやキャストのブレ、フッキング~ファイト時のロッドのパワーロス等を解決するスパインレス化以外の方法、それがスパイラルガイドセッティングの根本的な考え方なのだ。

キャスト時に問題はないのか?

この極端なスパイラルガイドだと、まずキャスト時にスムースさが損なわれるのではないか?という疑問が起こるだろ。

この連続写真(是非、部分拡大してみてほしい)を見てみれば分かるが、ラインの整流を極力妨げないように、回し方をレベルワインドから真下を向くガイドまで最小限の抵抗に抑えることが重要なのだ。


上手くセッティングが決まれば、飛距離が落ちることはなく、逆に逆風下ではガイドが下にあるため、風に押されてたるんだガイド間のラインがブランクスに擦れることがないので、バックラッシュが少なくなるというメリットも発生する。

キャスト時のスパイラル部分を拡大してみると、ラインはスムーズに整流され、ロッドの下方向に引力に逆らわず、きれいに走り落ちていく感じが分かると思う。

レベルワインド位置と最初のバッドガイド口径、高さを絶妙に調整することで、スプールにかたよってラインが巻かれることは、気になるレベルではほぼない。

スパイラルガイドのメリット

そして、スパイラルガイドの意外に知られていない副次的メリットとして、ラインスラックが出しやすいという点がある。

ガイドがロッドの上に載っているベイトロッドの場合、ロッドをシェイクしている時、ガイドとガイドの間のラインは、ブランクスの上にあるので、ブランクスに接してしまう。

そのため、濡れたラインはブランクスにへばりつきやすく、スラックが出にくくなる特徴がある。

スピニングロッドと比べ、スラックラインの出し方が難しいのがベイトロッドで、特に繊細でナチュラルな操作をしたい場合にはその差が顕著に出る。

ところが、ガイドがブランクスの有効部分(曲がる部分)の下に付いていると、ベイトロッドでもラインは引力によって下方向に弛むため、ガイド間のスラックが出やすい。

このスラックの多さはラインをダルダルにし、張ったラインで水を不用意に切ることなく「スラックシェイク」するには非常に有効な性能になる。

ダウンショットリグやネコリグはもちろん、特にベイトタックルでの「ホバスト」、「ミドスト」、「ジグスト」において、スラックスイミングシェイクをできるメリットはとても大きい。

ここが、このロッドの最大の狙いの一つでもある。

だが、ガイド間のスラックが多く出るということは、フッキング時、特に瞬間的なフッキングに時には竿が嗤ってしまうリスクが高い。

ゆえにベイトのマイクロガイドは、あえてガイド間スラックを出さないビタビタセッティングにして、これを回避しようとしている。

写真はガイドが上にあるベイトロッドと、下にあるベイトロッドの比較だが、上にあるベイトロッドは、どこかベリーの部分に危うさを感じるが、下はその不安が全くないのが分かるだろう。

その極端なフッキング例の決定的瞬間がコレだ。

フッキングのタイミングをミスって片手を高く跳ね上げる「タコ踊り」一歩寸前だが、ロッドが一切嗤わないためフッキングは完璧に成功している。

拡大してみればロッドのベリーからティップが一切、捻じれてないことがよく分かると思う。

これがスラックは出せるがフッキングでも処理が速く、捻じれに無理がないスパイラルガイドの最大のメリットである。

さらに拡大してみると、ブランクスが全く捻じれていないためフッキングパワーが100%、ラインに乗っていることがよく分かる。


このスパイラルガイドシステムは、特に「ティップが柔らかくよく曲がる竿」にこそ、最も有効なセッティングなのである。

柔らかくてもフッキングのパワーロス、逃げ、嗤いがないから、硬い竿並のフッキングができるのだ。

まだまだあり!スパイラルガイドのメリットとは?

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