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【ルーツを辿る】スピニングリール、進化の軌跡

連載:トモ清水「ガッ釣りソルト」
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WEB連載「トモ清水のガッ釣りソルト」186回
【ルーツを辿る】スピニングリール、進化の軌跡

トモ清水(Shimizu Tomo) プロフィール

20年以上ロッド開発者として釣り具業界に携わるスーパーマルチアングラー。ロッド開発を手掛けたブランドは、国内、海外、自社、OEM問わず、20社にも及ぶ。現場主義、実績主義をモットーに全国各地、世界各地、釣りに飛び回るガッつり系。常に自然と魚をリスペクトし、次世代の楽しいものづくりに挑戦し続け、世界トップクラスのロッド開発者を目指す。1977年9月生まれ。本名は清水智一(しみず・ともかず)

こんにちは、トモ清水です。

あと1週間ほどで啓蟄(けいちつ)。春の暖かさを感じて、冬ごもりしていた虫が外に這い出てくるころのこと。

いやぁ~、日も随分と長くなりましたね。昼は暑さを感じる日もあるのですが、夜はまだまだ冬。厚着して防寒対策しても、震えながら体に鞭打って、夜釣りにひっそりと出掛けているトモ清水です。

最近はムツにお熱

千葉の房総で、ライトゲーム。アジ、カマス釣果はムラがあるものの各所で釣れていますが、ちょっと変わり者の自分は、ムツという魚に興味津々。

というのも、下処理にちょっと手は掛かるものの、炙りにして食すとめっちゃ美味。

今までは、どうもこのムツ、本命のアジやカマス狙いで釣れてくる外道的存在。今なお、あまり注目されないお魚。でも沖釣りに目を向ければ、赤ムツ(のどぐろ)や黒ムツは、高級魚の中でも超高級魚。

さすがに陸っぱりで釣れるムツは、船で釣れるサイズとまではいきませんが、ムツはムツなのであります。狙って釣る価値があるのでは?

まだまだ釣り方、ムツの生態系は勉強中ですが、けっこうゲーム性も高く面白い釣りで、今後もっとやり込んでみたいな、と思わせる魚種の1つです。

ちなみに反応の良かったワームは、「ガルプ!ソルトウォーター ベビーサーディン2in」と「ガルプ!ソルトウォーター サンドサーディーン 1.8in」。 ピンクカラーに反応がよく、なぜかピックアップ寸前にバイトが多発。最後まで丁寧に巻いてくるのが肝でした~。

リリース前提のスリリングな釣りを楽しむ

一方、冬の定番の魚種「メバル」。こちらは関東に雪をもたらした翌日、三浦半島(神奈川県)へ。雪が降った日は何故か釣れる、と言うが翌日はどうなんだろう?

ちょっとトライ的に、夜な夜な静まり返った漁港のスロープにエントリー。

ベイトフィネスによるプラッギングゲームでフローティングミノーをデッドスロー! 横文字だらけで恐縮です!(笑)。

このデッドスローが肝で、フローティングなので実際にはかなりトップウォータープラグに近い、水面直下の釣りスタイル。いわゆる「サブサーフェス」ってやつ。

やっぱりこのバイトが出るまでの独特の間が、釣り人を興奮させてくれます。しかもリリース前提なので、シングルフックのバーブレス。貴重な1尾をバレないように、そのスリリングさを楽しむ。

すみません、マニアックですね。これがたまんないですよ。痺れるんです。これだと最初の1匹で全て満足できるんです!笑

そんな時、頭に開高健氏の名言が過ります。

「釣りは最初の一匹さ。それにすべてがある。」

最初の一匹はいつもこうなんだ。

大小かまわずふるえがでるんだよ。

釣りは最初の一匹さ。それにすべてがある。

小説家とおなじでね。処女作ですよ。

だからおれは満足できた。

もういいんだ。魚は逃がしてやりなさい。

おれたちは遊んでるんだ。

出典:新潮社出版 開高健著「夏の闇」より

スピイングリール 進化の軌跡

さてここからが本題になります。今回は、リールはリールでもスピニングリールの進化の軌跡を辿ってみたいと思います。

各フィッシングショーがリアルで開催され、まさにその真っ只中。最新技術を用いたリール、ロッド、ルアーなど、次々と各社から発表され、新製品ラッシュというところで、最新鋭のタックルに注目されがち。

そんな時こそ、ちょっと視点を変えて、その起源や発展の経緯など、釣りの歴史に目を向けてみるのも悪くありません。

実はこの絵にあるパイクの魚がリールの起源に関係しているのです。

1651年にトーマス・バーカー著のThe Art of Anglingにウインチと記載されていた、パイクのトローリングでつかわれていたモノがリールの起源と考えられています。

前回もラインの歴史について、前々回はベイトキャスティングリールの歴史について、少し触れてみました。

第184回:ベイトリールの歴史はコチラ

【ベイトリール初心者 必見!】釣り具業界20年の大ベテラン!トモ清水が解説するベイトリールを完璧に使いこなす方法

第185回:ラインの歴史はコチラ

【これでもう迷わない】釣り具業界20年の大ベテランが解説!「ラインの選び方マニュアル」

今回はスピニングリールについても、少し触れていきたいと思います!

スピニングリールの歴史

近年、スピニングリールの領域まで踏み込んだベイトリール

今ではスプールの極限までの軽量化、内蔵されているボールベアリングの進化、マテリアル、構造にまで至るベイトキャスティングリールの進化と、最先端素材を使ったロッドの進化で、スピニングタックルでしか扱えなかったルアーウエイト「1gアンダー」という、ベイトリールではあり得なかったスピニングタックル領域への世界に突入している現代。

わたくしトモ清水がずっと提唱してきた、このソルト・ベイトフィネスも、リールの歴史を辿ると面白いことが分かってきます。

新しいスタイルのリールが、ルアーの小型化・軽量化を可能にして、ルアーフィッシングの発展に大きく貢献してきたという史実にちょっと触れたいと思います。

リールの起源は片軸受けリール!?
実はまだ新しいスピニングリール

リールは、片軸受けリールから始まったとされています。

その古くから英国で発展してきた片軸受けリールは、20世紀に入ると米国式の両軸受けリールに駆逐される運命をたどるのですが、第二次世界大戦後には、逆に英国発祥のスピニングリールが米国へ輸入され未曾有の大流行を巻き起こしました。

スピニングリールの起源は、イギリスで年に開発されたイリングワース1号と言われていますので、約100年とちょっとと、リールの歴史から言うとスピニングリールの歴史は新しいと言えます。

世界最古のリールに関する史料、まぁ諸説あるみたいですが、F.Bullerの報告によれば、イスラエルで発見された6世紀の鋳造とみられる古代ビザインチン帝国の銀貨に、リール付きの竿を抱える釣り人の姿が刻まれているというが、それの真偽の程は定かではないようです。

現代の私達が享受するルアー文化の豊かさは、少なからずこういったリールの技術進歩によって支えられてきたのですねぇ~。

そして現代へ

そしてトモ清水が生まれる2年前の1975年、この年に登場したのが「CADINAL33」。当時、日本では非常に大きな反響を呼んだそうです。その機能、デザインともに極めて完成度が高かったことから、日本のアングラーを虜にしました。

ちなみに写真の私が所有している「CADINAL33」は、1975年から2年間にわたり生産されたものではなく、1990年と2003年に復刻版として発売されたもの。現在は生産されていません。アブ社がアメリカのガルシア社を買収する前に作られていた製品ですね。

進化を続けるスピニングリール

カーディナルの歴史は1965年から始まったと言われていますが、そういった歴史に思いを馳せて、手に持つと、最新リールには無い、そのレトロ感と今は生産されていないという所有感の魅力を感じます。それと同時に、対比することで現在の最新鋭のリールの進化に驚くばかり。新旧を知った上で、新しいリールを使うことで、より一層、自分のフィッシングライフが楽しくなってくるのです。

カーディナルは、CARINALⅢ SX、STXシリーズなど、さらに進化したリールとして、ピュア・フィッシング・ジャパンから発売されています。

なんと替えスプール付きで、コスパが非常に高く、これから釣り始められる方にとっても人気のスピニングリールとなっています。

Cardinal Ⅲ STX (カーディナル3 STX)【アブガルシア】

製品名 自重(g) ギア比 最大ドラグ力 最大ライン巻き取り長(cm/ハンドル1回転) ボール/ローラーベアリング 本体スプール:ラインキャパシティ(m)  ナイロン・フロロ/PE 替えスプール:ラインキャパシティ(m)  ナイロン・フロロ/PE 税別価格
CARDINAL III STX 1000S 216 5.2:1 3 63 5/1 0.148(3lb)-100/ PE0.4-100 0.148(3lb)-100/ PE0.4-100 ¥7,400
CARDINAL III STX 2000S 236 5.2:1 3 69 5/1 0.165(4lb)-100/ PE0.6-100 0.165(4lb)-100/ PE0.6-100 ¥7,400
CARDINAL III STX 2500SH 263 5.8:1 5.2 82 5/1 0.205(6lb)-100/ PE0.8-150 0.205(6lb)-100/ PE0.8-150 ¥7,600
CARDINAL III STX 2500SHD 268 5.8:1 5.2 82 5/1 0.205(6lb)-100/ PE0.8-150 0.205(6lb)-100/ PE0.8-150 ¥7,800
CARDINAL III STX 2500MSH 254 5.8:1 5.2 82 5/1 0.235(8lb)-170/PE2-150 0.235(8lb)-170/PE2-150 ¥8,300
CARDINAL III STX 3000SH 295 5.8:1 5.2 88 5/1 0.235(8lb)-110/ PE1.2-150 0.235(8lb)-110/ PE1.2-150 ¥7,800

アブガルシア公式「Cardinal Ⅲ STX (カーディナル3 STX)」の詳細ページはコチラ

Cardinal Ⅲ SX (カーディナル3 SX)【アブガルシア】

製品名 自重(g) ギア比 最大ドラグ力 最大ライン巻き取り長(cm/ハンドル1回転) ボール/ローラーベアリング 本体スプール:ラインキャパシティ(m)  ナイロン・フロロ/PE 替えスプール:ラインキャパシティ(m)  ナイロン・フロロ/PE 税別価格
CARDINAL III SX1000S 216 5.2:1 3 63 3/1 0.148(3lb)-100/ PE0.4-100 0.235(8lb)-100/ PE1.0-150 ¥5,200
CARDINAL III SX2000S 236 5.2:1 3 69 3/1 0.165(4lb)-100/ PE0.6-100 0.235(8lb)-150/ PE1.5-150 ¥5,400
CARDINAL III SX2000 226 5.2:1 3 69 3/1 0.235(8lb)-150/ PE1.5-150 0.235(8lb)-150/ PE1.5-150 ¥5,400
CARDINAL III SX2500SH 263 5.8:1 5.2 82 3/1 0.205(6lb)-100/ PE0.8-150 0.260(10lb)-150/ PE2-150 ¥5,600
CARDINAL III SX2500H 255 5.8:1 5.2 82 3/1 0.260(10lb)-150/ PE2-150 0.260(10lb)-150/ PE2-150 ¥5,600
CARDINAL III SX2500SHD 268 5.8:1 5.2 82 3/1 0.205(6lb)-100/ PE0.8-150 0.260(10lb)-150/ PE2-150 ¥6,000
CARDINAL III SX3000H 286 5.8:1 5.2 88 3/1 0.285(12lb)-150/ PE1.5-220 0.285(12lb)-150/ PE1.5-220 ¥5,600
CARDINAL III SX4000H 305 5.8:1 7.7 92 3/1 0.33(16lb)-150/PE2-220 0.33(16lb)-150/PE2-220 ¥5,900
CARDINAL III SX5000 380 4.8:1 11 78 3/1 0.405(22lb)-150/PE3-240 0.405(22lb)-150/PE3-240 ¥6,200

アブガルシア公式「Cardinal Ⅲ SX (カーディナル3 SX)」の詳細ページはコチラ

ABU社製のように個性的で味のあるリール、残念ながらそういったリールは少なくなってきています。あえてクラシックリールのもつ機能をマニュアルで使いこなす「楽しさ」や「かっこよさ」がやっぱりそこにはあります。

本音を言うと、クラシックリールを使って「渋いリールを使っているね~」と言われたいだけなのですが(笑)。

数々の歴史あるブランドを所有している「ピュア・フィッシング」

グローバルのフィッシングカンパニー「ピュア・フィッシング」は、実に歴史あるブランドを所有している会社。アブガルシア、バークレイだけでなく、PENN、シェイクスピア、ハーディー、ミッチェルなど、数えきれないブランド。

どれも歴史を紐解いていくと非常に興味深いので、また別の機会がありましたら、その歴史に触れていきたいのと、ぜひとも自分で調べてみてはいかがでしょうか。

2023年アブガルシアから新作スピニングリールが2機種登場!

2023年アブガルシアから新作スピニングリール「レボ SP ビースト」と「レボ SP ロケット」が登場します。「レボ SP ロケット」は1巻き最大124cmを達成! That is amazing!

ロックフィッシュ、ライトショアジギング、もちろんボートシーバスやサワラキャスティング、ジギングなどのオフショアにも、今年の主戦力として活躍しそう。

どう使い分けするか、想像するだけでワクワクしかない! 世界中で鍛え上げられたスピニングリール、やはり信頼と実績。

是非、こちらチェックしてみてください。もう間もなく!3月のリリースになります。

REVO SP Beast (レボ SP ビースト)【アブガルシア】

製品名 自重(g) ギア比 最大ドラグ力 最大ライン巻き取り長(cm/ハンドル1回転) ボール/ローラーベアリング ラインキャパシティ(m)  ナイロン・フロロ / PE 税別価格
REVO SP Beast 1000S 181 5.1:1 3 64 10/1 0.128(2lb)-100/ PE0.3-120 ¥28,500
REVO SP Beast 2000S 183 5.1:1 3 67 10/1 0.165(4lb)-100/ PE0.6-100 ¥29,000
REVO SP Beast 2000SH 183 6.1:1 3 80 10/1 0.165(4lb)-100/ PE0.6-100 ¥29,000
REVO SP Beast 2500S 192 5.1:1 5 72 10/1 0.205(6lb)-100/ PE0.8-150 ¥29,500
REVO SP Beast 2500SH 192 6.1:1 5 86 10/1 0.205(6lb)-100/ PE0.8-150 ¥29,500
REVO SP Beast 3000SH 210 6.1:1 5 92 10/1 0.235(8lb)-110/PE1.2-150 ¥30,000
REVO SP Beast 3000MSH 220 6.1:1 5 92 10/1 0.33(16lb)-150/ PE2-220 ¥30,000
REVO SP Beast 4000SH 225 6.1:1 7 100 10/1 0.33(16lb)-150/PE2-220 ¥30,500

アブガルシア公式「REVO SP Beast (レボ SP ビースト)」の詳細ページはコチラ

REVO SP Rocket (レボ SP ロケット)【アブガルシア】

製品名 自重(g) ギア比 最大ドラグ力 最大ライン巻き取り長(cm/ハンドル1回転) ボール/ローラーベアリング ラインキャパシティ(m)  ナイロン・フロロ / PE 税別価格
REVO SP Rocket 2000S 183 7.0:1 3 92 10/1 0.165(4lb)-100/ PE0.6-100 ¥29,000
REVO SP Rocket 2500S 192 7.6:1 5 108 10/1 0.205(6lb)-100/ PE0.8-150 ¥29,500
REVO SP Rocket 3000S 210 7.6:1 5 115 10/1 0.235(8lb)-110/ PE1.2-150 ¥30,000
REVO SP Rocket 4000S 225 7.6:1 7 124 10/1 0.33(16lb)-150/ PE2-220m ¥30,500

アブガルシア公式「レボ SP ロケット」の詳細ページはコチラ

釣り文化

その道具の歴史を知ることで、製品に対する愛着がより一層増し、ものを「大事に大切に扱おう」という気持ちが自然と出てくるもの。

ルーツ(根源)を知ることで、現在の自分の立ち位置がより深く理解でき、釣りという自然を通じての遊びの価値がより深く、自分の内面に刻まれるでしょう。

私たちは、「釣り」という遊びを通じて、少しだけ自然を理解出来るのかもしれませんね。どんな動物も、あなたよりずっと多くを知っている。(ネズパース族の言葉)

魚達も同様で、より多くのことを知っていて、私たち釣り人は、彼らから多くのことを学ばせてもらっている、と私は思っています。

だからこそ、釣りというのは、やればやるほど自分が「無知」なことを思い知らされるし、決して飽きることのない「究極の遊び」だと思うのです。

最後に…

自分は、アブガルシアのリール開発責任者の人柄をよく知っています。まさに人格者で、この人が開発するリールなら間違いないと言い切れるほど、隣でその「ものづくり」の現場を見てきました。

どんなに些細な事も、どんなトラブルが起きても、冷静に1つずつ丁寧に問題に真摯に向き合い、努力して解決していく姿勢。一歩一歩、確実に改善し、気が付けば誰も届かなかった場所にいる。

まるで野球のイチロー選手の志みたいですが、「釣りのものづくり」という現場も、毎日の弛み無い努力によって、この釣りという歴史の中で積み上げられてきたものだと思うのです。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。

トモ清水でした!

See you next time!

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