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【これでもう迷わない】釣り具業界20年の大ベテランが解説!「ラインの選び方マニュアル」

連載:トモ清水「ガッ釣りソルト」
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こんにちは、トモ清水です。

立春が過ぎて、日も随分と長くなり、最近では春の陽気が感じられる日もあったりと。基本、まだまだ寒いですが、これから三寒四温を繰り返し、本格的な春が近づいてきますね。

先週、お邪魔させて頂いたトラウトのエリア、群馬県の「川場キングダムフィッシング」さんでは、朝の気温が氷点下7度という、ラインもガイドも凍り付く世界。

そんな時は、どんな釣り具をもってしても、例えばガイドサイズが大きかろうが小さかろうが凍るので(笑)、暖かくなる10時まで、のんびり群馬在住の釣友GO氏と、近所のゆっちさんとコーヒー、釣り談義タイム。

日が昇り、暖かくなったところで、ベイトフィネス、スピニングと、いろんなタックルで、ニジマス、ヤマメ、銀鮭(コーホーサーモン)などのトラウト達に楽しませて頂き鱒た(笑)。

スプーン、ミノー、マイクロクランク、バベル系のボトム攻略など、ルアーローテでエリアならではの、ゲーム性を楽しみます♪

私もはじめて知ったのですが、ここのキングダムさん、ニジマスはニジマスでも品種改良された、その名も「頂鱒」。なにやらマス界の頂点を目指す独自のブランドだそう。

素敵なネーミング通り、刺身やお寿司など、数日寝かせることで超美味を味わえる格別のニジマス。

それを育てている養殖業者の努力も相当なもので、キングダムのオーナーさんもその養殖業者を尊敬されていたのですが、通常のニジマスは、2~3年で成熟するのに対し、この頂鱒は4~5年と倍の時間を掛けて育つそう。与えるペレット(エサ)も特殊だとか。さらに大型化もして、まさに海の寒ブリのような脂の乗り!

いつか釣ってみたい!たぶん来週あたり行ってそう(笑)。

40cmのサイズの頂鱒でも、この通り、身はまるでサーモン。炙りで美味しく頂きました。残りのさらに寝かせているストックは、富山のます寿司のように、押し寿司にチャレンジしてみます♪

さて、今回のお題「釣り糸」について、超基本的なことをお伝えしていこうと思います。でも基本って大事なんですよね~私も書いていて勉強になりました!

ラインの選び方マニュアル

釣り糸(ライン)の歴史

まずは釣り糸の歴史から。いつから使われていたんでしょうね? 釣りにはなくてはならない道具の1つです。ちょっと調べてみました。

釣り糸(ライン)の起源

釣り糸が使用され始めたのは、どうやら歴史はハッキリとしていないみたいです。

世界で最も古い釣り針は、後期石器時代に出土していますが、動物の骨などで作られた当時の釣り針と違って、糸は自然の繊維質なので、出土するケースは極端に少ないみたい。

亜麻布・絹・綿・羊毛など、世界中でその地域によって様々な素材が釣糸として使われていたようです。

自然素材を使った釣り糸が主流だった

私の実家、金沢(石川県)では、「加賀毛針」というアユの毛針があり、その糸には、山繭蛾(ヤママユガ)から取った本テグスを使うのが伝統。中学生の時、弟が釣り人から貰った加賀毛針を見て、亡くなった爺ちゃんが「これは馬の毛だな」というの思い出します。

その時、はじめてナイロンライン以外に、天然の素材が使われていることを知りました。日本でも江戸時代に馬の尻毛を釣り糸として使う文献があるそうです。

さらに石川県のことを調べてみると、加賀藩では武士の心身の鍛錬のため川狩りを奨励し、武士の特権として鮎釣りが認められていたみたい。また江戸時代、なんとタナゴ釣りに女性の髪の毛を使って釣りをしていたらしい。

戦後まで自然素材が主流

その後、戦後のナイロン製の釣り糸が一般的になるまで、釣り糸と言えば「テグス」。

テグス、って耳にしたことがある方は多いと思いますが、テグス蚕(カイコ)から採取する繊維品のこと。テグスの釣り糸は、安価で丈夫なナイロン糸の登場までは、釣り師達に愛用されていました。

すみません、ちょっと歴史が好きな自分としては、話が長くなってしまいました(汗)。釣りと日本の歴史がどう関わりあっていたのか興味深いところです。

釣り糸の種類「PE・フロロ・ナイロン」

今でこそ主流となったPEラインですが、フロロカーボンライン、ナイロンライン、エステルラインと、現在では、その釣りの用途に合わせて実に様々なラインが流通しています。

ジギング界など、大御所の先輩達のお話を聞くと、PEラインが登場するまではナイロンラインでジグをシャクっていた苦労話、失敗談を笑ってお話されます。釣り人は試行錯誤の上で進化したんですねぇ。

ラインに関しては、本当に凄まじいほどの技術革命を肌で感じますし、今ある快適な釣り、大物も獲れる釣果、あらためて今まで築き上げてきた釣り人の努力の上で成り立っていることを感じます。

各糸の種類の長所と短所

トモ清水的、各ラインの長所と短所について。(※アユの友釣り、磯釣り、渓流、へらなど、あらゆる釣りで糸の説明をし出すと、超複雑になるので、今回はルアーフィッシングに絞っています。)

ナイロンラインの長所・短所

参考画像:Trilene Z (トライリーンゼット)【バークレイ】

ナイロンラインの長所

・しなやか

・安価

・スプールに馴染みやすいため、使い易い。

・冬でも素材がソフトなため、ライントラブルが少ない

・クランクベイト、ミノーなど、巻物系のルアーとの相性が良い

・PEライン、フロロに比べ伸びるので、魚の引きを吸収し、バレにくい

・単線で使える

ナイロンラインの短所

・水を吸収しやすく、ものによっては劣化が早い(紫外線劣化もあり)

・伸びるので、50m、100m糸を出した時、ルアーのアクション、操作が難しい(ルアーがほとんど動かない)

・伸びるので、ジギングやショアジギング等であまり使われなくなった。

・PEラインに比べ同じ号数でも径が太く、潮流の抵抗を受けやすい(水深が深いところでは使い辛い)

フロロカーボンラインの長所・短所

参考画像:VanishRevolution Premium(バニッシュ レボリューション プレミアム)【バークレイ】

フロロカーボンラインの長所

・高感度

・ナイロンより低伸度

・擦れなど耐摩耗性が高い

・杭、倒木、岸壁、消波ブロックなど、あらゆるストラクチャーに対し、切れにくく攻略しやすい

・テキサスリグ、フリーリグ、ジグヘッドなど、撃ちもの系のルアーとの相性が良い

・PEライン、フロロに比べ伸びるので、魚の引きを吸収し、バレにくい

・単線で使える

フロロカーボンラインの短所

・水を吸収しやすく、ものによっては劣化が早い

・巻きグセがつきやすい

・冬だと素材がハードなため、硬くなり使い辛い

・折れ目が付きやすい

・バックラッシュが発生した時、糸が弱くなる(繊維が折れた状態。その部分が切れ易い)

・ナイロンラインに比べ高価

PEラインの長所・短所

参考画像:X9 (エックス9)【バークレイ】

PEラインの長所

・ラインの中で最も低伸度

・高感度(伸びない分、超高感度)

・飛距離が伸びる(PEラインは抜群の飛距離)

・ナイロン、フロロラインに比べ比重が軽い(バックラッシュしにくい。今では様々な比重のPEが存在)

・5m毎、10m毎とか、細かく色をラインに入れてPEラインもあり、水深、飛距離など目で見て判断出来る

・ジギング、タイラバ、イカメタル、バチコンなど、船のバーチカル(縦釣り)な釣りには必須

・ショアジギングなど、遠投性能が必要な場合に非常に有利

・太さ(糸の直径)における比率で、最も強度が高い(例えば0.4号といった極細のPEラインでも強度が高い)

PEラインの短所

・伸びない分、魚がバレやすい(リーダーの長さ、太さの調整が必要)

・最も高価

・単線では使い辛い。リーダー(PEのメインラインに結ぶ先糸のこと)が必要

・リーダーとの結束が慣れないと大変

・ノットが必要だったり、リーダーの太さ、種類を選択が必要で、初心者に分かり辛い

・激しいバックラッシュが発生した時、糸が複雑に絡まる

簡単にまとめると、こんな感じ
種類 比重 吸水率(%) 伸び率(%) 固さ 紫外線劣化
ナイロン 1.14 8~10 20~45 しなやか
フロロカーボン 1.78 0.01 17~37 固い なし
エステル 1.41 なし なし 固い なし
PE 0.97 なし 4 柔らかい なし

※各ラインメーカーさんによってラインの性能、スペックが異なるため、こちらが全てではありませんが、参照値として記載しておきます。

各ラインの長所と短所を、ちゃんと理解することで、間違いなく釣果アップと、より楽しい釣りライフが可能になってきます。

糸の交換タイミングの目安

PEラインは、色褪せてきた時が交換のタイミングです。しかしナイロンラインやフロロカーボンラインに比べ、巻きっぱなしでも、強度はあまり落ちることがありません。

ナイロンラインは伸びきったり、水分を含んだ時が、交換のタイミング。安価なので、まめに交換するのも釣果アップの秘訣です。

フロロカーボンラインは、耐摩耗性が高く、耐久性もあるので、比較的長く使えますが、透明度が無くなってきた時、折れ目がついた時が、交換もしくはその古くなった箇所を除去する必要があります。

糸の特徴が把握出来たら、使い分けて様々な魚種を狙ってみましょう!

バスフィッシングは、ナイロンとフロロカーボンラインが主流。
スピニングでのカバー攻略でPEラインが用いられることも。

エギングはPEラインが主流。PEラインが誕生する前は、ナイロンでエギを動かしていたなんて、ちょっと驚き。

アジングも極細のPEライン、エステルライン、フロロカーボン単線と、アングラー、シチュエーションによって使い分けています。

大型魚であるマグロですが、バーチカルで狙う場合と、キャスティングで狙う場合とでは、やはり使う糸の太さ、種類も変わってきます。

磯場など、根がきつい、ハードなポイントは、やはり耐摩耗性能が高いフロロカーボンラインが必須になってきます。

遠征または海外遠征での釣りは、予備のラインは必須です。

バーチカルなスロージギング、深海釣りは、伸びないPEラインは必須。

特殊な特許製法である「熱延伸技術」による、通常のPEラインより、さらに伸びないラインが、「スーパーファイヤーライン」。超ベテランジギンガー、凄腕船長達の愛用のラインでもあります。

バークレイ公式「Super FireLine (スーパーファイヤーライン)」の詳細ページはコチラ

船釣りでは、遊漁船によって糸の太さが指定されている場合もあり。はじめての船に乗る場合は、ネットで事前検索か、直接電話で問い合わせてみましょう。

(※例えば、一人だけナイロンラインだと、魚が釣れないどころか、他の乗船客に迷惑がかかってしまいます。)

トモ清水のライン収納ボックス

基本的に私が使うラインは、すべて「Berkley(バークレイ)」。世界中で鍛え上げられたライン、やはり信頼と実績抜群です!

日本製・海外製問わず、様々なラインを使ってきましたが、今はこのライン達に落ち着いています。

是非、皆様も自分にマッチしたラインを探してみてください。色々試すのも面白いですよ♪

世界のトップブランド「バークレイ」のライン、こちら是非チェックしてみてください。

バークレイ公式「すべてのライン」のページはコチラ

リールの各キャパに合わせて、釣糸を正しく巻こう

リールには、それぞれのサイズや種類によって、ラインのキャパシティーが記載されています。その範囲での太さ、巻き付け量を行うことで、バランスが取れて、釣果アップ・トラブルの減少に繋がります。

糸を巻くスプールいっぱいまで巻くと、ライントラブルの原因になりますので、気持ち少なく巻くのがおススメです。

最後に私からのお願い

使い終わった釣糸のパッケージ、ルアーのパッケージ、エサの袋など、釣り場に放置されているのを見ると、気分が良い人は誰一人としていません。

捨てるつもりがなくても、風でパッケージが飛ばされて、結果ゴミとして残るケースもあります。そのため、釣具店で購入した釣り道具を直接現場でパッケージから出して使うのではなく、できるだけ自宅で釣りの準備をしましょう。

ルアーをパッケージから出して、ルアーケースにあらかじめ入れるのが快適な釣りが可能に。釣り糸が絡まった時の対策として、交換用の替えスプール、または2台以上リールを用意しましょう。

現場でのパッケージから出しての交換を避けることで、自然とゴミは無くなります。

・釣り場にゴミを残さない

・釣り場をみんなで守りたい

・未来ある子供たちに綺麗な釣り場を残したい

どうかご協力お願いします。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。

I never leave the package at the fishing field

トモ清水でした!

See you next time!