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今江克隆のルアーニュースクラブR「注目のベイトリールを実戦インプレ!そして、3代目AURORA『グラビアス KTF/AURORA K.IMAE LIMITED』公開」の巻 第1104回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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TOP50前半戦が終了した今週は、今年から新たに使い始めている「G-nius(G-nius project)」のベイトリール「グラビアス」について、ここまで半年使い込んできて感じている実戦インプレを書いてみたいと思う。

「グラビアス」の生い立ち

まず「グラビアス」には、「CREMAM(クレマン)」というメーカーロゴが入っているが、このメーカーは、韓国でリールを製造し、アメリカをメイン市場に販売されているリールメーカーである。

その「クレマン」社の代表と付き合いがあったG-niusの青木哲代表が、自ら独自にフレーム設計、360度均等配置のマグブレーキ設計を企画依頼し、完成させたのが「グラビアス」と名付けられたリールだ。

もともと青木代表と知り合ったキッカケが、「ABU/LTZ」の最大の弱点であったレベルワインドとスプールの距離の狭さを解決するため、青木代表が開発したマニアックの極み「ウェルダクトロングノーズレベルワインド」を装着してみたところ、「LTZ」の最大の弱点が見事に解決されたことに始まる。

この時以来、青木代表の、街の一釣具屋店主としては常識外れにすら思えるリールやロッドに対するマニアックな開発魂に惹かれて、今に至る。

青木代表との出会いのキッカケになった「ウェルダクトロングノーズキット」。青木代表が考案したこのチューニングキットの装着によって「LTZ」のベイトフィネスにおける物理的弱点が完全に解消した

クレマン社に無名の釣り具屋店主が「グラビアス」の企画を持ち込んでオリジナルを作らせる情熱も常識外れだろう。

「グラビアス」は、フレームだけでなく、360度均等配置のマグユニットも「G-nius」オリジナル設計。「K.IMAE LIMITED」は、ケタ違いの回転性能を持つ「IXダブルボールベアリング」が標準装備になる予定だ

類似モデルとの違いは?

ちなみに、この「グラビアス」のオリジナルフレームは、生産ロット数の関係上、アメリカ向けの機種にも流用されているが、それは「グラビアアス」の価格を市場適正価格にするための青木代表承諾のうえでの契約であり、既存のアメリカ向けフレームをそのまま日本に流用したモデルでは決してないことを、ここに明記しておきたい。

ゆえに「グラビアス」のマグシステムやレベルワインドの設置位置などは青木オリジナルで、類似モデルとよく見て比較してみるとその違いは、あきらかであることを知っておいてほしい。

最初に触った時の「?」

さて、その「グラビアス」を最初に触った時、最も「?」と感じたのが、何といっても「スプールシャフト」の存在だ。

リールの基本性能の良し悪しを実戦でチェックする時に、自分が体感的に一瞬で分かるのが、①フレーム剛性、②ギア剛性、③クラッチの堅牢さ、④レベルワインドの設置位置とライン干渉の有無、⑤重量バランス、そして⑥マグのブレーキ性能、⑦スプールの回転性能、だ。

自分のファーストインプレでは、前者①~⑤に関しては、今まで使ってきたABUと遜色ナシ、むしろ剛性面では上回っていると感じた。

⑥のマグに関しては、青木代表独自設計の360度均等配置マグはABU/LT系と比較するとむしろ強いぐらいだが、自分仕様の「LTZ930」や「LX」と比べると弱めのセッティングだと感じた。

だが、この感覚はマグの設定以上に、実は⑦のスプールの回転性能と大きく関係していることがすぐに理解できた。

「グラビアス」を初めて使って一番違和感を覚えたのが、スプールの立ち上がりの違和感だった。

それもそのはず、今まで長らく使ってきたABUのLT系は全てスプールシャフトがクラッチで切り離される「スプリットシャフト」だからだ。

ABU、ダイワのハイエンドは、スプールをはるかに軽量化できる「スプリットシャフト」がもはや常識で、シマノに代表される「スプールシャフト」式のリールとは感覚があきらかに違う。

軽量な「スプリットシャフトスプール」は、何といってもスプールの立ち上がりが軽く、同時にスプールの慣性モーメントの収束も速いためバックラッシュも起こりにくい。

これらの特性は極めて軽い、コンパクトな振りで中間距離を気持ちよく飛ばせるうえに「低弾道ピッチングとフルキャストの同ブレーキセッティングでの同時成立」や「ノーサミングキャスト」には欠かせない特性である。

ゆえに「スプリットシャフト」は、ベイトフィネスでは圧倒的なアドバンテージになるのだ。

軽い振り切りでも実戦距離を飛ばせる特性は、10日間も連続で釣り続けることもあるTOP50プロにとっては疲労軽減と手や腕の関節への負担軽減に大きなメリットがある。

そのため正直なところ、この違和感には最初「ちょっと困ったな……」という印象があった。

シャフト式スプールとシャフトレススプール。左が「グラビアス」のデフォル トスプール、真ん中が「KTF KAHEN」、右が「ABU LX」デフォルト。倍近いステンレスのシャフトの重さは、スプールの立ち上がり、慣性モーメントに大きく影響する。だが、リア ル両軸といえるその剛性感も捨てがたい

スプールシャフト有る無し

だが、このスプールシャフトの有る無しは、ある意味、良し悪しでもあることが次第に使い込むほどに分かってくる。

それは芯が両軸にガッチリ通っているスプールシャフト式は、やはり「巻き感の良さ」に関しては、あきらかに「スプリットシャフト」より剛性感、耐久性能に勝る。

さらに重いルアーや大遠投時においては、スプールのガタやブレがなく、かつ終速でのスプール慣性モーメントが強く働くため逆に飛距離が後半に伸びるように感じるフィーリングがある。

これらの特性は、大遠投したいオカッパリや、特にビッグベイトや抵抗の大きい大型クランク、ヘビキャロ、渾身のフッキングをするフルサイズジグなどにおいては、非常に大きなメリットとなる。

ただ、これは裏返せば「軽いモノをコンパクトに振り切ったり、向かい風は苦手だったり」とも言い換えられる特性なのだ。

グラビアスの総合インプレッション

それぞれの特性をざっくりまとめていうならば、「スプリットシャフトスプール」は、10g以下の中~軽量ルアー、高精度高頻度キャストの近~中間距離向き、「シャフト式スプール」は、10g以上の中〜超重量ルアー、大遠投、ゴリ巻きに向いているといえるだろう。

以上のことからシャフト式の「グラビアス」は価格設定を考慮しても、一般ユーザーの現代のバス釣り傾向において極めて適正にマーケティングされたリールだというのが、総合インプレッションである。

ビッグベイト、ビッガーベイトには間違いなくリアル両軸貫通シャフト式スプール が剛性面、耐久面でもメリットがある。自分は18g以上のルアーに関しては「グラビアス」は意図的にノーマル仕様で使用している

「グラビアス」への要求は?

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