間違いだらけのサワラキャスティング
隔週WEB連載「トモ清水のガッ釣りソルト」
第148回 『間違いだらけのサワラキャスティング』
こんにちは、トモ清水です。夏と秋の変わり目、秋雨前線による長雨が続いていますが、この雨が終わるといよいよ秋本番、カラっと晴れた気持ち良い秋晴れが続き、釣りのベストシーズン到来です。
そんな中、ここ2,3年、人気急上昇中なのがサワラキャスティング。流行で始める方も多く、またこれから始めてみたい、サワラを釣って食べてみたいという方が増えています。
しかし、急に騒がれ始めたサワラキャスティングだけに、情報不足、間違った情報などもチラホラ。
昔からサワラキャスティングやっている船長に聞いても、メーカーや釣具店も間違った認識を持っていることが多いんだとか…。それゆえ、トライしたけど釣れない…、他の魚種は釣れるが本命のサワラは釣れない…、という現象が残念ながら多く発生しています。
そこで今回は、サワラキャスティング発祥の地、山口県の岩国のキャスティングゲームを7年間、毎年通い続け、船長達とサワラキャスティングを開拓、タックル開発をしてきた私の経験と、毎日出船されている現場の船長の経験を元に、間違いだらけのサワラキャスティングについて見直していきたいと思います。
これを理解して頂ければ、もっともっとサワラは釣れますし、釣って頂きたいと考えています。
今回書く内容は、ネットや人伝いに調べたり、聞いたりしたものでなく、わたくしトモ清水が現場で試行錯誤して発見していった内容になります。もちろん他の違う考え方もございますので、これが全てというわけではございませんので、あらかじめご了承願います!
オーバーパワーのロッドを使っているケースが非常に多い
広島県から出船している遊漁船「魚魚(トト)」に通いつめて早7年。私自身がサワラの魅力に憑りつかれ、トトの南波船長に教わりながら、また一緒に開拓しながら、サワラキャスティングを楽しんできました。
サワラは普通にメーターを超えてくる大型魚。それゆえに最初はヒラマサキャスティングに使用するようなガチのオフショアキャスティングのロッドを持ち込むお客様がほとんど。
ただ「まずこれが間違い」だと考えています。
サワラは確かに出世魚で大きくなる魚ですが、ヒラマサみたいに根に走る魚でないため、ドラグを締めて魚の走りを止める必要はありません。
また使用するジグ、ミノー、ジグミノー等も20~40gと軽いケースがほとんど。
そうなると明らかにヒラマサキャスティング、シイラで使用されるような一般のオフショアキャスティングロッドではオーバーパワーになります。ましてやそれらを1日中キャストし続けるのは困難。そしてサワラをせっかく掛けても竿が硬すぎるゆえ、バラシが多発してしまいます。
そこで今から5年前、サワラキャスティングに特化したロッドが市場にはほぼ無かったので、トトの南波船長に監修して頂きながら開発を進め、オーシャンフィールドのオフショアキャスティング76MLというモデルを作りました。まさにサワラのためのモデルです。
製品名 | タイプ | 継数 | 全長(ft/m) | 仕舞(cm) | 標準自重(g) | 先径(mm)/元径(mm) | ルアー(g) | PEライン(号) | パワー | テーパー/アクション | 使用材料 | 本体価格(税抜) |
OFOS-76ML | SP | 2 | 7’6″/2.29 | 118 | 188 | 1.6/9.5 | 7-35 | 0.8-1.5 | ミディアムライト | ファースト | カーボン98%,グラス2% | ¥14,000 |
こちらはトトの南波船長。オーシャンフィールドのオフショアキャスティング76MLは、このようにキレイにしなり、サワラの口切れによるバラシを防ぎます。
そしてこのロッドの元ガイドはシングルフット。ここがミソ。
通常ダブルフットガイドを使用しているオフショアキャスティングロッドですが、シングルフットの方が軽く、ロッドのしなりを妨げないので、サワラキャスティングに最も向いています。
こちらは広島県の遊漁船「魚魚(トト)」に来られるお客様のタックル。最初はガチのオフショアキャスティングロッドを持ち込んでいましたが、専用ロッドの良さに気付き、今ではほとんどのお客さんがオーシャンフィールドのオフショアキャスティングロッドや、ソルティーステージのモバイルⅢ、ライトオフショアキャスティングのロッドでサワラキャスティングを楽しまれています。
サワラキャスティングは女性にも非常に人気で、トトの南波船長が女性でも一日中キャストし続けれるロッドとして、そこにもこだわり作ってきました。
高速巻きではなく超高速巻きが正解
サワラ・サゴシは遊泳速度が早く、漁師さん達が曳く船速も速い方がよくヒットする魚です。
よって本当にこれで魚が追い付くの? と思う以上のルアーを回収する時くらいのスピードで巻きます。ですから一般的な高速巻きと呼ばれるスピードも遅く、超高速巻きが必要となってきます。
超高速巻きにあったルアーは、ブレードチューンされた20~40gぐらいのメタルジグ。
超高速巻きにするのには、いくつか理由があって、1つは超高速巻きすることで、警戒心の高い大型のサワラに見切られないようにするため。
もう1つは、超高速巻きすることで、リアフックにフッキングさせ、ルアーを丸呑まれさせないようにするためです。ルアーを丸呑まれされると、当然サワラは歯が鋭い魚ですから、リーダーラインが太くとも簡単にラインブレイクを多発させることになりますから!
だからヒト巻き1m以上巻けるハイギアのリールを使うのが正解
ローギアのスピニングリールで超高速巻きしても、実際にはルアーは早く動きませんし、アングラーの負荷が大きく理にかなっていません。
やはりひと巻き1m以上巻けるハイギアが理想です。番手は3000か4000番。ハイギアのリールを使うのがサワラをキャッチする近道になります。
基本は投げて巻くだけ
誘いに関しては基本は投げて巻くだけ。
岩国のサワラキャスティングで元祖的なルアーが、ブリーデンさんのメタルマル。こちらは非常に優秀で、超高速巻きしてもボディーの形状からブレることなく、安定した泳ぎを見せます。
私はショアスキッドジグのブレードチューンを多用していますが、スキッドジグの裏側にキールとよばれる船底と同じ形状となっていますので、こちらも超高速巻きしてもボディーの形状からブレることなく、安定した泳ぎを見せます。
ショアスキッドジグのリアにブレードを付けるだけの、ショアスキッドブレードチューン。
基本は超高速巻きですが、途中に一瞬だけ巻きを止めて、食わせる間を設けるのも非常に効果的。
フックはシングルフックが正解
フックセッティングに関しては、ショアスキッドジグのリア側に、コロラドタイプのブレードをセットするのが最適で、動きが最もよく、釣果も抜群。
たとえ高速で巻いても安定した泳ぎで魚を誘います。
フック形状も非常にキモで、最終的に色々試した結果、シングルフックに3年前に落ち着きました。
今、各社から発売されているブレードチューンフックを見ても、ほとんどがシングルフックになりましたね。嬉しい傾向です。
トレブルフック、ダブルフック、シングルフックと色々試した結果、シングルフックに辿り着いた理由としては、まずサワラに対してフッキング率が上がり、バラシも防ぎやすいということ。
またフックのシャープさも重要で、シングルフックは交換しやすく、現場でフック交換が簡単です。また手返しもよく、サワラの時合いに効率よく口から外し、次のキャストにスムーズに移行できます。
また安全面でもメリットがあり、シングルフックの使用をオススメします。
フッキングはしっかりと
サワラはバレやすい魚。非常に高価な魚だけにバレると悔しいですよね。そのためにまずはしっかり針が魚の顎を貫通させるフッキングが必要です。シングルフックはこのしっかりとしたフッキングをアシストしてくれます。
ドラグは締めすぎない
サワラはバレやすい魚なので、バラシたくないという気持ちからドラグを締めすぎるケースが多いです。ただ逆にそれがフックアウト、もしくはラインブレイク、口切れにつながりバラシが多発します。サワラは高速で泳ぐ魚です。走らせたい時は、ドラグを緩く、一定のテンションを掛けて走らせましょう。
実際のフィールドテスト風景はこちら
広島、山口の瀬戸内海では、サワラ、ブリのライトキャスティングゲームを、ショアスキッドジグのブレードチューンで釣ってきたわけですが、このエリアの海域では、9月ぐらいからシラスやイワシなどのベイトが集まりだし、それらを追って実に様々な魚種が集まり、これから最高のフィールドと化します。
同じく伊勢湾や東京湾、北九州でもサワラが、まさにこの時期から年末に向けて最高潮を迎えます。
北九州の遊漁船「セブン」の宮崎船長と一緒に響灘でのサワラキャスティング調査。
宮崎船長曰く、「最近のお客様はサワラの価値に気付いてきて、みなさん持って帰るんですよ~笑。昔は船長にどうぞ~と置いていってくれたんですけどねぇ~」
とサワラの美味しさ、価値を秘密!? にしていたほど(笑)
宮崎船長はソルティーステージ・モバイルⅢ、ライトオフショアキャスティングのロッドを愛用してくれています。
ソルティーステージ・モバイルⅢ、ライトオフショアキャスティングのロッドは、名前の通り、コンパクトに収納出来るモバイル3ピースロッド。
私も出張が多いので、南波船長と一緒にサワラキャスティング用として作りました。広島や北九州にも新幹線や飛行機で遠征してくるお客様も少なくないのだとか。
そういった方にも使って頂きたくて作製しました。https://www.purefishing.jp/product/abugarcia/sw-rod/salty-stage/salty-stage-kr-x-light-offshore-casting-mobile-kr-x.html
ロッド:Abu Garcia SaltyStage KR-X ライトオフショアキャスティング モバイルⅢ SLOS-703L-KR、733ML-KR
リール:Abu Garcia Revo ALXシータ4000SH
ライン:Berkley スーパーファイヤーライン・カラード1.2号
リーダー:バニッシュレボリューション20lb
ルアー:Abu Garcia ショアスキッドジグ 30gのブレードチューン(ブルーピンク、ゼブラ他)
東京湾ではミノーなどのプラグでサワラを狙うのが一般的ですが…
サワラ人気がウナギ登りなのが東京湾。昔からサワラキャスティングでの出船している船宿もあり、最近では特に秋から湾奥にまで大型のサワラが数多く入ってきて人気に拍車を掛けています。
東京湾の船長に聞いても、ここ2,3年やはりサワラの数は増えているとのこと。ほんとにディズニーランドが見えるところの近場で、メーターオーバーも含めた高級魚サワラが釣れるわけですから、盛り上がらないワケがないですよね。
今現在、東京湾でのサワラキャスティングゲームはミノーを使ったプラッギングがメイン。8~9割くらいのオフショアアングラーがプラグメインで、サワラを狙っています。
サワラのハネを見つけてピン狙いでのキャスティングゲーム。さらにプラグでジャーキングやトゥイッチで狙った通りに釣れた時の満足感は非常に高い。まさに私の好きな「狙って釣った」ですね。
でもですね、常連やオフショアゲームに慣れた方、経験豊富な方でしたら、そういったテクニカルでサワラを獲るのは難しくありません。もっと言うとプラグは空気抵抗が高いので、飛距離を出すにはある程度のスキルが必要です。
たまたま船の側までサワラが寄っている場合は、飛距離を出さなくとも釣れますが、それはまれです。やはりキャスティングゲームは遠投が基本です。プラグを使ったキャスティングゲームは、特に初心者にはちょっとハードルが高いと言えます。
よって私的には飛距離も出せて、巻くだけでサワラを高確率で狙える、ショアスキッドジグのブレードチューンのようなルアーがオススメなんです。
事実、ミヨシからプラッギングでサワラを狙っている方達より少し胴の間からブレードチューンをキャストし、プラグの倍近く飛んでいたでしょうか? そしてその日のファーストヒットはブレードチューンしたジグをキャストしていた私でした。
今後は東京湾でもブレードチューンされたメタルジグがもっとメインになっていってもおかしくないと予測しています。
サワラキャスティング、もちろん大本命はサワラ! しかし他にも色々な魚種もヒットします♪
サワラキャスティングで、ショアスキッドジグのブレードチューンで狙っていると、実に色々な魚種がヒットしてきます。
ではその一例をご紹介!
まずはブリですね。ブリも脂が乗ってとても価値ある魚ですが、サワラキャスティングにおいてはゲスト扱い。サワラのベスト時合いを逃しまいとばかりに、ブリだとわかったらゴリ巻きです(笑)
1、2分で上げないと南波船長に怒られます(笑)そうやってテスト段階からロッドは鍛えられています!
ガヤガヤ楽しく船長と仲間たちでサワラキャスティングを楽しむのが面白いですね!
鰤だと分かった瞬間、南波船長はゴリ巻きで瞬殺していきます。
ブリをゴリ巻きで瞬殺していく南波船長。
ヌンヌンとしたブリ特有の頭のフリで、サワラかどうか判別出来ます。
高速でドラグを一気に走らせるのはサワラ。一瞬止まってもまた高速で走り出したら80cm以上のサワラ確定です(笑)
オーシャンフィールド、ソルティーステージのサワラキャスティングロッドですが、ブリクラスも余裕で獲れますのでご安心を。ブリクラスでも何せゴリ巻きで、竿を十分しならせ、そのトルクで瞬殺で獲れますからね!
オーシャンフィールドからズバリ「サワラキャスティング」という名前の専用ロッドが登場
少し宣伝を! 2021年9月、オーシャンフィールドからズバリ「サワラキャスティング」という名前の専用ロッドが発売されます!
こちらはセンターカットの2ピース仕様。これから始めてみたいいう方にピッタリ。非常にコスパの高いロッドとなっております。
製品名 | タイプ | 継数 | 全長(ft/cm) | 仕舞(cm) | 標準自重(g) | 先径(mm) | ルアー(g) | PEライン(号) | 使用材料 | パワー | テーパー/アクション | 本体価格 |
OFWS-702ML | SP | 2 | 7’0″/213.5 | 110.5 | 176 | 1.6 | 0 7~40 | 0.8~1.5 | カーボン98%,グラス2% | ミディアムライト | ファースト | ¥14,000 |
OFWS-732MH | SP | 2 | 7’3″/221 | 114.5 | 199 | 1.9 | 12~60 | 1~2.5 | カーボン98%,グラス2% | ミディアムヘビー | レギュラーファースト | ¥14,500 |
ロッド:Abu Garcia オーシャンフィールド ・オフショアキャスティング OFOS-76ML,
オーシャンフィールド ・サワラキャスティングOFWS-702ML,732MH
リール:Abu Garcia Revo ALXシータ3000SH
ライン:Berkley スーパーファイヤーライン・カラード1.2号
リーダー:バニッシュレボリューション20lb
ルアー:Abu Garcia ショアスキッドジグ 30gのブレードチューン(ブルーピンク、ゼブラ他)
ラインはめちゃくちゃ飛距離の出るスーパーファイヤーラインのウルトラ8もオススメ! 太さは1.2号か1.5号が標準です。
ただ巻きは超高速巻きで。狙います。下写真のリールはレボ・ロケット。ハイギアの超高速巻きに適したリールです。
サワラはまさにこれから!年明けくらいまでシーズンは続きます。
脂が乗って超美味!!食べたら絶対病みつきに!
キロ単価5,000円ってなことも! もし5kgのサワラ釣ったら何と2万円オーバーですからね。
都内の高級料亭にそりゃ回るわけですよ。
西京焼き、サワラの握り、刺身の炙り、しゃぶしゃぶ、どれをとっても非常に価値ある、最高の贅沢を堪能できますよ♪
ここではまだまだ書ききれないくらい奥が深く、ゲーム性が非常に高いサワラキャスティング! 今年もサワラの季節がやってきました!
トモ清水でした!
See you next time!
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