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今江克隆のルアーニュースクラブR「ウワサの最新鋭スピニングリール!ゼノンを忖度ナシに実戦使用インプレ」の巻 第1052回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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短所はあるのか?

では「ゼノン」の短所は存在するのだろうか。

「ゼノン」を初めて使ううえで最も注意しておくべき点は、その標準スプール径を表記する「番手」の変更である。

ABUでは「ゼノン」から標準スプール径のサイズを、従来のサイズから変更しており、実質的には「ゼノン2500番」のスプール径(45mm)は、旧「MGX、MGXtreme2000番」(45mm)と同じサイズ。

「ゼノン2000番」(42mm)では、従来機種の1000番サイズと同等なのである。

なので旧「MGXtreme2500番」のスプール径(48mm)に慣れていると、同じ2500番でも「ゼノン2500」のスプール径(45mm)は明確に小さくなってしまっている。

これは一見すると同サイズリールの超軽量化ではなく、番手を上げて軽量化したかのようにも見えてしまう。

ようは2500番と表記していても、サイズは昔の2000番じゃないの?ということだ。

このサイズ表記の変更は、ともすると軽量化詐欺のようにも思えるが、実は数年前からスピニングリールのスプール径の世界メーカー基準が変わっており、世界基準にABUも番手表記を合わせたからにすぎない。

すなわち現在は、旧2000番サイズのスプール径が各社2500番サイズ表記に変わっているということだ。

一応、沖縄の海でも「ゼノン2500」をPEラインでテスト。PEを扱う強度的には問題ナシ

小径化の影響は?

これには各社スピニングリールのライン撚れ、バックラッシュ防止機構が格段に進化した結果のスプール径の小径化だともいえる。

自分自身も「ゼノン」を最初に使った時にこのスプール径が最も気になった部分で、小径ゆえのライン撚れ(ヨレ)トラブルが多発するのではないかと思った。

「ゼノン」のスプール径は従来の同番機種に比べて一番手小さくなる。ラインのヨレが気になるところだが実際は?

ところがいざ使ってみると、「ゼノン2000番(直径42mm)」でフロロ3.5Lbを強引に使用してみても、長期においてライントラブルは「MGXtreme2000番(45mm)」に比べ、むしろ軽減されている印象を受けた。

フロロ3Lbであれば、テンションが張り気味なネコリグやダウンショットリグでは全然問題なく使えるレベルである。

「ゼノン2500番」においては、「旧MGXtrem2500番」とこれまた遜色はなく、こちらはラインスラックが多く出るミドスト、ホバストで4lbフロロで使っても、意外なほどライントラブルは少ない。

2500番は3.5Lbフロロでスラックの多く出るホバストで2日間連続で使ってもライントラブルは気にならなかった

これはラインローラーの性能向上はもとより、なによりABU独自のラインの過剰に膨らんだ放出を抑える独特のベール構造が「ゼノン」ではとても上手く機能しているように感じた。

スプール幅の小ささが逆にドバっと放出するトラブルを制御している気もする。

「MGXtreme」以来採用されている、ベール角度によるラインスラックコントロール機構。このベール角がラインのふくらみを押さえバックラッシュを効果的に防ぐ

そしてスプールが小さくなった恩恵として、チョークガイドまでの螺旋が小さくなり、従来よりも軽量のリグが気持ちよく飛ぶことがあげられる。

ダイナミックに肉抜きされたスプールと放出ラインの反響のためか、遠投が決まるとナゼか「アンタレス」のデジタル音のような、ハープ音のような、気持ちのよい「謎のアコースティックサウンド」が聴けることがある。

今江的にこの謎の音は好きである(笑)。

また、スプール小径化のおかげで、ミドストやホバスト時、ロッドのフロントフード部分を薄いグローブ装着で握りこんでも、中指の第2関節先端がベールに接触することもなく、ミドスト等のアクションリトリーブがやりやすくなった点も気に入っている。

旧2500番サイズでは回すたびに冬場のグローブを着けた右手指関節にベールが当たってリズムが乱れることが気になっていたが、これも「ゼノン」では解決している。

特に冬場はベールが指の関節先端に当たるととてもウザい。「ゼノン」はサミングしやすく、指もベールに当たらない

唯一、気になる点を、忖度ナシで挙げると…

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