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今江克隆のルアーニュースクラブR「2021年の新作ルアー!最注目スイムベイト・レイジースイマーを紹介」の巻 第1032回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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「レイジースイマー」が目指したのは…

古くは8年前、プロトタイプの「クルシアン(スイマー)」で、引退した馬淵(利治)プロが旧吉野川で決勝TOPウェイトを出したことで一気にデビューできるかと思われたスイムベイトだったが、その時に使っていた「クルシアン」は、まさにワンオフに近いプロトで、量産するには様々な難題があった。

下から「クルシアンスイマー最初期型」、その上が馬淵プロが旧吉野川戦で結果を出したプロトタイプ、その上がブーツテールをコンバートした「クルシアンスイマー」

最大の難関は大きなハドルテールを採用していたがゆえに、テールの重さで姿勢が頭上がりになり、同時にネイルシンカー等によるサスペンド調節とのバランス調整が至難で、かなり複雑なチューニングを施さなければ水平姿勢で安定したスイミングを得られなかったのだ。

同時にネックとなったのは「ハドルトラウト」に採用されているスイムベイト特有の、ブリードせず、耐久強度と柔軟性が抜群の塩ビ樹脂素材だ。

当時はJBの鉛規制に続き、エコ樹脂認定制度が急速に厳しくなった頃で、ダイオキシン等を含む塩ビ樹脂素材で作られた海外のスイムベイトのエコ認定取得は絶望的だった。

凄まじい威力を持つ「ハドルトラウト」が、日本のトーナメントで一切実績が無いのは、ひとえにJB/NBCトーナメントでは使えないがゆえである。だが、自分にとって「ハドルトラウト」のハドルテールはトーナメントにおいても、一般の釣りでも、どうしても必要なテールだった。

当時この難題をクリアするために、思い余ってアメリカのケン・ハドルストンにコンタクトし、その熱意が通じ日本国内だけでのハドルテールの使用許可を得るに至った。

ハドルテール(一般的にはリッジテールと呼ばれる)には国際特許も意匠も無いが、ハドルストンを高くリスペクトしていたがゆえ、海外とは言え黙って真似することはしたくなかったからだ。

そこからエコ樹脂化して生まれたワームが現在もロングセラーを続けるジャパンオリジナル「ハドルスイマー」である。

上から、試合で使い込んだ「ハドルトラウト6インチ」、それをリスペクトし生まれた「レイジースイマー6インチ」、そしてハドルトラウトのハドルテールをフィーチャーした「ハドルスイマー4.5インチ」

だが、それでもナゼ8年以上も「クルシアン」は完成しなかったのか、その本音を明かせば「クルシアン」では「ハドルトラウト」をまだ超えている部分が無いと思っていたからに他ならない。

中でも最もこだわっていたのが、当時でも日本では幻的存在だった「ハドルトラウト6インチ」のROF-0タイプ、フローティング仕様を超えることだった。

「超デッドスロー」無双であり、頭を一切動かさない「超ナチュラルな無防備水平姿勢」は、超えようとすればするほど「ハドルトラウト」に近づいていく現実を、開発の中で思い知らされることになる。

「ハドルトラウト」を超えたいという執念から、ブーツテールの「ギルロイドJr.」が誕生したのは「クルシアン」で苦しんだ副産物でもある。

3月のテストでは「クルシアンスイマー」で釣れていたが、まだ「ハドルトラウト6インチ」を越えたと思える能力はなかった…

「ハドルトラウト」越えに重要な2つのポイントとは?

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