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【ラグゼ・アベンジ】赤松拓磨が激タフため池を攻める

寄稿:赤松 拓磨
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夏のバス釣り特集2020

朝3時。目覚ましで起きると赤松は車を西へと走らせた。目的地は岡山のため池。

いよいよ夏本番、トップウォーターが大活躍する時期である。

アベンジプロップ80のバイトシーンを撮影するつもりであらかじめ予定していた取材である。だが、雨である。それもよりによって、直前に超がつくほどの大雨。

「トップ縛りとなると、かーなーり苦戦するでしょうね。というか、釣れないに違いない」

気が重い赤松。足取りまで重い。現場へ到着したのが5時。池は満水状態であった。

赤松 拓磨(Takuma Akamatsu) プロフィール

ラグゼ アベンジシリーズのルアーデザイナー。ホームエリアは兵庫県東播エリア。ため池の釣りが得意で、プラグの釣りを好む。好きなルアーはビッグベイト。年間ランカー捕獲数は10本以上で自己記録は60cm
アベンジプロップ80

キャスト時は閉じ、着水・泳ぎ出した瞬間から開く開閉式のウイングを持つプロッパー。ペラが水を噛む甘い音と、ボディの間に挟まれた2枚のワッシャーが出す金属音の複合サウンドでバスを誘う

全長 80mm
ウエイト 18g
フック フロント:トレブルRB M #3、リア:トレブルSP M #4

【アベンジプロップ80詳細ページは→コチラ

豪雨後の満水、トップの日ではない中で…

「満水というか、陸地にあったであろう草むらが水没していますから、貯水率100%を超えていますね。これ、水深が急に2mも3mも深くなっているんですよ、ほんの数日で」

ため池は田んぼに水を送る目的で作られている。田んぼに水が必要なのは4月、5月。

さまざまな場所を探すも、豪雨の影響でそのどれもが満水という状況

ため池の水もそれにあわせて吐き出される。減水すると池の魚たちの生息密度があがり、酸素濃度が下がる。そこへ梅雨の雨が降る。

「減水した池に降る雨は、恵みの雨。増水したインレットにはベイトも魚も集まるし、酸素も増え、活性が上がる。ただ、水が増えている最中はいいんですけど、満水までいくと水がなじむというか、落ち着くまで口を使いにくくなる」

通常なら恵みの雨後のインレットはパワーを持つ場所となるが…

まさに今回の取材はそんなタイミング。いっそ日にちをずらした方がいいのだろうが、そうそう都合よく出かけられるわけもないサラリーマンである。

「トップウォーターかぁ。出ないだろうなぁ」

梅雨明け後の釣りを梅雨の真っ最中に行う。これで簡単に結果が出るほど、バス釣りはそう甘くない。何せ、災害級の雨を降らせた豪雨である。

池の水は満水。水色は茶色。曇り時々雨。ぶっちゃけ、厳しい。だが、時折、ボイルがある。魚っけが全くないわけではない。

「いける………のか?」

ルアーはアベンジプロップ80。プロッパーと呼ばれる新しいジャンルのスウィッシャー。

沈黙。

沈黙、沈黙。

ひらすら沈黙。

ただ巻き、リッピング、デッドスローを試すもノーチェイス、ノーバイト。

「これは世界中の誰がやっても、今日、この池でトップで釣れる人はいないに違いありません。水面下2mにサスペンドしていて、バスが何をやっても上を向かない。全く動かない」

トップウォーター時々バイブレーション、一部、ビッグベイトを午前中、投げ倒した結論。今日はトップじゃない日。というか、プラグの日ではない。

「いや、水が少し澄み始めた午前の終わりに、水面にギルを発見したので、夕マヅメだったら出る、かもしれないですね」

夕マヅメまでの3時間。満水のため池を攻略する。

「まず、バスは浮いていないですね。そして、目線も上を向いていない。かといって下を向いてるわけでもない。正面を見ている。それでいて、巻き物を積極的に追うわけではない」

中層にサスペンドしているなら、まさにバイブレーションのシチュエーションのようだが、バスに動きがなく目の前を通さないとバイトがない。

実際、アベンジバイブ58にバイトはあった。3回。だが、バイトしても浅くフッキングに持ち込めなかった。

アベンジバイブ58

誰もが使いやすく、誰もが釣れるを目指し、赤松がアベンジルアーの第一弾として送り込んだバイブレーション

全長 58mm
ウエイト 14g
フック フロント:トレブルRB M #7、リア:#8

【アベンジバイブ58詳細ページは→コチラ

プラグの日ではない、ラバージグへ

「これはラバージグですね、ラバージグのフォール。キングコブラ(プロト)の3/8オンスでいってみましょうか。これをスローに落とすために、バルビューター(デプス)を組み合わせます」

ラバージグはブルーブラック、ワームは赤系。どちらもきつい濁りを意識した選択。岸際というかアシ際というか、減水していたときには陸地だったアシが水没した場所のアシ際にキングコブラを打ち込む。

「キタッ。着底と同時でした」

40㎝クラスの良型。ボトムを見ているバスなら着底後にボトムを小突いたり、止めたりするが、中層を眺めているバスだけに、ラバージグを発見して、チェイスして、着底の瞬間に食ってきた。

「食った食った、着底の前」

同じアシの島でもう1本を追加。

バスは完全に上も下も見ずに正面を見ている。その後、アシの中や奥に入れてみるものの反応はなかった。続いて垂直岩盤に伸びる木から反応があった。これもフォールから着底直後のバイト。

「30㎝ちょっとですね。なかなかサイズが伸びない。結局、コンディションが悪くエサを取る気も追う気もないバスに無理やり口を使わせている」

他の場所も攻めたものの、追加することはできなかった。

さまざまな場所をトップでも再度狙うも、この日はトップの日ではなかった

夕マヅメ。雨の影響は弱まり、水は少し濁りがとれた。もちろん、水位は変わらない。

出ない。

ロッドをアベンジ63MHからアベンジ70MHに持ち替え、ラインもナイロン16ポンドからフロロ14ポンドに。リッピングでジュボッという重低音のきいた短く強い音を水中深くまで響かせる。ポッパー的な誘いなら、あるいはリアクションで口を使う可能性がある。夕マヅメにかけた。

短い誘いで水中にダイブし、浮上を繰り返すアベンジプロップ80。だが、バスが水面を割ることはなかった。

では、いつなら釣れるのか?

「正直、災害レベルの大雨じゃなければここまで苦戦することはないですよ。数日後なら釣れたでしょうし。釣果が安定するという意味では、梅雨明けですね。虫が騒ぎ始めると途端にバスの目線が上を向きます」

アベンジプロップ80の使いどころ

春はエサが水中にいる。バスの目線は水平なりボトムを向いている。夏になるとトンボやセミ、バッタなどの昆虫が陸や空中から落ちてくる。バスがトンボを追いかけたり、セミが落水した瞬間に捕食される様を見たことがあるだろう。あるいは、ギルが水面にたむろする時期でもある。

「こうなるとトップウォーターの季節ですね。また、水温30度を超えるような酷暑でボーッとしているバスもトップなら口を使います」

虫パターンでアベンジプロップ80を使うならば、動かさない

虫パターンならジッと動かさない。止めて止めて待っているとジーっと見ていたバスがゆっくり近づいてきて、食う・食わないの判断を行う。

「まぁ、虫パターンはデカいバスも釣れますが、やせていることが多いですね」

こういった水面系のルアーが強い時期は9月後半まで続く。

「夜に冷え込むようになると1回目のターンオーバーが起きて、安定した水を求めてウィードの中に入り込みます。その時期はまだウィードがあるので巻き物で攻めにくくなる」

秋の冷え込みが厳しくなると、だんだん巻き物系にスイッチする。その時にはアベンジバイブ58の出番だ。

がまかつ(がまかつ)

1955年創業。大阪府大阪市に本社を置き、シンガポールに本店を置く。釣り竿、釣り針、ウェアなどをメインに製品を開発・製造・販売を行っており、ルアー部門では「ラグゼ シリーズ」が有名である。