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【礒野寛之のエリア開発通信 vol.10】関連プロト数200ヶ超えのシンキングプラグ「チクタクリッパー」その正体とは?

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皆さんこんにちは。礒野寛之です。

礒野 寛之(Hiroyuki Isono) プロフィール

スミスでトラウトタックルの製品開発に携わる。フィールドテスターから社員になったという経歴を持つ。エリアトーナメントでの上位入賞も数知れず。サンライン、オーナーばり、ストリームトレイル、リブレ、ZEQUE by ZEAL OPTICSのサポートを受ける。

少し前の記事でボトムのずる引き専用プラグ「おっきなズルビー」「ちっちゃなズルビー」についてご紹介しました(2025年秋発売予定)。

紹介記事はこちら

【礒野寛之のエリア開発通信 vol.7】バスボートのようにボトムを航走させる“ずる引き専用”プラグを開発中。その名は「ちっちゃなズルビー/おっきなズルビー」

今回はそれとはまた別の開発中プラグについて。

その名も…

チクタクリッパー

この開発中ルアーについて、簡単にご紹介します。

プロト100本ノック?開発大詰めのチクタクリッパー

元々″シンキングプラグ″ という括りの中で、鱒達が好きな要素を探し続けること約5年。探し続ける中でようやく見つけたチクタクリッパーですが、今の形に至るまでには紆余曲折がありました。

例えば、ボディ本体やリップ・ジョイント等によるアクションへの影響。ボディ内部のルームや肉厚の設計、ウエイト配置による浮力設定。シルエットやボリューム感。アクションピッチに水押し。ボディへのフック絡み回避に、魚の掛かりやすさ。飛距離、沈下速度、沈下姿勢等…

綺麗に泳ぐものはいくらでも作れるのですが、それらが少しでもズレると、期待していた反応や使い心地はどこへやら。

まるで″沼″にはまるかのような確認作業を繰り返していきます。

魚もアングラーも夢中になれる要素とはなにか。

必然的に試作数は増えていき、これまで作ってきた様々なタイプの試作品を合わせると、プロト数は200種類を超えていました。

上画像も下画像も、今の形にたどり着くまでに試したプロトの中のほんの一部です。

そして、いよいよ2つにまで候補が絞られました。

まず一つ目はこれ。

ミドストのように竿を動かして誘う事を前提とした個性的なもの。

→プロトタイプAと呼びます。

そして二つ目はこれ。

巻いた時の引き感と集魚力が想像以上に秀逸だったもの。

→プロトタイプBと呼びます。

ボツサンプルが生まれ変わった瞬間

今回、その持っている可能性の高さから「プロトタイプB」をベースに深掘りしていくことにしました。

これまで多くのプロトを作ってきたのですが、その合間で試しに改造してみたプロトでやたらと魚の反応が良いと感じたものが、「プロトタイプB」でした。

でも正直にいうと、見た目だけはなかなかに汚い(笑)。

というのも実は、今回のプロトタイプAとBはそれぞれ、ボトム用で作っていたジョイントルアー(ボツ)の改造品なんです。

2つあるジョイントのうち、前側だけ角度を調整して固定。そしてリップやウエイトを後付けで装着し直したものだったんです。

出張先での思い付きからの改造だったので、ネイルシンカー直付け(笑)。

見た目的な理由で、泳がす前の段階では全然前向きでは無かったんですが…。

しかし、泳がせてみた瞬間、「これは釣れる」と確信に変わりました。

実際のところ色々なプロトと投げ比べても、魚の反応も引き感も良い。

それならばと、このアタリ個体のポテンシャルが活きるように、開発精度を高めていきました。

ジョイントボディを採用したワケ

狙った泳ぎの質へと持っていくために、ジョイント周りの形状やクリアランス等、細かく調整を繰り返してテストをしていきました。

ジョイントを選んだ理由は「アクションピッチを上げて軽快にボディを動かす」ため。

また、アクションの支点を変えることで、テールフックの暴れを最小限に抑えたかったから。

ジョイントの可動域とピンで繋いでいる箇所のクリアランスも、ルアーの回転運動とフッキングに大きく影響するため、細かな調整を繰り返していきます。

プラグらしさを持ちつつ、スプーン感覚でスイッチを入れる

つい先ほど、ルアーの″回転運動″とお伝えしました。

このチクタクリッパーは、放流直後のスプーニングでのスピナー効果のように、時折加速させたりティップアクションを加えたりと「変化」を与え、スイッチを入れていく事も強く意識しています。

そしてスピナーアクションを与えた後も、元の姿勢へサッと瞬時に戻ってくれる。リップやボディにしっかり水を当てつつも、それらを掻き分けるように逃していく。

そんなアクションバランスは「はやさ」の中で楽しめる要素をギュッと詰め込んだつもりです。

チクタクリッパ―のアクション動画はこちら

プロト段階では4gオーバーとずっしり仕様

必要な要素を詰め込んでいったら、気付けば4gをゆうに超えていました。

泳ぎを優先させたボディなので、正直飛びやすいボディ形状やウエイト配置とは言えません。それでも、4gオーバーというずっしり仕様なため、なかなかの飛距離がでるようになっています。

発売目標は2026年1月頃

そんな「チクタクリッパー」。発売は今のところ2026年1月を目指して量産準備を進めています。

細部にまでこだわりを詰め込んでいますので、ぜひ楽しみにお待ちくださいね!

そして、チクタクリッパーの名を奪われてしまった″もう一つのプロトタイプA(ミドスト用)″も変貌を遂げ製品化に繋がることはあるのか…?

それも含めて今後の動向を楽しみにしていてくださいね。

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