今江克隆のルアーニュースクラブR「スゲーッ!安藤リグを公開」 第1240回
自宅軟禁状態だったゴールデンウィークも明け、また3日に1回のペースで青野ダム(兵庫県)でのライブ(サイト)特訓に勤しんでいる。
ゴールデンウィークが過ぎた平日でも相変わらず湖上も陸も大人気の青野ダムだが、水温は19度に達しようというのに、いまだ本格的なスポーンの気配がない。
シャローでサイトをしていないというのもあるが、釣れるバスは普通のコンディションか、もしかしてとっくに1回終えてすでに回復?って謎魚体のバスがほとんどだ。
日に日に減っていく急減水がスポーニングに悪影響を与えているようだが、下手するとスポーニングは増水に転じたタイミングで一気に差してくるのかもしれない。
連日通っていると、必ずしも温暖化でスポーンが年々早くなるわけではなく、バスは環境危機を感じると春でもスポーン停滞はあるという事実がよく分かる青野ダム特訓である。
通称「安藤リグ」とは?
さて、今週で青野ダム特訓は一旦終了だが、そんな連日のライブ特訓で最近、今江的に大ブームになっている釣り方がある。
それが通称「安藤リグ」と呼んでいる「『ハドルギル3.9&5インチ』のド中層ホバスト」である。
先日はライブサイトでその釣り方がハマり、まさかの青野産ロクマル越え(メジャー持ってなかったので目測だけどほぼ確実)を筆頭に、新しい世界観が開けた手ごたえを得ることができた。

ライブ特訓が青野ムダにならなかった?「ハドルギル5インチ」での青野産ロクマル。都心から最も近い青野ダムでこのクラスが釣れるということは、その釣り方が限りなく正解に近いということでもある
実はこの日はもう一本、さらにデカい推定ロクマル越えに8lbフロロを船べり突っ込みで切られるという大失態でバラしており、この釣り方のポテンシャルの凄さに驚いている。
この「安藤リグ」と呼んでいる「ハドルギル」のホバストは、七色ダム、池原ダムの釣りウマロコの間でもサイトをさせたらNo.1の呼び声高い若手・安藤匠真プロが最近確立したサイトフィッシング用のリグで、見た目は「ハドルギル」のネコリグである。

七色トーナメントロコも一目置くサイトの達人・安藤匠真プロ。職人系プロだけに考案した玄人ならではの釣技は流石の一言だ
なんだそれだけ?と思うかもしれないが、実はこのリグにイマカツ・スタッフの間でも、以前からかなり深い試行錯誤の歴史があるのだ。
もともとこのリグは、クリアレイクで目にするギルやヘラ鮒(ブナ)は、基本的にボトムに張り付くことは稀で、中層に群れでフワフワ浮いていることがほとんどであり、その群れからはぐれた個体をデカバスが好んで襲うことに着目した「中層でのフワフワした釣り方」である。
かつて自分も「ハドルギル」のエラストマー仕様を試作しチャレンジしていたことはここでも何度か記事にしている。
だが、反応は良いのだが浮力が余りにも強すぎて、3g程度のデカいネイルシンカーを入れないとデッドスローシンキングにならず、そのために泳ぎに不自然さが出てイマイチ乗れずに半ば諦めていた。

24年春にはすでにエラストマー製の「ハドルギル」で縦型ホバストをテストしていたが、エラストマーではあまりに浮力が高すぎ沈ませるのに一苦労だった
同様に生野銀山湖オタクのテラコバサーも、以前から「ハドルギル」の中層釣りを突き詰めておりインライン式縦ギルリグで幾度もデカバスを仕留めていた。
こちらはノーマルの「ハドルギル」に「トレブリングスルーパイプ」を使ってトリプルフックを装着する方式だが、ノーシンカーでも沈みスピードが早すぎて浮遊感が出せず、どうしてもハードボトム付近での使用に限定される悩みがあった。

テラコバサーは以前から「トレブリングスルーパイプ」を使った縦泳ぎの「ハドルギル」のスイムベイト使用でデカバスを量産していたが、中層ホバスト攻めには少し無理があった
それが今年になってイマカツが本格採用を進めている通称「水比重」こと、透明の準フローティング素材Specific Gravity-1素材をルアーニュースで発表した後、いの一番に安藤プロがこの素材で「ハドルギル5インチ SG-1」を試作してほしいとのリクエストがすぐにあったのだ。

浮きすぎず沈みすぎず、透明素材なのに準フローティングを実現しているSG-1素材。使用感は全く普通のワームと変わらないが、クリアかつ高浮力。ノーシンカーでは完全に浮いている
正直、自分的には「ジャバロン」や「ステルススイマー」、「MJシャッドテール」をターゲットにしており、「ハドルギル」はこの時点では考えていなかった。
だが安藤プロのリクエストに対する答えはすぐに七色産ロクマルと共に帰ってきた。

わざわざご指名で「SG-1」の「ハドルギル」の試作を願い出てきた安藤プロ。このロクマルで「ハドルギル」のリアルサイトホバストが完成に近づいたと話す。ただ、ロクマル4本喰わせて取れたのは1本。打率を上げることが今後の課題だ
水比重、すなわち準フローティングとも言えるこの素材は、「ハドルギル」の気泡をはらむ特性と相まって、0.4~0.6gのマス針ネコセッティングでデッドスローシンキングとなり、浮きすぎず沈みすぎない沈み方が実にナチュラルで「ちょうどよい感じ」になったと報告があった。

安藤プロのご指名カラーは見やすくて水に馴染むヒウオカラーの「ハドルギル5インチ」。ネコストッパーに「タリズマンブルータル」#4/0を使用していた
そこで今江的にもかなり気になり、青野ダム特訓でどんな感じなのか少しテストしてみようと思ったのが、今回の想像をはるかに超えた結果に繋がった。
最も気に入ったのは
ボートを出してすぐにスロープ横の岩盤バンクに手持ちで最も見やすそうなハッカカラーを投げてみたのだが、着水後はほぼ水面に表面張力で浮いた感じで、その後ジワジワゆっくり沈んでいく。
が、ラインを軽く張るとフラット面のリブが水を強力に掴むため、移動最小限で同じレンジに留まる感じで、頭下がり45度姿勢でサスペンドしたような状態を作れる。
まさに「ホバスト」状態をかなりの滞空時間でキープできるのだ。
そこで軽くティップを動かしヘコヘコしさせると、ワームとは思えないずっしり手ごたえ感があり、並ではないほど強力に水を掴んで押している感じを受ける。
今の青野ダムはかなり濁っているが、ハッカカラーだと水深1mくらいまでは視認でき、そのレンジまでで移動最小限でかなり粘れるのが非常に気に入ってしまった。
そして次第に見えないレンジに沈んでいくのだが、そこからはライブサイトで驚くほど簡単に、鮮明にルアーが捉えられる。
「ハドルギル」の幅広く硬い頭部と気泡の付いたリブが正面方向(アングラー方向)を向いたネコリグ姿勢は、ライブスコープの狭い照射超音波でも強く反射するため、本当に明確にモニターに映る。
今江的には、この部分が最も気に入った点だった。
ボートを出して数投目に…
そして、そんなライブの映像をこりゃ見やすいな~と喜んで見ていると、後方から2つの白く大きな球体がいきなり浮いてきて映像の「ハドルギル」の映像と交わった。
次の瞬間無意識にアワせていたが、ボートを出して数投目でいきなり40cmUPが釣れたことで、この「『ハドルギルSG-1』安藤リグ」への信頼度が一気に確信へと変わった。

スロープから出てアクションチェックのつもりで投げた「ハドルギル3.9インチ」の安藤リグにいきなり40cmUP。そしてその後、ボウズ当たり前の現在の青野ダムでは異例の展開となった
その後、余裕の10数バイトを捉えることができ、打率は3割強ながらボウズ当たり前の青野ダムライブ特訓でまさかのロクマルを筆頭にグッドサイズバスを次々と仕留めることができた。

「ネコハック」に「タリズマンブルータル(マス針)」の#3/0~#4/0。ネイルシンカーは0.4g~0.6gを頭刺し。これが現時点でもっともフッキングがよいと思うが、さらにいろいろアップデートしたいところ

今江的お気に入りは「ネコハック」のL。一点支持でボディからフックを浮かせて掛けられるのでフッキングが良い。ただ、デカいバスに水面で激しく首を振られるとロックが切れてワームが飛んでいくので要注意。LLが欲しいです
まだ初トライだけにバイト数に対して打率が3割強というのが課題だが、少なくとも今回は明らかに「『ハドルギルSG-1』安藤リグ」への反応が、他のいかなるルアーよりも劇的すぎて驚きを隠せなかった。
一方で一緒にライブ特訓に出ていた河野正彦プロは、同じリグで10バイト以上をライブサイトで獲りながら、自分の目の前でもデカいのをジャンプでバラしたりで、結果1本も手にできず、写真撮影担当になってかなり凹んでいた。

口の中に「ハドルギル」がフックと同じ側に折りたたまれて吸い込まれた時がフッキングミスになる。理想はワームがぶっ飛んでも(浮いてるけど)、直刺しのほうがフック単独になってフッキングがよいかもしれない

減水で浅くなった上流部でもホバストさせていると何度もバスが出てきてバイトしてきた。微妙なセッティングの違いなのか、河野プロはスッポヌケまくっていた
フックのベストセッティングとタックルセッティングにいろいろとキモがあるようで、安藤プロもまだスッポ抜け対策には苦慮しており、打率を5割に持って行ければ強力な武器になると思えた青野ライブ特訓だった。

打率はまだ3割強だが、デカいバスが選んで釣れるパワーはスイムベイトに匹敵する。まさにパワーホバストだ