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【レオン北米釣り紀行/1996年〜1999年カリフォルニア】Vol5:レイクキャステイクの「怪」完結編「アッパーレイクとコヨーテとリザード」

連載:加来 匠レオン「ライトゲームマニア」
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全五回の予定でお届けしております「レオン北米釣り紀行」。

5本目となる本記事でいよいよ完結編。お付き合いいただきありがとうございました。今回もまた読み物として、お時間のある時にごゆるりとお楽しみくださいませ。

レオン 加来 匠(Kaku Takumi) プロフィール

加来匠(かく たくみ) 中国&四国エリアをホームグラウンドとし、メバルやアジ、根魚全般の釣りを得意とする生粋のソルトライトリガー。レオンというのはネットでのハンドルネームとして使い始めたが、いつの間にか、ニックネームとして定着。ワインドダートやSWベイトフィネスなどを世に広めた張本人、新たなスタイルを常に模索中! 「大人の遊びを追求するフィッシングギアを提供する」ことを目的としたプライベートプロダクション「インクスレーベル」代表もつとめる。

【レオン北米釣り紀行】1996年〜1999年カリフォルニア

第一話:そして旅人はサンディエゴで逮捕された

第二話:パシフィックベイビーと黒人ギャングと

第三話:レイクキャステイク前編 ボブ・クルピとクローダッドと

第四話:レイクキャステイク後編 Lower巨魁の揺らめき

第五話:レイクキャステイク結末編 Upperリザードとバスとコヨーテと

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いざ、アッパーレイクへ

レイクキャステイク

ランチを早々に済ませた俺とボブは再びシボレータホに乗り込む。ボブの運転は朝と違ってとても鷹揚でゆったりしている。タホの低回転ながらも腹に響く重低音サウンドが実に心地良い。

10分ほどなだらかな勾配を上っていくと割合複雑な稜線が絡み合った、なんとか「山間部」と呼べるような景色に変わって来た。しかしココもカリフォルニアの特徴的な風景で、まともな「木」がない。潅木程度の背の低い薄茶色の植物が点々と生えているだけの実に殺風景な山々だ。だが、大きなアールのカーブを曲がった直後、目の前に素晴らしい景観が広がった。いきなり「レイクキャステイク」の異様が目の前に現れたのだ。出た場所が湖よりかなり高い場所だったので湖のほぼ半分ほどが見渡せる。地図では分かりにくいが、日本のリザーバーと違い、トルクが太いという表現がピッタリのドキドキせざるを得ない風景に胴震いさせられてしまった。

「コレコレ!これだろヤッパリ!」

「これだよ、キャステイク!」

「実に良いね~どうも♪」

「…トム、いったい何をぶつぶつ言ってるんだ?」

と、ボブが聞いてきた。イヤ、悪い悪い、感動のあまり日本語でしゃべってたわ俺!(笑) 苦笑しながらボブは今朝と同じようにパスを提示してボートランチランプのゲートを通過した。

ランチランプ

スロープ

アッパーレイクのランチングスロープは凄まじかった。周りの景色も見通しが良く、だだっ広いので大きさの見当が付きにくいのだが、結構な急角度なのも手伝ってまるで巨大ダムの斜面を上から見下ろしているような錯覚を覚えるほどだ。このキャステイクよりはるかに広い面積の琵琶湖などのソレを思い返すと、寂しい気分になるほどの巨大なランチングスペースが、ここがアメリカである事を物語っていた。

まず楽しむべきはキャステイクナンバーワンガイドの本格装備レンジャーボートでのドライビングだ。ウキウキしながら支度を済ませ、美しくドレスアップされたボートに乗り込む。100メートルほど沖合いにいくつもブイが並んで湾のようにスロープや桟橋エリアを囲んでいる。このエリアは「港内徐行」と言う事になっているようだ。この辺のルール、レギュレーションは実に徹底していて、皆整然とソレを守っている。日本の漁港でもある程度常識的に徐行はするが、ココのはホンモノの徐行だ。日本人の俺には多少イラ付くほどのアイドリング回転だけで100メートルほどのエリアを通過して外へ出た。

ボブは良く心得ていた。ニヤッと笑って「サア行くぞ!」と言い、スロットルレバーをグッと押しはじめた。200馬力が唸りを上げる。船首が跳ね上がり前が見えない。船尾には猛烈な渦巻きと飛沫が跳ね上がり、まるで尻から沈んでしまいそうな錯覚を覚えるほどだった。

ボートはじきにプレーンし始め、水平に戻った。ボブはさらにスロットルを開ける。水上では始めて経験するスピードだ。最大で40ノットしか出ない俺のボートとはまるで別物だ。バイク乗りだった時代の感覚で言うと高速道路で150キロ近く出しているときとほぼ同じ感触だったが、実速度は時速100キロくらいだろうか…。試しにカウルの上に顔を出してみると一瞬にして顔の形が変わってしまった。爽快だ。コレがバスボートのドライビングだ。これだけでも来た甲斐があるってモンだ。

後を見ると盛大な水柱が上がっている。高さ5メートルほどの龍の尾がはためいている様だった。

「チューンドか?これ」と怒鳴って聞くと、「おお!スプラッシュを上げてナンボよ!」とボブは豪快に笑った。

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