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今江克隆のルアーニュースクラブR「ロッドのもう1つの心臓!『グリップ』の最新事情」の巻 第1173回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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技徳グリップ

その中で青木哲氏が開発に携わった「FBCS(フラットバックキャスティングシート)」のボディは、現在、最も常識的に普及しているガラス繊維強化ナイロン(PA)製グリップをではなく、カーボン強化樹脂と超剛性カーボンパイプの組み合わせを採用、ガラス繊維強化ナイロンをはるかに凌ぐ超軽量(13サイズならECS標準グリップの30%近い軽量化)、硬度剛性、それにともなう高感度化なグリップとなっている。

「技徳FBCS」の最も特徴となるフラットバック。特にスリーフィンガーで握る時に凸凹感がほぼなく、しっかりと握りこめる

リールをセットした状態では、サイドの隆起部分は指を強制的にフィットさせることはなく、フラット面だけをしっかり握り込めるようになっている

さらに金属パーツは、オリジナルのステンレス製からチタン製に変更し、さらなる軽量化と格段の強度アップを実現させたものだ。

このウンチクだけでも従来のモノとは機能性もレベルが違うグリップだと分かるが、カーボングリップだけにその価格は3倍高の「T1100G」も真っ青になるほどレベチだ。

カーボン素材、チタンフード採用で劇的に軽量化されているが剛性感度はナイロン樹脂以上。サイドの隆起が指を強制しそうに見えるが、このサイド隆起部分は指に当たることはないのがミソ

だが、自分が注目したのは青木氏が特に開発過程で私の意見を重視し、こだわった「他」の部分だった。

価格的に破格のコストアップとなるのだが、昨年のTOP50桧原湖戦、遠賀川戦、バサーオールスター戦をメインロッドとして使い込むことで、実感できたことがある。

桧原湖戦、遠賀川戦、オールスター戦でメインに使った「技徳」グリップ。2ヶ月間握りっぱなしで使い込むことで、採用すべき適正がハッキリと分かった

どのような握り方にしろ、竿を持つ右手中指の指先には強力な負荷が掛かり続ける。2ヶ月にわたる連続釣行で中指の爪が波板状に変形した。医者曰く、爪の側部に強い圧力が掛かり続けることで起こる現象とのこと

それは、私の希望でワンフィンガーでの使い心地をダイワのアレにかなり寄せてきた部分もあるが、それ以上により現代の実戦的経験から「ツーフィンガー」での使い心地、機能性をMAXに持ってきたことである。

左から「技徳」、「スティーズ」、「ECS」。ワンフィンガーで持つ時、「スティーズ」のオフセットグリップは、クラッチを切った状態で親指の腹でグリップをホールドできる

フラットバックの部分もさることながら、ツーフィンガーでの手首のスナップの使いやすさ、リール丸ごとガッツリ握りこめるフッキング時の安定感、双方向のバランスが際立っていたことだ。

とがりの緩やかなショートトリガーは、トリガーごと握りこむことも可能。ツーフィンガー、スリーフィンガーでトリガーの高さは、しばしば重要なポイントになる

さすがに青木がこだわって、自らの手で削りだした形状だけはあると唸らされる出来だった。

「技徳グリップ」のグリップ形状。センターオフセットではないが、ツーフィンガーでは極めて投打にバランスよいグリッピングが可能な形状になっている。特に13サイズは、その機能が顕著にでる

さらにオールスター戦で複数本使っていた「技徳」モデルの「スーパーレイブン610MHX-TG40」は、6フィート10インチの長さで、ブラックレイブンを上回るパワーを持ちながら、さらに6フィート6インチの「ブラックレイブン」を11gも軽量化で上回る結果になった。

現在、公に語れるのはここまでだが、「カレイド」の軽~中量級撃ちモノロッドのアップデートをここまで長年ガマンして待った甲斐があったと思う。

詳細は後日、2024フィッシングショー直前にでも、ココで解説したいと思います。

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