今江克隆のルアーニュースクラブR「一端に触れた!? ライブスコープ釣法の核心〜TOP50第4戦桧原湖レポート〜」の巻 第1162回
あらゆる意味で2023シーズンの分水嶺となるTOP50第四戦が閉幕した。
AOY争奪戦、残留圏への生き残り、そしてシーズンファイナルへのモチベーション、自分にとってもあらゆる意味で悩める第四戦桧原湖(福島県)だった。
長年優勝から遠ざかった現在、最高齢優勝記録更新への挑戦と、JBトップカテゴリー最多勝を伸ばすために、今季は初戦から後ろを顧みない試合展開を自らに強いていた。
だが、それは結果的に過去最悪ともいえる第二戦、第三戦と二戦連続ほぼ最下位を記録、三戦終了時ですでに30位圏内残留すら不可能に思える過去最低年間順位となって表れていた。
唯一の永久シード権を所持するがゆえにできる優勝のみを狙う無謀な戦略は、結局は落ちる怖さを感じないがゆえの「勝ち筋のないただの自己満足、自己肯定」に過ぎないことを痛切に感じていた。
ゆえに、この第四戦桧原湖を自分にとってどう位置付けるかは、極めて難しい選択になった。
2つの選択肢
今の桧原湖で勝つため、もしくはそれに準ずる結果を残すには二通りの選択肢がある。
一つはもはやTOP50選手であれば誰もが上位入賞の絶対条件と明白に分かるのが「ライブスコープ合戦」に勝利することだ。
桧原湖のスモールマウス(バス)は、間違いなく日本最高レベルのライブスコープ戦略最強レイクだ。
そしてもう一つの方法は、シャローにいる極めて「数少ない大型の1,500g前後のラージマウス(バス)を複数匹仕留めること」だ。
だが、スモールマウスが大型化している桧原湖では、5尾3kgを2日間釣ってきてなお、予選通過ギリギリ、大型ラージマウス一匹の価値は、他4匹のスモールマウスを平均レベル以上で揃えて初めて活きるボーナスであり、もし平均サイズのスモールが揃えられなければ折角のビッグラージを無駄にし予選落ちとなる可能性の方が高い。
皮肉なことに、ライブスコープの超人が跋扈(ばっこ)する今のTOP50では、ラージの一発狙いは上位ベースウエイト3,500g以上を速攻で揃えられて初めて活かせる最上級ライブスコーパーにのみ許されるボーナス戦略なのだ。
公式練習
今回の自分の公式練習5日間は、初日朝、一投目からディープで試し投げした「ベビキラ ウエイク」のアラバマリグで800g弱があっさり釣れるも、その直後、エンジンのアクチュエーター故障でレンジャーが使用不能に…。
急遽、ガーミン&GPS装備ナシの30馬力艇を借りての練習となり、パーツ待ちの2日間はシャローの練習しかできない事態となった。
結果的にこの強制シャローの2日間で分かったことは、シャローに狙える1,500g前後の大型ラージはかなり目視できたが、毎日1尾を3日間仕留められる可能性は奇跡に近く、同時に例年以上の高水温から600g以上のスモールを3本以上並行してシャローで揃えることは、自分にはほぼ無理と感じた。
もし大型ラージを仕留め損ねればその時点で予選通過は極めて厳しくなり、自分の今シーズンは事実上消化試合となる。
正直なところ、公式練習前までは優勝のみを狙うシャロー一本勝負の爆死覚悟の展開を今試合も貫く覚悟でいた。
だが、逆に2日間、強制的にシャローのみしか真剣にチェックできなくなったことで、シャロー勝負が自分にはまた「勝ち筋のないただの自己満足」になることが明白になった。
ライブスコープ(LS)合戦で勝利するために
結果、残された選択肢は、ライブスコープ合戦に勝利できるか…だった。
今年、小野湖戦で青木唯プロの異次元のライブスコープ(LS)テクニックを目の当たりにし、それ以降、自分なりに地道にLS練習を積んでは来たものの、LSが最強に普及した桧原湖で自分の練習の成果が出せるのか、正直自信はなかった。
だが、勝ち筋のないシャローに逃げるのではなく、時代の最強パターンが明白である以上、好き嫌いに関わらず、それに挑戦し、克服しなければ自分に未来がないことも分かっていた。
覚悟を決めて挑戦するなら、今しかない。
残された3日間の公式練習をひたすら一人で集中し、LSの練習に費やすことにした。
そして練習最終日、予想外のルアーが未来の扉を開く鍵になった。
予選初日
第四戦桧原湖、予選初日。
フライトは22番。
桧原湖北部、馬の首のシャローに未練はあったが、迷わず桧原湖南部のメジャーフラット8mに入る。
雄子沢フラットは、サイズは小さいが数を釣りやすいことで知られるメジャー場だ。
朝イチから入るのは過去初めてだったが、それには理由があった。
まずは小さくても確実に釣って、まずライブスコープ合戦を平常心でできることを重視したからだ。
雄子沢フラットはちょっとした船団になり、予想通り若手プロ達はLS戦略で次々とロッドを曲げる。
このプレッシャーが正直一番キツかったが、幸いなことに1尾目からラッキーにも650gを「フィッシュフライ」で釣ることができた。
この1尾で落ち着いたことで、初日は一番得意の「フィッシュフライ」の「フカセキャロ」でLS軍団と互角に渡り合い、9時半に約3,500gでリミットメイク。
この初日に互角に釣り渡れたこと、いや、むしろやや釣り勝てていたことが大きな自信になった。
だが、昼前から欲が出て、台風余波で爆風のシャロー勝負に出てしまい3時間強をムダに費やしたが、何とか「ダイレクトショット10g」を使用した「ダッドフラットカット」のフリーリグで一本入れ替えて3,690gまでジャンプアップ。
予選初日8位となったが、結果的にひたすら南エリアのフラットで粘っていた若手選手2人に僅差で抜かれる結果となった。
LSディープとシャローラージのボーナス二股狙いは、結果として中途半端に終わった。
予選2日目、そして決勝へ!