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今江克隆のルアーニュースクラブR「大注目!超高性能ベイトリール『グラビアスAURORA』の3モデルを徹底解説」の巻 第1137回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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フルチューン限定仕様ベイトリール「グラビアスAURORA(オーロラ)/KTF」が、マーケットデビューして約2カ月、お待たせしていた「グランビアス」のバーサタイルチューンモデル「グラビアスAURORA/MC SQUARED」が、3月頭にはマーケットデビューすることが決まった。

今回は、そこそこまとまった数量が全国展開で発売されるようで、入手もしやすくなるようなので、是非、一度製品に触れてみてほしいと思います。

3月1週目には店頭に並ぶグラビアス両軸シャフト式専用中溝スプール搭載の「グラビアスAURORA/MC SQUARED」(「BlackMaxネオジム」換装はオプション)

「グラビアスAURORA」3機種の違いは?

ということで今週は、それぞれに違った個性を持つ「グラビアス」のベイトリール3機種、「AURORA/KTF Finesse」、「AURORA/KTF Neo」、そして今回新たに発売される「AURORA/MC squared」について、それぞれの違いと使い分け方、さらなるオプションチューニングを詳しく解説しよう。

「グラビアスAURORA/KTF Finesse」の特徴

まずは、すでに発売になっている「グラビアスAURORA/KTF Finesse」の特徴は、3~10gの軽量ルアーを扱う時にこそ、その真価を発揮する、圧倒的な「KAHENブレーキ」性能と「IXAダブルボールベアリング」による最高レベルのストレスフリーなキャスタビリティを体感できるリアルトーナメント仕様だ。

超軽量ワームジグのベイトフィネス専用機種ともいえるが、今江的には「ワスプ55」、「カットファスト」や「ジレンマ」等の通常スピニングタックルで投げるシャッドを、逆風フルキャストで全くストレスなく投げられる性能は、いかなるベイトリールと比較しても最高無双レベルに達していると思う。

自分が現時点で究極のベアリングと思っている「KTF/IXAセラミックダブルボールベアリング」。M.B.Sシステムのフレームカバー部分を2重ベアリング化することで、抜群の耐久、耐負荷剛性と究極の立ち上がりの鋭さを実現している

「KTF/IXAダブルボールベアリング」の発想の原点となった2013年発表の「IXAマイクロベアリングシステム(M.B.S)」。慣性モーメントを極限まで抑える極小セラベアを分厚いフレームでカバーすることで剛性を保持させている

ベイトフィネスでは、軽いロッドの振り上げでの立ち上がりの軽快感はまさに驚異的で、わずか6gの超軽量浅溝シャフトレス「KAHENスプール」と「IXAダブルベアリング」の相乗効果で、マグネットブレーキとは思えない地をはうような低弾道ピッチングを堪能できる仕様になっている。

特にスキッピングには、無類の強さをみせる仕様だ。

ただバックラッシュが驚異的に少ない「グラビアスAURORA/KTF Finesse」では、今江的には優しく優雅でていねいな沢村プロ的キャストスタイルではなく、敢えてメカニカルカタカタの弱め、ブレーキかなり強めの鋭い振り抜きで少々カバーに当たってもなお、奥の奥まで押し込むパワーピッチスタイルを多用している。

シャッドを投げる時も同様で、ほぼノーサミングで問題はないほどだ。

さらに究極仕様にするなら……

価格が68,000円ということもあって基本的には何もチューンする必要はないが、超強力「BlackMax」ネオジムに換装することで、ダイヤル6~8でよいトコロをだせる標準仕様に対し、なんとダイヤル1~8まで絶妙微妙に広範囲で自分好みの調整が可能になる。

「BlackMax」ネオジムに換装された「グラビアスAURORA/KTF Finesse」は、ABUのフルチューン「LX992RS/REVIVE」にも勝るとも劣らない高性能になる。

今江的には「グラビアスAURORA」の究極仕様ともいえる「グラビアスAURORA/KTF Finesse」の「BlackMaxネオジム」換装仕様。ブレーキメモリが2から実戦登用できる究極の広範囲セーフティブレーキ性能を実現している

しいて弱点をあげるなら、ラインキャパが8lb55m、13lb45m程度のため、「IxIシャッド」や「スピンチャター」のフルキャスト、ギリギリで「モグチャ3/8oz」や「ジンクスミニ3/8oz」が使えるキャパだ。

ただ、試合本番ではその不要な力のいらない圧倒的なキャスタビリティの素晴らしさから、自分は「グラビアスAURORA/KTF Finesse」をこれら巻きモノでも、あえて使用している。

「グラビアスAURORA/KTF Neo」の特徴

「グラビアスAURORA」シリーズの中でも、最もバーサタイルトーナメント機種といえるのが「グラビアスAURORA/KTF・NEO」。ベイトフィネスからビッグベイトまで「KTF/KAHEN」&「IXAダブルボールベアリング」の性能を誰もが楽しめる機種だ

次に「グラビアスAURORA/KTF Neo」は、「グラビアスKTF/KAHENスプール+IXAダブルボールベアリング」初体験者には、ある意味「グラビアスAURORA/KTF Finesse」より馴染みやすく、汎用性も高いのでオススメだ。

その理由は、ラインキャパが8lbベイトフィネス(約70m)、13~16lb(約65m)クラスの巻きモノともに高いレベルで共用できること、巻いたラインの重さから「グラビアスAURORA/KTF Finesse」ほどの立ち上がりの鋭さがないため、一般的なアングラーにはコチラの方が、特にピッチングにおいて初めは使いやすいと感じる可能性が高いから。

プロアングラーは、シンカーウェイト(ネイルやジグヘッド)でいえば1.3g~2.3g以下の、より軽いモノを使おうとする傾向が強いが、一般的ベイトフィネスでは、シンカーウェイト3.5g~5gクラスを使うことが圧倒的に多い。

この程度の重さになるとネコリグでの総重量なら7~8gになるため、「グラビアスAURORA/KTF Finesse」では立ち上がりが速すぎて、逆に「手前落ち」が多発することがある。

ゆえに「グラビアスAURORA/KTF Neo」を選ぶ場合は、シンカーウェイトで2~3.5g以上のベイトフィネス、通常サイズの3/8ozチャター系、スピナーベイトから、「アベンタ(クローラー)RS」、「ギルロイドjr.」、「アンドロイド」等まで幅広く使いたい場合に最適である。

自分は「レイジーハード」も「グラビアスAURORA/KTF Neo」で使ってしまっているので、スプール強度的には18lbフロロでも十分に適応範囲である。

「グラビアスAURORA/MC Squared」の特徴

最後に3月1週目にリリースが確定している「グラビアスAURORA/MC Squared」の特徴を解説しよう。

まず「AURORA/KTF」仕様と異なる点は、「シャフト式スプール採用」、「MC SQUAREDセラミックベアリング採用」、「専用ミドルディープスプール装備」、そして「ギア比1:8と1:7設定」の4点だ。

「グラビアスAURORA/MC Squared」にデフォルト装備されている「MCセラミックボールベアリング」。ベイトリール専用設計されたベアリングだけに、クオリティの高さは抜群だ

シャフト式スプールを採用した理由は明確で、より巻きモノや撃ちモノでもガッチリとした安心感を醸しだす「両軸受け」らしい剛性感を優先した機種である。

以前も解説したが、シャフトレススプールの軽快性、俊敏性、アンチバックラッシュ性に対し、シャフト式は、剛性面、巻きフィーリング、遠投時の慣性モーメントによる飛距離増といったメリットがある。

ゆえに14g以上の巻きモノ&撃ちモノにはシャフトレスより圧倒的にメリットが多い。

もとより14g以上のルアーを投げる場合、バックラッシュリスクは軽量ルアーより明確に低くなるわけで、優先ポイントが違ってくるからだ。

「グラビアスAURORA/MC Squared」は、いわゆる浅溝でもなく深溝でもない、でも同じ中溝のNEOより深い「中溝」を採用しているのが特徴で、10g~200gのルアーに適応する14lb(約75~80m)、20lb(約65m)のラインキャパに設定されている。

ギア比を1:8だけでなく、1:7もラインナップしたのは、ディープクランクやビッグベイト系など抵抗のある大型ルアーの速巻き感は1:7が気持ちよいことも多く、今江的にギア比を2種類に設定した。

オススメのチューニング法

こうして解説すると「AURORA/MC」は、中型~大型ルアーの巻きモノ&撃ちモノ専用かのように思うかもしれないが、実はこの「AURORA/MC」は、ある面では「AURORA/KTF」よりユーザーが自分好みにチューンナップできるマージンを多くとったモデルともいえる。

もちろんノーマルのままで十分な機能を発揮してくれるが、この「グラビアスAURORA/MC Squared」は、この機種のみで高度なベイトフィネスも、超遠投も、ハードなジャイアントベイトも使いたい!という方に適した機種でもある。

まずシャフト式スプールを高度なベイトフィネスに適応させるには、グラビアスの標準モデルの「シャロースプール(別売6,000円)」を換装する。

「グラビアスAURORA」に換装可能なスプール全種。デフォルトのシャロースプール、ディープスプール(共に別売6,000円)も揃えておくと、様々な状況に対応できる

その際にMC SQUAREDの「セラミックダブルボールベアリング(別売1セット8,800円)」をカップ側、スプール側共にインストールする。

これだけでシャフト式スプールでも劇的に立ち上がりは速くなる。

ダイレクト2重壁で専用設計された「MC SQUARED」のセラミックダブルボールベアリング。極めて高価なベアリング(1セット8,800円)だが、換装するだけで凄まじいフリクションフリーな立ち上がりが実感できる

パーミングカップ側は、「KTF」も「グラビアス」もシャフト径は同じなので、パーミングカップ側は「IXAダブルボールベアリング」でも「MCダブルボールベアリング」でも換装可能だ。だがスプール側もカップ側も両方揃える方が効果は明確になる

スプール側シャフト径は、KTFと「グラビアス」とでは直径が異なるため、「グラビアス」スプールにIXAダブルボールベアリングは換装できない。同様に「KTFスプール」に「MCダブルベアリング」も装着はできないので注意したい

だが、慣性モーメントが強いシャフト式の場合、立ち上がりが速くなればなるほどブレーキを強化しなければ、「速いけど止まれないスポーツカー」になってしまう。

そこで「BlackMaxネオジム」(8個セット1,600円)を換装することで、ベイトフィネスモデルとしても「グラビアスAURORA/KTF NEO」や「REVO LX992KTF」並に高度なベイトフィネスも可能になるのだ。

特に「BlackMaxネオジム」は、KTF仕様以上にMC仕様の換装チューニングでこそ、劇的な効果が発揮されるので、超高価なダブルボールベアリングに換装しなくても、ネオジム交換するだけでマグネット機能のブレーキング調整能力が「薄く広く濃厚」に向上する明確なチューニング効果を得ることができる。

何が違うの?と聞かれて一言で答えるなら、ウデに左右されない「キャストのセーフティ感が違う」といったところだ。

シャロー&ディープスプール2個が標準装備の従来型「グラビアス」をすでにお持ちのユーザーであれば、すぐに「グラビアスAURORA/MC Squared」に転用できる、オススメ中のオススメチューニングである。

レベルワインダーの形状に注目

最後に小ネタではあるが、「グラビアスAURORA」は、全機種においてレベルワインダーの形状を変更している。

これは深溝で大遠投する場合や、20lbクラスのラインを多用したおり、ライン放出が大きくなってもレベルワインドの溝部分にラインが一切すらないようにする工夫だ。

従来型でも独自のロングノーズデザインによって「すれ」問題はほとんどなかったが、「グラビアス」は、「AURORA」モデルのシャフトレス化でメインギアやピニオンギアを強化するだけでなく、こういった細部も随時アップデートさせている。

「グラビアスAURORA」シリーズからアップデートされたレベルワインドデザイン。深溝スプールで20lbラインをフルキャストで使っても接触することはない

マイナーメーカーのベイトリールだった「グラビアス」だが、その進化と対応スピードには目を見張る努力を感じる。

それは同時にプロ選手冥利に尽きる喜びでもある。

年々、目を見張る成長を果たしている「グラビアス」のリールを、ぜひ一度使ってみてください。