エリアフィッシングのトップシーンを走るメーカーのひとつ、ヴァルケインの注目クランクベイト「クーガディメンション」について、先日ご紹介しました。
「クーガ」に新たな次元=ディメンションをもたらす、「スローで強い」クランクベイトがクーガディメンションSF/SS。
ゆっくりなのに、しっかり。魚を寄せられるルアーとしての個性際立つクランクで、クーガである程度釣った後のスローな展開でさらに釣果を引き出せる役割を担う。
そんなクーガディメンションにもうひとつ「L」がある。
クーガディメンションL
クーガディメンションL。Lはそのままロングを指し、60mmボディ。こちらもノーマルのディメンション同様2タイプがある。クーガディメンションL Fはフローティングで、クーガディメンションL SSはスローシンキング。
出典:ヴァルケイン公式
製品名 | 全長 | 重量 | タイプ | フック | リング | 価格 |
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クーガ ディメンション L F | 60mm | 3.3g | フローティング | ジャイロフック#5 | #0 | 本体価格¥1,700 / ¥1,870(税込) |
出典:ヴァルケイン公式
製品名 | 全長 | 重量 | タイプ | フック | リング | 価格 |
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クーガ ディメンション L SS | 60mm | 3.5g | スローシンキング | ジャイロフック#5 | #0 | 本体価格¥1,700 / ¥1,870(税込) |
スペックを駆け足でまとめると上記の通り。ヴァルケインのルアーたちは明確に立ち位置というか役割を持っている。ではクーガディメンションLはどんな特徴があるのか。
ローリングなのにウォブリング
まずアクションから見ていくと、ローリングなのにウォブリングという特徴がある。ヘッドはロール寄りにアクションする。それがグイッとカーブを描くセンターからテール側を通して、テールはフリフリ…とウォブル寄りなアクションとして伝わるのです。
これがかなり面白く、見ているとあおぐように動くというか、ワイドに動いているように見えて後ろは小幅なアクションというか…。センターから前方のロールアクションが、独特の形状を通してナチュラルに後ろへと伝わりウォブルする、そんな「見たことない感じ」なアクションなのです。
わずかなアクションの違いなどが釣果に直結するエリアフィッシングだけに、こうした唯一無二の動きがバイトを引き寄せることも多いという。
ということで前回記事にて、クーガディメンションSF/SS、そして今回クーガディメンションF/SSのご紹介をしました。それでは実際にどんな使い方をすればイイのか。今回撮影にご協力いただいた高島の泉フィッシングパークさんを舞台に、ヴァルケイン代表の菊地さんに、ごく基本的なところを教えていただいた。
ディメンションとディメンションLの使い分け
前提としては、フィールド(管理釣り場)のクセや水色、状況によってすべてにおいてストロングなパターンというのはなかなか存在しない。
だからエリアフィッシングは面白い。けれど基本的には朝イチなどはスプーンなどでレンジを探りながらスピードで釣っていく…というのがセオリー。その後、1.5~2g前後のスプーンで釣れなくなってきたらカラーを落としたり、マイクロスプーンに切り替えたり。あるいはプラグ系で様子を見たり…。
とにかく展開としてはスローになっていきます。そして、前回記事でもお伝えしたところではありますが、具体的にヴァルケインのルアーでいうならばクーガという王道クランクベイトである程度釣った後、ここがクーガディメンションやクーガディメンションLの投入しどころ。
とはいえ、そこに至るまでの実際の現場で自身がキャッチしたデータというのがカギになってくるのですが…。スローになったらクーガディメンション、クーガディメンションLというのは共通していると言ってよい。いずれもスローに巻いても強くアピールできるのは共通。
ではどちらなのか? これが先に述べたように、その現場で感じたデータによってくる。例えばレンジ。スローだけれど、表層付近から60~70cmほどというならクーガディメンションのSFまたはSSがよいだろう。
SFよりもSSの方がさらにスローに引いてこられるので、スピード的にどちらがいいかを試す必要もある。
逆に中層付近や120cmほどまでを主に引いてきたいのであれば、クーガディメンションLのFまたはSSがよい。こちらもSSはよりゆっくり引ける。また、先述したようにシンプルにアクションの質や単純にシルエット感も異なるので、ディメンションのノーマルとLが、どちらもがカバーできるレンジであるなら、そうした違いで差が出ることも多い。
ただし、菊地さんは言う。「正直、すべてのパターンを言葉で伝えるには無理があるんですよね。大事なのは使ってみるってことなので。もちろんその前提として、今日のレンジはこうかな?波動かな?シルエットかな?とか考えなければならないことはあるんですけれど。だから、まず分かりやすい基本路線としてはクーガの後に、クーガディメンションSF、さらにレンジを細かく刻みながらスローに誘うならSS。で、それよりもさらに下のレンジであればL(ロング)のF、同様にその中でもよりスローだったり、もう少し丁寧に探りたいならSSと考えてよいと思います」
あくまで基本、だけれどそうした指針を持っていると特にビギナーは入りやすいだろう。これに加えて、基本的にはカラーも強いものから中間色、そして地味系に…と落としていく。
菊地さんのローテは早くて。その判断理由も的確で見ているとこれが面白い(笑)。そのあたりは実際の映像でチェックしてもらえれば幸いです!
使い方
さて、では実際の操作面で大事なことは何か。
まず一定速度で巻くこと。リトリーブスピードを変えてバイトに持ち込めることも確かにあるんだけれど、それは結構刹那的というか、再現性がないことが多いんだそうです。つまりは速い・遅いはともかく、一定スピードで巻くからこそ次につながるヒントを得やすいという。
次に一定レンジを引くこと。当たり前だけれどレンジキープが大事になってきます。この時に、ロッドの角度を一定にして巻くと非常にレンジをキープしやすいという。アッパー気味、ステディ、ダウンに…そうしてロッドの角度を調整して巻くことで、そのルアーの射程レンジの上・中・下を引ける。しっかりその3つが引けるから、じゃあ「釣れなかった」となった時に「こっちではないのね」という判断材料になる。
ダーインスレイヴオーバーブレイズ
ロッドについてもご紹介しておきたい。
菊地さんの使用ロッドはダーインスレイヴオーバーブレイズ6’2ML-HS 。
製品名 | 価格 | 全長(ft) | 全長(m) |
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ダーインスレイヴオーバーブレイズ6’2ML-HS | 本体価格¥38,000 / ¥41,800(税込) | 6’2″ | 1.88 |
重めのスプーンを遠投したり、ミノーの操作性にも長けた機種なのですが、もうこれはクランキングにピッタリな間違いないヤツでしょう!
すごく面白いロッド。まず6.2フィートとシリーズの中では最長レングス。MLとはミディアムライトを表しているのですが、「H」はティップセクションに若干張りを持たせていることを示している。そうでありながら「S」とはスローテーパーであることを示し、全体としてみるとしっかり曲がると。
特に今回ピックアップしたディメンションなど、基本的に抵抗が常に掛かる釣り。その中で、しなやか過ぎるとフッキングが決まりにくいんですよね。そこでやや張りを持たせたティップセクションで掛けられる。
そうでありながら全体としてはジワリと絞り込むような、バラしにくさも兼ね備えた非常に個性的なロッド。
菊地さんはこれにPE0.3号とフロロリーダー0.6号の組み合わせを基本とし、伸びの少ないラインで負荷が掛かる中でもフッキングが決まるセッティングとしていた。
「とにかくゆっくりでも、しっかりと強く寄せられる」、それがクーガディメンションシリーズ。
こんなにゆっくりで、こんなにしっかり泳ぐんだ…とかなり個人的にもビックリしたのですが、だからななのかバイトがあった時もメチャクチャ分かりやすそうな印象を受けました。派手にバイトが出ていた気がしたのです。
やっぱり、スローで強い…というのは落ち着いた活性の中でもやる気十分な魚を寄せてこられるからなのかもしれませんね。
さて、次回は赤羽根悟さんによる、マイクロスプーン講座をお届け予定です!