ルアーフィッシングのトピックをこまめにお届けする釣りの総合ニュースサイト

LureNews.TV YouTube Channel

ロングバーサタイルロッド「ソルティセンセーション・スペリオル SPRS-84M-T マニューバー」開発秘話と実釣インプレ

寄稿:木下 彰
  • X
  • Facebook
  • Line
  • はてなブックマーク

こんにちは。エバーグリーンライトゲームスタッフの木下彰です。

今回は私自身、開発に深く携わらせていただいたソルティセンセーション・スペリオル」の新機種「ソルティセンセーション・スペリオル SPRS-84M-T マニューバー」について、開発の経緯や、どんなトコロにこだわったのか? など、詳しく解説していきますので、ぜひ最後まで読んでいってください。

木下 彰(Akira Kinoshita) プロフィール

木下彰(きのしたあきら)主にソルトルアーを得意とし、その中でも特にアジングとメバリングに力を入れている。エバーグリーンソルトプロスタッフとしても活躍中。趣味の剣道は錬士六段。山口県在住。

 

スペリオルSPRS-84M-T マニューバー開発秘話と実釣インプレ

 

ソルティセンセーション・スペリオル
SPRS-84M-T マニューバー【エバーグリーン】

2022年5月登場

全長 継数 パワー ルアー範囲 ライン範囲 価格
2.54m  2 ミディアム  1~25g  PE0.3~0.8号 69,000円(税別)

エバーグリーン公式「ソルティセンセーション・スペリオル SPRS-84M-T マニューバー」の詳細ページはコチラ

 

変化する釣行スタイルの中で生まれたロッド
スペリオル SPRS-84M-T マニューバー
開発がスタートしたキッカケは?

私のホームグラウンドである山口県東部・瀬戸内海エリア。昨今、ライトゲームの人気が高まってきている影響で釣り場が満員になることも。特にショートロッドでジグ単の釣りを楽しめる有名漁港は週末ともなれば満員御礼。

正直、魚よりも人の方が多いような超激戦区になることも少なくありません。私自身、歳を重ねるごとに、自然と人があまり来ないサーフや磯で心静かに楽しめる開拓的な釣りに主軸を移しつつある状況です。

サーフや磯からの釣りでは必然的にロッドは、遠投やラインメンディングがしやすい8ft越えのロングロッドを使用。ルアーは、フロートや高浮力型キャロといった遠投の効く重いリグを中心に、状況によってはジグヘッド単体や小型プラグなどの軽いリグまでローテーションし試行錯誤…。と言った釣行スタイルに変化していきました。

既存の8ftを超えるライトゲームロッドと言えばヘビークラスのものが多くラインナップされていますが、「スペリオル SPRS-84M-T マニューバー」はM(ミディアム)クラスと、やや控えめなパワー設定を採用。

このロングレングス+ミディアムクラスというあまり見ない組合せが、昨今のライトゲームシーンで非常に役立ってくれます。

【開発コンセプト】マニューバ-に求めたのは汎用性

私がこの「スペリオル SPRS-84M-T マニューバー」に求めたものは汎用性。
というのも、冒頭にも書いた通り既存のロングロッドはパワ-ゲームに特化したヘビークラスのものがほとんどです。

ヘビークラスのロングロッドは掛けてから圧倒的に無茶が効くので、ややこしいストラクチャー周りや、激流のディープエリアなどから大型を一気に引きはがすような用途では必要不可欠なものになり得ますが、その分どうしても軽いリグの細やかな操作は得意とは言えません。

そして、山口県東部・瀬戸内海エリアのサーフや磯は、基本的にはダイナミックな変化の少ない遠浅・砂地の地形で、アジやメバルのレギュラーサイズも20cm台。

そんな中で、試行錯誤を通じて数釣りを楽しんだりサイズアップを狙ったりする釣行スタイルにおいては、ヘビークラスのパワーは必須ではなくむしろオーバーパワー気味。それよりも、重いものから軽いものまで幅広く扱える汎用性の方が遥かに重要な要素です。

そうした経緯から、「重いリグを遠投したい」でも「軽いリグも細やかに操作したい」そんなわがままを叶えるバーサタイルなロングロッドの開発に着手することになりました。

「重いリグの遠投性」と「軽いリグの操作性」
この2つの相反する性能の両立を実現するために…

「重いリグの遠投性」と「軽いリグの操作性」という、相反するふたつの性能の両立はやはり難題となりました。

ヘビークラスほどの硬さや反発力は不要とはいえ、重いリグの遠投性を求める以上そのフルキャストに耐えるだけの粘り強さは不可欠です。しかし、単純に粘り強さを求めれば重く鈍くなり、軽量リグの細やかな操作にストレスが出てきます。

そんな二律背反をクリアするために採用したのが、「トレカ®T1100G」と「トレカ®M40X」という高強度高弾性カーボン素材です。

エバーグリーン公式「トレカ®T1100G」の詳細ページはコチラ

従来よりも高い強度を持つ画期的なカーボン素材で、同じ「ソルティセンセーション・スペリオル」のミッドレングスバーサタイルロッド・「ソルティセンセーション・スペリオル SPRS-77M-T リライアンス」にもすでに採用されていますので、汎用性の高いライトゲームロッドの素材として実績がありました。

とはいえ、それらを使ったからといってすぐに良いものが完成するということはなく、その他の素材との組み合わせ方やテーパー設計、ガイドのサイズや配置など、フィールドテストとサンプル作成を何度も繰り返し、約2年をかけてようやく満足のいく仕上がりに。

時間はかかりましたが、狙い通りの良いロッドができました。

スペリオル SPRS-84M-T マニューバーを実釣インプレ【キャスト編】

そうして完成したマニューバーの実際の使用感について、まずはキャストからインプレッションしていきます。

8ft4inのレングス設定+適度にしなやかなティップを備えた、クセのないレギュラーファストアクション&モッチリ粘り強いバットパワーの恩恵で、軽い力で振っても驚くほど簡単にリグが飛んでいきます。

シャローフリークエクスパンダ」を使用した重量級フロートリグの遠投性はもちろん、軽量ジグヘッド単体など軽いリグのキャストフィールも良好。

硬さと反発力で弾き飛ばすような感じではなく、ラインから指を離す最後の瞬間までしっかりとロッドにウエイトが乗る感覚があり、リリースポイントが広いので、遠投だけでなく安定した飛距離で狙った位置まで正確にリグを送り届けるキャストも得意です。

サーフや磯での釣りでは、シモリのキワや海藻の切れ目を狙い撃つことも少なくありませんので、正確なキャストがしやすいことはメリットになります。

また、個人的にかなりありがたく感じているのが、肘に優しいという点。

30年以上、毎日のようにロッドや竹刀を振り続けていた私の右肘は、4年ほど前についに悲鳴を上げ、それから数年は日常生活に支障が出るレベルで故障をしていました。

その当時、ヘビークラスのロングロッドを頻繁に使用していましたので夜な夜な鋭い痛みをこらえながら、フルキャストをしていました。

そのたびに、「うっ」とか「ぐっ」とか奇声をあげながら闇磯でメバルを狙っていたのですが、マニューバーは軽い力で振ってもしっかり飛んでくれるので、今ではほとんど肘の痛みはありません。

(※個人の感想であり、効果・効能を保証するものではありません。また、適切な治療と並行した結果であり、「スペリオル SPRS-84M-T マニューバー」を使用したことだけの効果ではありません)。

ちなみに、飛距離に関しては、驚くほど簡単に~とか、軽い力で振っても~とかいわれてもいまいちピンとこないと思いますので、「スペリオル SPRS-84M-T マニューバー」の最終プロトを使用したテスト釣行時の飛距離データをご覧ください。

実際の飛距離データ

ロッド:「スペリオル SPRS-84M-T マニューバー」(最終プロト)【エバーグリーン】
リール:14ステラC2500HGS【シマノ】
メインライン:PEライン(0.5号)
リーダー:フロロカーボンライン(8lb/60cm)

現場条件:横風1m程度・足場高さ1m
計測条件:キャスト後に糸ふけを回収し、プロックスのカウンターにて計測。

テスト①:「シャローフリークエクスパンダ」(17.8g)【アルカジックジャパン】平均79m・最長83.1m

テスト②:「コルセア65」(7g)【エバーグリーン】平均39m・最長42.7m

テスト③:1gジグ単+「Vフライ」【エバーグリーン】平均17m・最長17.6m

大雑把な計測結果ではありますが、十分な飛距離がマークできているのではないでしょうか。

「スペリオル SPRS-84M-T マニューバー」を実釣インプレ【操作感  編】

次は操作感について。

やや控えめなミディアムクラスのパワー設定を採用した「スペリオル SPRS-84M-T マニューバー」ですが、ベリーにはシャキッとした張りを持たせていますので、20gを超えるフロートやキャロを遠投した先でコンパクトに跳ね上げるような操作も全く問題なく行えます。

それでいて、自重が約75gと非常に軽量。ティップにも繊細さがありますので、1gのジグヘッド単体や2g程度の小型プラグでも存在感を見失うことなく細やかに操作することが可能です。8ft4inとは到底思えないような操作性の高さに仕上がっています。

しなやかでクセのないアクションで多魚種に対応

それ以外にも、「C-4ジグ」などのスモールラバージグやライトテキサスでのロックフィッシュ、ミノーやトッププラグでのチヌ、小型メタルジグでの小型青物、エギングでアオリイカなど、かなりの多用途に対応。適度なしなやかさでクセのないアクションなのでアジ・メバルだけでなく色々楽しめます。

ちなみに、同じミディアムクラスのミッドレングスバーサタイルロッド・「ソルティセンセーション・スペリオル SPRS-77M-T リライアンス」と比べると、長さの分ジグヘッド単体使用時の快適性はやや譲りますが、遠投性やラインメンディングのしやすさには分があり、一長一短といったところです。

 

「スペリオル SPRS-84M-T マニューバー」を実釣インプレ【ファイト編】

最後はファイトからランディングまで。

既存のヘビークラスのロングロッドでレギュラーサイズのアジやメバルを掛けると、強めに合わせを入れてごりごりっと巻いたらすぐに浮かんできてそのままランディング…。といった味気ない状況が多く発生することになってしまいますが、「ソルティセンセーション・スペリオル SPRS-84M-T マニューバー」で掛ければミディアムクラスのパワー設定とクセのないアクションのおかげで綺麗なベンディングカーブを視界の隅に収めながらやりとりを楽しむことができます。

釣りをする上で、何が1番楽しいかは人それぞれですが、魚とのファイトが嫌いという人はあまりいないのではないかと思います。私自身、掛けてからの楽しさも大切だと捉えていますので、「ソルティセンセーション・スペリオル SPRS-84M-T マニューバー」のこの性能はすごくいいなと感じています。

また、控えめなパワー設定とはいえ、バットはモッチリ粘り強く、さらに4軸補強により締め上げられた強靭な土台を有しています。

なので、意図してロッドをバットまで曲げ込めば強引に魚をコントロールして手前のストラクチャーを躱したり、絡まった藻ごと引き抜いたり、シーバスや堤防の猫に横取りされそうになったアジやメバルを一時的に空中に避難させたり…。ヘビークラスのロングロッドに近い使い方にも対応します。

 

まとめ

長くなりましたが、マニューバ-の解説は以上です。

スペリオル SPRS-83H-Tマイティハンツマン」と「スペリオル SPRS-77M-T リライアンス」の中間を埋める汎用性の高いロングロッドとしてスペリオルシリーズに追加ラインナップされた、「スペリオル SPRS-84M-T マニューバー」。多くのリグやターゲットに対応する、非常に使いやすい仕様となっています。

「マニューバー」という名前には「機動」という意味があります。あなたの釣りの機動力を高める、そんな1本になるのではないかなと思いますので、ぜひ1度手に取ってみていただければと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

エバーグリーンインターナショナル(EVERGREEN INTERNATIONAL)

昭和63年12月設立、大阪市西区を拠点とする総合ルアーメーカー。名竿コンバットスティックシリーズの各バスロッドブランドや実釣力の高い各種バスルアーを多数輩出。またエギングやジギング、ライトSWなどSWゲームの各魚種をターゲットにしたポセイドンシリーズのロッドやルアーも高い支持を集めている。
釣りの総合ニュースサイト「LureNewsR(ルアーニュース アール)」