今江克隆のルアーニュースクラブR「奇跡の復活!TOP50弥栄湖〜最終決戦を赤裸々レポート〜」の巻 第1075回
先週は、TOP50最終戦・弥栄湖(山口県)の練習時につかんだ2つの気付きについて書いたが、今週はTOP50本戦での、37年間のトーナメント人生においても強く記憶に刻まれるであろう奇跡的な出来事の全てを書き残しておこうと思う。
年間ランキング暫定4位で迎えた最終戦前夜、正直なところ、300gフィッシュでのリミットメイクを優先し、確実に年間シングルランキングを獲りにいく安全策でいくか、徹底して勝負するかで最後まで悩んだ。
暫定1位の小森(嗣彦)プロとの差は24ポイント、2位の藤田(京弥)プロとは10ポイント差があることから、彼らが徹底して守ってきて予選通過すれば自分が優勝に近い線をださなければ勝ち目はない。
暫定5〜9位とのポイント差も僅差であることから、勝ち目が薄いなら、ここは確実にTOP5入りを守りにいくべきではないか……と。
もしノーフィッシュで予選落ちすれば年間ランクは最悪10位前後まで落ちる可能性もある。
4シーズン前、年間暫定2位で最終戦・霞ヶ浦を迎え、初日ノーフィッシュ。
2日目以降荒天中止の1DAY試合となり、2匹を釣ってきた渡米前の青木(大介)プロに敗れ千載一遇のチャンスを逃した。
年間ランキングもまさかの15位まで落とすことになった。
攻めた結果とはいえ、その落胆と、期待してくれていたファンをガッカリさせてしまった申し訳なさで、試合に対する自信をそのあと長らく見失ってしまった。
腹をくくるべきか……
今回の最終戦は、7日間の練習での「メタルクロースピン(メタクロ)」での50cmUP、2kgフィッシュ捕獲率は3日で換算すると1.5匹ペース、すなわち、朝から1日迷いなくやりこんで、試合本番3日間で2kg前後1匹、うまくいけばもう0.5匹、すなわちキロアップ1匹が追加で獲れる確率だ。
だが、問題はその2kgクラスが初日、2日目に釣れてくれれば予選は通過できる可能性は高い(結果的に1日964gで予選通過だった……)が、3日目になってしまえば、予選2日間はゼロとなり3日目進出はない。
もちろんワンチャンスをバラしてしまえば、そこで終わりの可能性は高い。
狙い場は決まっているが、試合時間のほぼ全てを「メタクロ」に賭ける気構えがなければ、この確率は実現しない。
水深15m以上のライトリグとは狙い場もリズムも全く違うため、どちらもやろうと思えば「どちらも中途半端」に終わって予選落ちすることは目に見えていた。
それほど晩秋の弥栄湖でシャローのキッカーを仕留めることは、腹をくくらなければ1週間やっても1匹も釣れない。
ただ、今試合は少なくともリスキーだが、他のプロが釣れないキッカーを「自分独自の釣り方」で釣る方法を見つけていた。
今のTOP50で自分のスタイルがまだ通用するのか否か、それとも今のスタイルに迎合し、凡庸な成績で細々と生きながらえるか、今後のトーナメントにおける「自信」を回復できるか、それともさらに失ってしまうのか、大きな選択を迫られた初日だった。
だが4シーズン前のトラウマを晴らすには、そして今後もAOYを目指すと公言するなら、ここは腹をくくるべき一戦だと自分に言い聞かせ、弱気の虫を断ち切った。
最終戦初日
最終戦初日、迷いなく最も大型のバスが多い小瀬川中流域岩盤帯に入り、流しはじめる。
すでに大勢のプロが「ライブスコープ(LS)」とニラメッコ状態で超ディープを狙っていた。
その岸ベタを一人旅で「メタクロ」を小刻みに撃っていく。
LS船団を少し超えた岬の風裏の大岩の影に「メタクロ」を完璧なアプローチで決め、着底からワンアクションした瞬間、根掛かりのような特有の重みがロッドに乗った。
「ブラックレイブンエクストリーム」に11lbフロロだけに、勝負は瞬殺だった。
朝一番に勝負を決める推定2kg弱、小瀬川筋に響き渡る雄叫びをあげていた。
だが、その後12時までポツポツとキーパーを釣る船団を横目に撃ち込み続けるがノーバイト。
その1尾が「3日間で1.5匹」の1尾であることに間違いはなかった。だが、最下流域に、昼になるとバスが集まってくる水深15mディープの立木がらみのピンスポットを見つけており、13時に移動。
この1尾を最大限活かすために初日からそのピンを狙いにいった。
そして、これが見事に当たり、「アンクルミノー」の2.6gDSで170g、300g、まさかの1kg弱の3連発、4尾3,500gを超え、初日3位でイッキに予選通過をこの時点で決めた。
最終戦・予選2日目と決勝の戦いをレポート!