今江克隆のルアーニュースクラブR「注目は中層のハイスピードトリック!お盆明けのデカバス狙いのキモは?」の巻 第1064回
8月のお盆が過ぎればフィールドは早い所では朝夕は秋の気配すら感じられる季節の変わりめだ。
デカいバスほど季節の変わり目に敏感で行動が早いといわれるが、それは裏を返せば狩猟本能に長けたデカバスほどエサの行動変化に敏感だということだ。
お盆を境にバスの行動に大きな変化を与えるのは、盆前まではスポーンを引きずった体調ゆえか、エビや虫などのベイトを喰っていたバスたちも、盆が過ぎると小魚喰いに変化していくから。
バスが小魚をメインベイトとし始めると、行動範囲が広くなり回遊性が強くなるとともに、シャローよりディープを強く意識しだすことが特徴だ。
これはエサとなる弱い小魚ほど、適水温を求めて迅速に居場所を変えるためで、湖が最高水温に達するタイミングでディープへと群れで移動し始め、これを追ってバスもディープを意識し始めるからだ。
ディープではなく、中層!
しかし、ここで単純に「ディープ」が狙いめ!と思ってしまうと痛いめに会うのが、ターン(オーバー)が始まる前の8〜9月の特徴でもある。
ディープに行く前には必ず「中層」という厄介な水域があるわけで、小魚たちは一気にディープの「ボトム」に落ちるのではなく、「ディープな水深を持つエリアの中層」に群れで浮いて活動するようになるからだ。
表層水温が下がる朝夕は表層近くにも出てきたり、日中はディープに面したシェードの中層に群れで浮いていたりしており、逆にディープのボトムに張り付くエサはまだ少ない。
要は8~9月は高温層と冷温層の変温層(サーモクライン)が最も明確にできやすい季節であり、小魚はこの変温層を一種のボトムとしてその周辺に群れる傾向がある。
台風などでターンが起こり、このサーモクラインが破壊され均一になるまでは、ボトムは「無酸素」ゾーンとなるため、酸欠に強いニゴイ種の天下となってしまうことが多い。朝夕のプライムタイムを逃すと、ボトムをライトリグで釣るとニゴイだらけ……中層を釣ると数は釣れるけどチビバスだらけ……中級者ほどこういった状況に陥りやすい時期でもあるのだ。
中層のハイスピードトリック!
そんなチビバス地獄なこの時期に、デカいバスを狙って釣るために、これからの季節に是非とも習得しておきたい釣り方が「中層のハイスピードトリック系ルアー」である。
まずこの時期のキモは、サーモクラインをボトムに見立て、その層の上下を効率よく狙うことである。
中層といえば横方向のジグヘッドやミドスト、縦方向のノーシンカーをすぐ連想するが、小魚喰いになった賢い大型バスほど、日中は特にゆっくりとした動きには全く興味を示さないことが多い。
特にスクール化した小魚喰いの大型バスには、本能のスイッチを強制的に入れる「スピード&リアクション」が攻略の最大の鍵になってくる。
ただ、ひとえにスピードというが、本能のスイッチを入れられるスピードは中途半端な大きさ、速さ、トリッキーさではなく、想像以上に高速、かつナチュラルトリッキーさを持ちあわせている必要がある。
ビッグソフトジャークワームとビッグスプーン
この2つの要素を持つ夏秋ルアーの代表ともいえるのが、5.5インチ以上の「横方向」のハイスピードトリックルアー「ビッグソフトジャークワーム」と、近年玄人筋からは大注目されている「縦方向」のハイスピードトリックルアー「ビッグスプーン」である。
特にビッグスプーンは、ワカサギがフラットに集まり始める8月以降、ワカサギレイクでは驚異的な釣れ方をすることが知られだしたことで、ここ2年ほど秘かに注目を高めているルアーだ。
昨年、河口湖で開催されたJBトーナメント、8kg越えでの上位独占、つい最近のマスターズ河口湖戦では9kg越えでの優勝、2日間で上位2名がなんと16kg以上の驚愕のスコアをビッグスプーンで記録している。
今江的にも昨年10月、近畿のスーパーメジャー青野ダムで45〜50cmUP単日20本以上という驚異的な爆釣劇を「ワカサギマジックスプーン」で連週体験したのは記憶に新しいところだ。
両者ともにスピーディでクイックな動きの中に、予測不可能でトリッキーな動きが勝手に加わることで、法則性は分からないがビッグバスのスイッチを強烈に入れてしまう瞬間がある。
ハイスピードトリックルアーの動かし方のコツは? 次ページで!