現在の琵琶湖を攻略するために、欠かせない物といえば「ノーシンカージャーク」であることは、もはや誰もが知るところである。
ノーシンカージャークでも、礒村は季節やメインベイトによって使い分けている…。
礒村雅俊(Masatoshi Isomura) プロフィール
気難しい琵琶湖のノーシンカージャーク
「今の琵琶湖は本当に気難しいです。ノーシンカージャークが釣れているからといって、どこでも、なんでも投げていれば釣れるわけじゃない。細分化して、的確にバスに合わせて行かないとなかなか釣れません」
今の琵琶湖でノーシンカージャークといえばカバースキャット(デプス)を思い浮かべる人も多いだろうが、あれは冬にウィードがないタイミングで活躍するワーム。
夏になると琵琶湖にはウイードが生えそろうため、カバースキャットの出番は減る。
礒村の場合は、水温が上がり始め、ウイードが伸び始めた夏の定番といえば、ドライブスティック(O.S.P)の4.5インチ、サカマタシャッド6インチ(デプス)の2種類。
メインベイトのワカサギやアユが、ウイードの少し上に浮き始めたタイミングで、礒村はこれらワームのノーシンカージャークをメインにする。
「カラーはネオンワカサギが一番反応がイイです。ベイトの色に合わせるのはもちろんですが、バスの視覚的にアピールすることを考えると、このカラーが一番よくなるタイミングなんです」
シビアなセッティング
もちろんのことだが、この釣りはシンカーを入れることが、ほとんどない。
故に少しのセッティングの差でアクションも大きく変わる。
礒村は直接フックにラインを結ぶのではなく、スプリットリングとスイベルを付ける。
これはラインのヨレを防ぐ目的だけでなく、明確にアクションを分けるためでもある。
「フックに直接結んでジャークするとダートし過ぎる。ダートが大きいとウイードから離れ過ぎたり、狭いストライクゾーンを逸れることになる。だからスイベルを付けることで稼働部を増やして、アクションを抑えています」
釣れるスポットがそれほど広くないこの釣りでは、エリアが絞れているのであれば、ドラッキングで流しながら釣るよりもキャスティングでピンスポットを狙い撃つ方が確率はよい。
そして魚をウイードから引き離すためにもロッドは操作性よりもパワーを重視したセレクトをする。
イフリートB70H₋RFかB70MH-F(ラグゼ)を礒村はメインで使う。
モデルNo. | タイプ | 標準全長(ft/cm) | 標準自重(g) | パワー | 継数 | ルアーウェイト(oz(g)) | 適正ライン(lb) |
B70MH-F | ベイト | 7’0″(213.5) | 110 | MH | 1 | 3/16〜1(5〜28) | 10〜16 |
B70H-RF | ベイト | 7’0″(213.5) | 113 | H | 1 | 3/16〜1・1/4(5〜35) | 12〜20 |
ラインはアディクトフロロ(ファメル)の20lbでリールはハイギアを使う。
巻きアワセをメインにするこの釣りでは、フックはワーム34R(がまかつ)一択である(ドライブスティック4.5には#3/0)
「基本的にはノーシンカーで使うことが多いんですけど、ベイトがウイードに張り付いている時だけ、シンカーを入れます。ワームをウイードから離さずに絡ませ続けるためにシンカーを入れます。トリガーネイルシンカー(カンジ)の1.8gがベストです」
余計な事はしない。アクションリズムが大事
狙っている魚は、ウイードの上に乗っている魚か、ウイードの中から上を通るベイトを狙っている魚である。
そのため、基本はウイードからあまりワームを離し過ぎないことがキモになる。
「アクションは、まずボトムをしっかり取ってから、ラインを真っすぐになるようにメンディングします。そこから、胸元で構えたロッドをソフトなトゥイッチのイメージで、トントンと2回のアクションを入れます。次のアクションに入る前にラインスラッグを軽く取って、この時に食ってないかを聞きます。この動作をリズムよく行います。この時にアクションの回数を増やしたり、リズムを適当にするのはNG!バイトが激減します」
実際、礒村の動作はかなり繊細である。
ラインの角度、アクションの強さ、ステイの時間、ハンドルの巻き回数・・・。
至る所まで、拘る。
そこまでしないと、バイトが出ないことがざらにあるのが現在の琵琶湖だ。
バスが何を食べているかを見極める
エリア選択をする際、ベイトの存在を確認することは当然だが、どんなベイトが居て、バスが何を食べているかを把握することも大切である。
夏はエリアによって、ワカサギやアユが溜まるエリアに、それを捕食しにハスも入ってくる。
その場合、バスがワカサギやアユを食べているのか、それともハスを食べているのかで使うルアーが変わるという。
「ワカサギやアユならそのままドライブスティックで大丈夫です。ただ、ハスにスイッチが入り出すとサカマタ6インチになります。さらに季節が7月後半に入るとバスのフライが成長して、それにスイッチが入る魚もいる。それはドライブスティックでもブルーバックシナモンのようなダーク系のカラーがよくなります」
エリアやベイトに合わせてルアーをセレクトするのも、釣果を伸ばすのには必要なテクニックである。
エリアを絞り出すために
ノーシンカージャークではピンスポットを狙い打つ必要があるといったが、そのピンを絞るためには最新鋭の魚探を駆使しても至難の業である。
そんな時はドラッキングで広くエリアを探り、絞っていく。
「ドラッキングで探る場合はタックルやアクションが多少異なります。ロッドはイフリートB64MH-R(ラグゼ)で、リールは8.1ぐらいのハイギアがよいです。ラインはフロロ20lbです。アクションは3回ジャーク。ドラッギングの場合キャスティングよりもラインを多く出すので、まず、1回目のジャークでラインスラックを取り、ラインを浮かせます。次に2回のジャークでウイードの上っ面をなるべく維持した状態でソフトなダートでワームをしっかりと動かす。だからドラッギング中は計3回のジャークをします」
モデルNo. | タイプ | 標準全長(ft/cm) | 標準自重(g) | パワー | 継数 | ルアーウェイト(oz(g)) | 適正ライン(lb) |
B64MH-R | ベイト | 6’4″(193) | 100 | MH | 1 | 3/16〜3/4(5〜21) | 10〜16 |
この時も動かし過ぎは禁物である。
あくまでもルアーはウイードから離し過ぎないことが肝なのだ。
ノーシンカージャークが効かない時は
バスがウィードの中や上に乗っているタイミングが、ノーシンカージャークに適してはいる。しかし、常にその状況が続いているわけではない。
例えばウィード中にバスは居るが、横の速い動きに反応がない時はミドストの釣りが強くなる。
ミドストでウィードをしっかりと絡め、スローに探ることで魚に口を使わす。
他にも、バスが明らかにウィードから離れたレンジに浮いている時などはアラバマリグがよくなる。
同じ事だけをしていても釣れ続けるわけではない。バスフィッシングとは常に適材適所なのだ。
「これまでのイフリートシリーズ)ではミドストと言えばイフリートS66M-Solid-RFが非常に適していました。でも最近ではワームがさらに小さくなり、ウエイトも軽くなっていますし、ホバストやI字系などの釣りも琵琶湖の定番になりつつあります。なので、今その辺りを熟すロッドを製作中です。詳細などは、まだまだ秘密ですが、がまかつの技術を駆使した最高のロッドが仕上がってきているのでお楽しみに!」