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【とにかく沖で走らせる】テンションをかけ続けることが細いラインで魚を釣るコツ!家邊克己が解説「アジングで大物を掛けた時の対処法」

連載:家邊克己の「週刊!アジングマニアックス」
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アジングロッドでのやり取りから取り込みについて少し紹介します。

家邊克己 Yabe Katsumi プロフィール

サーティフォーCEO、製品開発責任者。全国津々浦々、アジが釣れると聞けば、ドコへでも足を運び、実際に釣って、アジングの楽しさを広く世に伝える、まさに「アジングの伝道師」というべき人物。かなり頻繁に全国各地で参加費無料のアジングセミナーも開催中! 釣具メーカー「34(サーティフォー)※社名は[みんな幸せに!]に由来」を立ちあげ、自身のノウハウを詰めに詰め込んだ製品開発に没頭中。京都府出身、福岡県在住、1958年9月生まれ。

 

エステルラインの特徴は「伸びがないこと

アジングは極細のエステルラインを使用します。細いほど有利なので極力細いラインを使用しますが、そうするとどうしてもラインブレイクが付いて回ります。

それを防ぐにはまずラインの特性を理解することが重要です。エステルラインの特徴は、「伸びがないこと」です。

 

これはアジングにおいてすごく武器になりますが、切れ方が他の伸びのあるラインとは全く違っています。伸びるラインの場合、450gで切れるとすれば300gくらいから伸び始めて450gになった時に切れるような感覚。

エステルは伸びがないので450gになった瞬間にいきなり切れます。そのことを踏まえ、どのような時に切れやすいかを考えると、緩んだ状態から急激に力がかかるときに最も切れやすいので、やり取りの際にはテンションをかけ続けることが重要です。

一旦テンションが抜けた時は、その次にテンションをかける時にジックリ掛けるようにしないと急に張ってしまうとブレイクの原因になります。

 

エステルラインを使った大物とのやり取り

突然大物が来た場合のやり取りと取り込みを解説しますね。

まずデカイ魚が掛かった場合、アワセた瞬間一気に走り出す魚が多いです。その場合はそのまま走らせて止まるのを待ちます。

シンガポール釣行でのキャットフィッシュ①。シンガポールでは高級魚とのこと

 

必ず止まるので(滅多にないですが止まらない魚は残念ながら取り込める対象ではないです)止まるまで無理やり止めないこと。アジングでは小さいリールを使っているのでスプールも小さく、もの凄い勢いで逆転します。

ですので、慣れてない人はラインがなくなると錯覚されるのですが、一回のランでよく走る魚でも30mぐらいです。ラインがなくなることはまずないと思います。

その回転にビビって焦ってドラグを締めるとブレイクに繋がるので、そのまま走らせてください。

そのようなフルスピードのランは魚も疲れますから必ず止まります。止まったら今度はロッドで溜めるようにしてロッドの弾力を利用します。魚とラインがロッドの弾力を介して釣り合った時には魚は尾を振って頑張っているのでかなり疲れます。

その状態が長く続けば釣り人に有利なので、焦らずにロッドを動かさずにそのまま耐えることが大事なのです。

シンガポール釣行でのキャットフィッシュ②

 

その時には僕はドラグをワンクリックかツークリック緩めスプールに指を掛けてラインを固定します、こうすることで急に走られても指を離せばスムーズにラインが出るので、ブレイクには繋がりません。

この時にロッドを振ったりリールを巻いたりすると、パワーバランスが崩れて再び走り出してしまいます。

走らさないようにスプールに指を掛けてロッドを溜めたままグッと我慢し、少し相手が緩んだらラインを巻きます。

その時もテンションを抜くポンピングではなく、テンションを掛けたままゆっくり巻いてロッドが少し前に行った分ゆっくり引くという感じで巻いてください。

シンガポール釣行でのキャットフィッシュ③

 

常に魚にテンションをかけ続けることが細いラインで大きな魚を釣る上において重要なこと。少しずつボディブローのようにダメージを魚に与え続けるのです。

それはいつまでも続かず、再び走り出すのでその時には指を離してまた止まるまで走らせます。

この目的は早く魚を寄せるのではなく障害物の少ない沖で魚を弱らせようとしているのです。

それを繰り返していると段々魚が弱って近づいて来ます。この時に沖で十分に弱っていなかったら、近くに来てまた急に暴れ出します。もし早々に寄せてきたら油断をせずに必ず暴れることを想定して備えてください。

沖で弱らせた場合でも近づいて来てライトなどに驚き、火事場の馬鹿力みたいなパワーを出す時があるので、ドラグをワンクリックかツークリック緩めてやることが必要になります。

シンガポール釣行で釣った40cm弱のサガエ

 

ドラグが100%の性能を発揮するのはラインが真っ直ぐになる状態の時

ドラグを勘違いされている方が多いので、少し解説します。

ドラグが100%の性能を発揮するのは、ロッドがのされてリールから出るラインが真っ直ぐになる状態の時。ロッドが立ってラインの角度が鋭角になって行けばドラグはドンドン効かなくなります。

それはガイドとロッドの干渉があるからで、ロッドが立つことによって魚の引きに対してロッドが曲がり魚のパワーを吸収します。

マレーシア釣行でのダートフィッシュ(小判アジ)①

 

そういうことで、ドラグにそのパワーが掛からないわけです。しかし魚が急激に走った場合、ロッドの曲がりが限界に達した時にドラグが瞬時に反応しにくく、遅れてしまいラインブレイクになります。

これは今のドラグ機構ではどのようにするのも難しく、ロッドが立つ状況の場合、すなわち魚が手前によって来た時にはドラグを緩めてそれに対応。魚が急に走った時には瞬時にラインとロッドの角度を鈍角にするか、極端に言えば魚に向けて真っ直ぐにして強制的にドラグを滑らせるしか方法がありません。

マレーシア釣行でのダートフィッシュ(小判アジ)②

 

ネットがある時とない時の取り込み方

そのようなことを知った上で手前に寄せて来て最後のやり取りをするのですが、まず自分の中でこの魚をどこでどのようにして取り込むかを考えないといけません。

ランディングネットがあるのか? ないのか? ある場合はそこで取り込むのに長さは足りるのか? ない場合は階段は何処にあるのか、あるいは近くの誰かに借りるのかなど色々考えてやり取りをします。

 

ランディングネットがある場合

ランディングネットがある場合は、ある程度弱らせたら水面に浮かしネットを水面まで伸ばしネットを動かさず(すくいに行く人がいますがそれは魚をびっくりさせて余計に暴れますから絶対にすくいに行ってはいけません)、そのネットに魚を頭から誘導。

魚の半分が入ったらロッドを倒しラインを緩めると魚は勝手にネットに入っていきます。そうしたらロッドを股か脇に挟んでランディンネットの柄を縮めて取り込み完了です。

 

ランディングネットが無い場合

ネットがない場合、これは僕も良くあることです。とにかく水面まで降りられるところを探し、そこまで連れて行ってリーダーを持って取り込むか、リーダーが切れそうな魚の場合はHMグリップを口に入れて取り込むしか方法がありません。

ですので、その場合は徹底的に弱らせる必要があって、浮かせてもじっとしているぐらいまで弱らせて暴れなくしてから、ゆっくりとロッドの弾力を利用して魚を浮かせたまま引っ張って階段のある場所まで行くしかありません。

またそのような場所がない場合は、抜きあげるかネットを借りるしかないのです。

とても抜けるような大きさでない場合は諦めるしかなく、ロッドで引っ張ると破損に繋がるのでラインを持って切ってください。

抜けるサイズなら引き抜きますが、その際の注意点として自分の方に魚を持って来るのではなくて、ロッドを堤防と平行にしてティップを下げ、魚に近づけて持ち上げたら魚は浮くがドラグが滑り落ちるくらいのドラグ設定にします。

 

そして、ロッドをあげる際に一緒にリールを巻きながら持ち上げるとラインブレイクしないで抜き上げることができます。

それもそのまま真っ直ぐに堤防上に上げて来るだけです、決して自分の方に持って来ようとはしないで下さい。

以上、やり取りから取り込みまで解説しましたが、アジングの場合このような大物が結構な頻度で食ってくることが多く、ロッドやラインの性能や特徴をよく理解してやり取りすれば、驚くような大物まで取り込むことができる性能をアジングタックルは持っています。

 

僕はアジングタックルで日本は元より世界中を回って色々な大きな魚を釣ることが夢です。東南アジアは色々なところに行ったので、コロナが落ち着いたら今度はヨーロッパに行ってみたいと思っています。

みなさんもぜひ、アジングタックルの性能を引き出し、見知らぬ大物をやっつけてください。

 

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