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今江克隆のルアーニュースクラブR「次世代ベイトフィネス『PEパワーベイトフィネス』時代がまもなく到来」 第1265回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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さて今週は先週のバサーオールスタークラシック2025で青木大介プロが圧勝したことで、もはや隠しだてすることもできなくなった、今、TOP50の水面下で最も極秘裏に注目&実戦投入され始めている次世代のベイトフィネス「PEパワーベイトフィネス」について情報公開しよう。

すでに2020年春にルアーマガジングラビアで時代に先駆けて初公開したPEパワーベイトフィネスのノウハウ。当時は編集部からもスルーされたが、今や次世代最注目のトーナメントギアだ。

PEパワーベイトフィネスとは?

今回のバサクラで、青木プロがPE1.5号に12lbフロロ、3.8gスモラバに、やや高比重のクロー型ワームで北浦最上流のツルノゲイトウを攻略し圧勝したことは衝撃的だった。この時に使っていたのがいわゆるPEパワーベイトフィネスだ。

青木大介プロの圧勝に終わったバサクラ。最も印象に残ったのは自分が絶対にないと切り捨てていた、昔から得意としていた北浦最上流で、PEパワーベイトフィネスでの高精度カバー攻めのうまさだった。

すでに昨年後半ぐらいからTOP50の若手プロたちが積極的に使い始めており、このPEパワーベイトフィネスには通常のベイトフィネスに比べて、圧倒的な対カバー・対大型魚に対する強度的メリットがあり、同時にオカッパリへの転用にも大きな可能性がある。 しかし、このPEパワーベイトフィネスを汎用化させるためには様々な面で「クセ強」な部分があり、おそらくまだ各メーカーともに水面下での試行錯誤の段階にあると思われる。

今江的予想ではPEパワーベイトフィネス大ブレイク、一般普及元年が恐らく2027年早々のフィッシングショー、そして来シーズンになると考えている。

よくイマカツのルアー、自分のコンセプトは毎度5年先を行っていると揶揄(?)されることがある。その時代には突飛すぎて一般的に受け入れられずに不遇の「迷作」となり、5年以上たってブレイクするという現象だ。

例を挙げれば枚挙にいとまがないが、このPEパワーベイトフィネスも2020年春にルアーマガジンのグラビアで大々的にコンセプト公開しながら、そのルアマガ編集部に長年シカトされ続け、今頃になってさも新コンセプトスクープのごとくWEB記事にしているのが実に不愉快である(笑笑)。 ま、そのころは黒帯DVDスピンコブラ&蝦ヶ池で始まった「提灯」が「吊るし」という時代に即した新ネーミングになったことで、スピニングPEパワーフィネスが大流行(再流行)したので、ルアマガ編集部を許しておくとしよう。

冗談はさておき、自分がこのPEパワーベイトフィネスのずば抜けたポテンシャルに気付き、比較的タックルセッティングと扱いが容易な吊るしの普及によるプレッシャーが急激に上がり切ったあと、必ずさらに「精緻なスポットシューティング力」と、何より吊るさずして「着水音をスピニングよりはるかに殺せる」ベイトタックルでのPEパワーベイトフィネスの時代が必ず来ると確信していた。

決定的な難点

ただPEパワーベイトフィネスには決定的な難点があった。それがバックラッシュ時の致命傷と、フロロ、ナイロンに比べ圧倒的に比重が軽いがゆえに発生する「慣性モーメントの致命的弱さ」。すなわち、軽いがゆえの急激なスプールの立ち上がりがあだになり、スプールを最後までラインが「引っ張って」回してくれる、低弾道キャストで最も重要な飛行後半時の弾道の伸びが死ぬということである。

要はラインが軽く細いがゆえに、ベイトフィネスリールですらスプールの回転が最後まで回ってくれず失速するという現象である。この難題に関しては2020年6月に書いたこちらの記事を参考にしてほしい。

この記事の中での、「『PEBF』の最大の難しさは、そのラインの軽さゆえにキャスト時のスプール慣性力が最後まで保てず、立ち上がりは過激なのに収束が早すぎるというジレンマに陥る」という言葉にPEパワーベイトフィネスの難しさが集約されている。

今江克隆のルアーニュースクラブR「ベイトフィネスのさらに向こうへ!PEベイトフィネスのタックルセッティングのキモを紹介」の巻 第1029回

2020年はPEパワーベイトフィネスをオカッパリでも徹底的にテストした。同時にPEラインとベイトリールの相性の悪さを思い知らされた年でもあった。

ボートからのPEパワーベイトフィネスもやり込んだが、通常のベイトフィネスとはリール設定を共通化することは非常に難しいことが分かった。リールもラインも双方をスペシャライズし組み合わせる必要を痛感した。

PEパワーフィネスの独壇場となった提灯改め「吊るし」。ラインを物に接触させるパワーフィネス、PEパワーベイトフィネスでは耐摩耗性に優れたPEラインの選定が絶対条件になる。

この記事を書いた当時は、本当に様々なラインをベイトフィネスリールに巻いて試していたが、通常のPEに比べ比重がナイロンに近く、同時にそのコシの強さゆえにバックラッシュ時の復帰がイージーなスーパーファイアーラインウルトラ8をピュアフィッシングにクビにされるまでは愛用していた。 このスーパーファイアーラインウルトラ8は、PEパワーベイトフィネスで操作性の次に課題になる「耐摩耗性」の高さも並のPEに比べ格段に優れていたからだ。ただ、その想像を超えた硬さと扁平ラインというクセ強さもあって、ルアーマガジンで熱弁しながらも編集部にも一般ユーザーにもガン無視されたのだと思う。

バスの歯ですら擦れるとボロボロになるのが編み糸であるPEライン最大の弱点。この弱点をカバーできるPEラインは市場にかなり少ないことをご存じだろうか?

2020年はPEラインの耐摩耗比較テストに明け暮れ、最強の対カバーPEを市場から探しまくった。結果的にスーパーファイアーラインウルトラ8はその比重も含め忖度抜きに優秀だった。

フロロとPEラインの重さの差は、ルアーの重さ以上に、ダイレクトにキャスタビリティに影響する。通常のPEラインは水より軽いため、実はベイトリールに巻くと非常に投げにくく、扱いづらいラインになる。

その経験から、今江的にはこのPEパワーベイトフィネスのコンセプトが一般的に汎用性をもって広く受け入れられるまではダンマリを決めていた。中途半端にまた熱弁してもルアマガ編集部にまた無視されるだけだと思ったからだ。まあ、今度はBasserに持っていくつもりなので(笑笑)。

ベイトフィネスの7lbフロロではどんなに頑張ってもリフトできないバスでも、PEパワーベイトフィネスならロッドさえ丈夫ならいとも簡単に抜き上げられる。T1100G製のベイトフィネスロッドが必須の時代がくると思っていた。

最適なリール、ラインは?

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