今江克隆のルアーニュースクラブR「螺旋中毒患者増殖中!?スパイラルガイド定番化時代がもう目の前に」 第1257回
スパイラルガイドの難しさ
今江克隆のルアーニュースクラブR「ひねくれもの?ガイドシステム、最先端スパイラル(螺旋)ガイドの真実」の巻 第1179回
スパイラルガイドのメリットは、昨年1月にルアーニュースRで超詳しく解説しているので、そちらをもう一度ぜひ読んでみてほしいが、実は今年一番気合を入れて春先からテストし続けているロッドが、おそらくヴェロキラプター中毒患者待望の「ヴェロキラプター」の2ステップ強化・ハード&タフバージョンである。
こう書いてしまうと、「ヴェロキラプター」をパワーアップするだけのように思うかもしれないが、スパイラルガイドはそうは簡単にはいかないロッドなのである。
その理由は、ハードバット部分で一気に180度回しきってしまうフルスパイラルロッドは、ガイドの倒れ込みによる「嗤(わら)い」、すなわちフッキング時のパワーロスが全くない。
言い換えればフッキング力が100%ブランクスに乗るため、瞬間的にガイドが斜めにねじれて力を逃がしているベイトロッドに比べると、ベリー部分にかかる瞬間的負荷がケタ違いに「モロ掛り」になるということだ。
これはフッキングパワーやバスをあしらううえでのパワーロスが全くないに等しい、素晴らしい性能なのだが、いかんせんこれがソリッドティップや、近距離のベイトフィネスのみならず、ライブフィネスのように中間距離~遠距離でのフルフッキングもこなすとなるとロッドへの負荷は想像以上になるのだ。

強靭なバット(赤)の部分は、ほぼ曲がらないのでラインがブランクスに擦れずガイドの180度一気回しが可能になる。ベリーの部分(青丸部分)はガイドが一切倒れないためよりしなやかに設計できる反面、絞り込みがきつくなるためスパイラル専用設計が不可欠だ。
三分割折れ
実はすでに何度も試作をしているのだが、今までこの新型スパイラルロッドほどテスト中、取材中、試合中にまで折れてしまったロッドはほかに経験がない。
特に「クジャラ」5gモリケンリグ等でライブサイトで、フッキングと同時に三分割折れが続出したのである。

「クジャラ」はラージマウスバスにはなぜか絶大な威力を発揮する。今年バスを最も釣っているルアーは間違いなく「クジャラ」1/4カットの自作タリズマンクイックリグだ。
ただ三分割折れは正しい折れ方で、ボイド等によるトラブルではなく、ロッドの破断限界を明確に数値評価できる理想的な折れ方でもある。

小野湖戦、遠賀川戦、桧原湖戦でもメイン中のメインだったプロトの新型スパイラルロッド、愛称「クジャラ竿」。だが、遠賀川戦で起死回生のキッカーを掛けた瞬間に三分割に折れ、大きな課題を残した。
ライブのフッキングはモニター越しなので、より瞬間的で強烈、時にフッキング角度もキツくなることはご存じの通りだ。
硬めのスピニングロッドでベイト並みのフルパワーフッキングしているイメージをすればわかりやすいかもしれない。
スパイラルガイドはよくも悪くもパワーロスがないため、ティップが下に絞り込まれるような曲がりになることも多く、これが従来のベイトロッドとは違ったブランクス設計の難しさにつながっている。
特にソリッドティップはつなぎがある分、さらに難しいのだ。
それでも現在、新型スパイラルロッドは最も経験値と実績の高い「T1100Gナノアロイ」をメインシャフトに、一切曲がらないバット部分に「トレカM40X」強化、ソリッド接合部の専用設計化、さらに「T1100G」の強化版である「トレカT1200Gナノアロイ」を採用したロッドまでテスト最終段階に入っている。

新型スパイラルロッドはT1100GとM40Xをメインに、T1200Gも比較テストしている。同時にこのロッドにベストな組合せのリールも2機種テストしている。
螺旋恐竜・ヴェロキラプターが開いた新時代バスフィッシングの新境地・スパイラルガイド定番化時代はもう本当に目の前まで来ていると断言しておこう。
これこそが、実戦で触ったが最後、あなたも「螺旋中毒患者」の仲間入りだ。

ガイドの高さも大きさ、さらにはレベルワインドの左右位置のすべてを絶妙にセッティングできれば、スパイラルロッドはめちゃくちゃ気持ちがいい操作性を発揮する。